21 / 37
父、あけぼの荘に帰還す。
9
しおりを挟む
「俺は、いいよ」
声が後ろから聞こえた。
振り返ると、居間の襖が開いた。
「ごめん…立ち聞きするつもりなかったんだけど…」
そう言いながら、優也が入ってきた。
その後から、秋津も。
もうそんな時間になっていたのか。
長いこと話し込んでいたから、時間の経つのが早かった。
どっかりと優也は俺の隣りに座ると、にかっと笑った。
「俺、まだ23歳だしぃ?結婚なんて先の話だからさ。だから、このままここで住み込みながら働くからね?」
頭に巻いていたタオルを外すと、直也を見た。
「これからは、直也に雇って貰うってことになるんだね?」
「ゆ、優也…」
「俺、直也がここを継ぐのはむしろ長男だし当然だと思う。だから、俺はいいよ」
「じゃ、決まりだな。いいな?直也」
「お父さん…優也…」
「安心しろって!秋津さんも居るんだし、チビたちの面倒は俺もちゃんと見ていくから…あ!でも急に結婚したらごめんね?」
「ぶっ…おまえ、今、彼女居ないだろ…」
「…バレた?」
直也と優也はふふっと笑った。
「…直也くん…」
秋津が直也を呼んだ。
直也は、これまたまっすぐに秋津を見つめ返した。
頷くと秋津は直也の隣りに座って、畳に手を付いた。
「…すいません。本当なら、俺からちゃんと話さなきゃいけなかったのに…」
そう言って、深々と頭を下げた。
「俺、直也くんを愛しています。一生を添い遂げたいと思っています」
それを聞いて、直也も畳に手を付いて頭を下げた。
「どうか、俺たちの交際を許してください」
「お願いします」
暫く、その二人の背中を優也と一緒に見つめた。
「なんだかよぉ…直也を嫁に出すみたいだな」
「よっ…嫁っ…ぶふぉっ…」
優也が笑いだした。
「ま、嫁でもいいけどさ…」
「ちょ、直也くん…」
秋津がすごくバツが悪そうな顔をしているから、笑ってしまった。
「オイ!秋津っ!」
急にでかい声が出てしまった。
「はっ…はいいぃぃ!」
「直也をしあわせにしなきゃ、承知しねえからなっ!」
「わっ…わかりましたあ!全力でしあわせにしますっ!」
「よおし!いい心意気だ!飲むぞっ!」
「ええっ!?」
その後は、無礼講になった。
直也はぶちぶちと文句を言っていたが、昼飯ついでに俺たちにつまみも出してくれた。
夕方まで秋津とサシで、飲み倒した。
「お…お義父さん…強い…」
「秋津も…なかなかじゃねえか…」
どちらも酔いつぶれないから、勝負は決まらなかった。
優也は疲れていたのか早々に爆睡体勢に入っていたので、勝負できなかった。
って、なんの勝負してたんだろうか
もうわかんねーや
バタンと倒れ込むと、急に眠りに吸い込まれていった。
夢を見た
あけぼの荘の裏手の岸壁
明希子が両手にちびどもを抱っこして
その横には微笑む直也と秋津が寄り添って立ってる
俺と優也は船から手を振ってる
とてもしあわせで
とても…
「父ちゃん?」
「とーちゃん?」
小さな手が俺の顔を叩いている。
でも眠くて…目が開けられない。
「どうした?」
「父ちゃん泣いてるの」
「ねんねしてるのに泣いてるの」
「えー?あ、ホントだ…」
顔に濡れたタオルが押し当てられた。
「おまえたちお風呂行きなさい。優也が待ってるから」
「はあい」
「わかったぁ」
ぱたぱたとちびどもの足音が聞こえる。
「お父さん?起きて…」
直也の声は穏やかで。
そんなんじゃ起きられねえよ…
「もう…駿さん、起きて?風邪ひいちゃうよ?」
秋津も寝てるのか…
「直也くん…」
「起きて?お部屋、一人で行ける?」
「ああ…大丈夫だと思う…」
「俺、お父さんを部屋に連れてくから…」
「一人じゃ無理だろ…俺も手伝うよ」
なんだか知らないが直也と秋津、二人がかりで部屋にぶちこまれた。
「ふう…これでよし」
ベッドに寝かされ、新品の布団を被せられた。
「ここ、お父さんとお母さんの寝室だったんだ」
「そっか…初めて入った…」
「小さい頃はここで、俺も優也も寝てたんだよ…」
声が後ろから聞こえた。
振り返ると、居間の襖が開いた。
「ごめん…立ち聞きするつもりなかったんだけど…」
そう言いながら、優也が入ってきた。
その後から、秋津も。
もうそんな時間になっていたのか。
長いこと話し込んでいたから、時間の経つのが早かった。
どっかりと優也は俺の隣りに座ると、にかっと笑った。
「俺、まだ23歳だしぃ?結婚なんて先の話だからさ。だから、このままここで住み込みながら働くからね?」
頭に巻いていたタオルを外すと、直也を見た。
「これからは、直也に雇って貰うってことになるんだね?」
「ゆ、優也…」
