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終章 LASTBATTLE ON THE EARTH
DIGEST OF EPILOGUE②
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仮面の魔人となった神野優彦が朔丸と真護の深層意識に刷り込んだのはD‐EYES征伐ではなく大教帝の負の遺産である4体の淫獣人で構成される【凶祭華同盟】と真護の母親であるペトゥルナワス人=純華が主宰する“乱交サークル”【CLUB-SUMIKA】の壊滅であった。
とりわけ一刻も早い対処が求められるのが前者で、中でもババイヴから〈雷能〉を授けられた“淫獣人第3号”岡田昌司の所業は目に余るものがあったのである。
もとよりこの男の劣情は改造前から完全に異常者のレベルにあったのであるが、今や神の恩寵によって完全に世界最強の男に生まれ変わったと盲信するに至り、直ちに取りかかったのが報復──即ち星王ザジナスが酔狂で扮したマスクド=カリギュラが主宰する投資サークル【輝く黃金の信徒】で生涯最悪の屈辱を味わわされたと逆恨みしている、恋敵にして〈風能〉を与えられた“淫獣人第4号”藤原紘之との決闘であったのである。
とはいえ岡田より遥かにモテる上に生来多情な藤原の心は諍いの原因であった“スキャルピングの鬼姫”の異名を奉られるチーフインストラクター=三池千鶴からとっくに離れており、されど次に心を奪われた学生会員・桜城和紗は主宰者の寵愛を一身に受けていることもあって手が出せず、不祥事の責任を取るという建前でさっさとサークルを去っていたのであるが、昌司は“ナチュラル・ボーン・ストーカー”と蔑される淫獣人第2号=片尾茂一郎に引けを取らぬ粘着質な性格を全開して、まずは不可抗力的に巻き込まれた行き交う他車にとっては迷惑この上ないカーチェイスを仕掛けて藤原を県北の山中に追い込んだのであった。
むろん以前の小心な紘之ならば即警察に救けを求めたであろうが、寧ろ嬉々として応じたのは彼もまた淫獣人としての自己の実力にとてつもない過信を抱いていたのであろう。
そして結果は──ドングリの背比べ、目クソ鼻クソというしかない無残にして滑稽な幕切れとなった。
即ち、第3号は第4号の【真空寸裂波】によって頸部を八割方ブッちぎられ、まるでハンターに狙撃された狂犬のごとくブザマに地面をのたうち回った挙句に失血死し、一方の第4号は敵がサークル時代から燻らせてきた貌の恨みを思いっきり叩き付けるかのような凶暴な電撃を不幸にも真正面から被弾して顔面を黒コゲにされるという悲劇を体現してしまい、絶望のあまり第3号の死を確認後、最後の力を振り絞って自身に放った真空波によって頸動脈を断って絶命したのである。
かくて残るは〈火能〉の使い手である第1号=高原孝次と〈水能〉を武器とする第2号=片尾茂一郎であるが、仮面魔人は彼らを最初から戦力には数えておらず、さりとて屠るほどの危険性も認めてはおらぬため、両者を叩きのめした上で六大霊闘具の一つ【天霊慈露】を口から注ぎ込んで〈淫獣力〉を無力化することを太鬼真護に命じたのであったが、その際に何らかのアクシデントが生じて彼らが落命することになれば──その時は今回証明されたかのごとく“屍肉啖い”=殲闘霊獣を優彦が直々に投入することも補足された。
片やCLUB-SUMIKA潰しは3年前の異世界遠征直前に実際に彼女の世話になった朔丸にあたかも贖罪の機会を与えるかのように託されたのであった…。
尤も以前より当クラブを問題視していた松神理事長が聖剣皇に問題解決を懇請していたこともあり、彩羅の期待どおり赫怒した彼が既に今回の地上遠征の重要ミッションとして腹心の葵拳兵団長に同任務を命じていたのであったが…。
なお、魔女王打倒の具体的な手段として優彦が提示したのが、換気機能を欠いた密室で【冥境風炉】の妖煙を1時間ぶっ通しで吸引させるというものであったが、これによって純華は病的なまでの肉欲と地上人への潜在的敵意を完全に生業でもある創作活動へと昇華できるはずと主張するのであった。
この時朔丸が思ったのは傍らの怪少年がどんな表情で耳を傾けているのかということであったが、むろん漆黒の鬼面に覆い隠されて窺うことは叶わず、その直後に頭上の宝麗仙宮が大きく揺らいだのであった!
これがD‐EYESメンバーによる超光熱光弾長銃乱射によるものであるのは明白であり、自動的に庭に飛び出そうとする朔丸らを制した仮面魔人は自らこの死闘に終止符を打つつもりか、悠然たる足取りで階段へと向かったのである。
ちなみに朔丸らがB