「俺、直也がここを継ぐのはむしろ長男だし当然だと思う。だから、俺はいいよ」
「じゃ、決まりだな。いいな?直也」
「お父さん…優也…」
「安心しろって!秋津さんも居るんだし、チビたちの面倒は俺もちゃんと見ていくから…あ!でも急に結婚したらごめんね?」
「ぶっ…おまえ、今、彼女居ないだろ…」
「…バレた?」
直也と優也はふふっと笑った。
「…直也くん…」
秋津が直也を呼んだ。
直也は、これまたまっすぐに秋津を見つめ返した。
頷くと秋津は直也の隣りに座って、畳に手を付いた。
「…すいません。本当なら、俺からちゃんと話さなきゃいけなかったのに…」
そう言って、深々と頭を下げた。
「俺、直也くんを愛しています。一生を添い遂げたいと思っています」
それを聞いて、直也も畳に手を付いて頭を下げた。
「どうか、俺たちの交際を許してください」
「お願いします」
暫く、その二人の背中を優也と一緒に見つめた。
「なんだかよぉ…直也を嫁に出すみたいだな」
「よっ…嫁っ…ぶふぉっ…」
優也が笑いだした。
「ま、嫁でもいいけどさ…」
「ちょ、直也くん…」
秋津がすごくバツが悪そうな顔をしているから、笑ってしまった。
「オイ!秋津っ!」
急にでかい声が出てしまった。
「はっ…はいいぃぃ!」
「直也をしあわせにしなきゃ、承知しねえからなっ!」
「わっ…わかりましたあ!全力でしあわせにしますっ!」
「よおし!いい心意気だ!飲むぞっ!」
「ええっ!?」
その後は、無礼講になった。
直也はぶちぶちと文句を言っていたが、昼飯ついでに俺たちにつまみも出してくれた。
夕方まで秋津とサシで、飲み倒した。
「お…お義父さん…強い…」
「秋津も…なかなかじゃねえか…」
どちらも酔いつぶれないから、勝負は決まらなかった。
優也は疲れていたのか早々に爆睡体勢に入っていたので、勝負できなかった。
って、なんの勝負してたんだろうか
もうわかんねーや
バタンと倒れ込むと、急に眠りに吸い込まれていった。
夢を見た
あけぼの荘の裏手の岸壁
明希子が両手にちびどもを抱っこして
その横には微笑む直也と秋津が寄り添って立ってる
俺と優也は船から手を振ってる
とてもしあわせで
とても…
「父ちゃん?」
「とーちゃん?」
小さな手が俺の顔を叩いている。
でも眠くて…目が開けられない。
「どうした?」
「父ちゃん泣いてるの」
「ねんねしてるのに泣いてるの」
「えー?あ、ホントだ…」
顔に濡れたタオルが押し当てられた。
「おまえたちお風呂行きなさい。優也が待ってるから」
「はあい」
「わかったぁ」
ぱたぱたとちびどもの足音が聞こえる。
「お父さん?起きて…」
直也の声は穏やかで。
そんなんじゃ起きられねえよ…
「もう…駿さん、起きて?風邪ひいちゃうよ?」
秋津も寝てるのか…
「直也くん…」
「起きて?お部屋、一人で行ける?」
「ああ…大丈夫だと思う…」
「俺、お父さんを部屋に連れてくから…」
「一人じゃ無理だろ…俺も手伝うよ」
なんだか知らないが直也と秋津、二人がかりで部屋にぶちこまれた。
「ふう…これでよし」
ベッドに寝かされ、新品の布団を被せられた。
「ここ、お父さんとお母さんの寝室だったんだ」
「そっか…初めて入った…」
「小さい頃はここで、俺も優也も寝てたんだよ…」
0
あなたにおすすめの小説
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
恋のかたちになるまでに
キザキ ケイ
BL
トラウマで女性が苦手な善は、初めて足を踏み入れたミックスバーで男に恋してしまう。
男を恋愛対象にできると知っていたのは、親友のリュウが男と付き合っていたことがあるからだった。
気持ちを持て余して恋心を相談した善は、「野暮ったい自分」を脱するためにリュウのアドバイスを受けることに。
一方、リュウのほうも、ただの友達だったはずの善に対する気持ちに変化があるようで────。
入社1ヶ月のワンコ系男子が、知らずのうちに射止めたのはイケメン社長!?
monteri
BL
CM制作会社の新入社員、藤白純太は入社1ヶ月で教育係の先輩が過労で倒れたため、特別なクライアントの担当を引き継ぐことになる。
そのクライアントは、女子禁制ミーハー厳禁の芸能事務所だった。
主人公の無知で純なところに、翻弄されたり、骨抜きにされるイケメン社長と、何も知らない純太がドキドキするお話です。
※今回の表紙はAI生成です
※小説家になろうにも公開してます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる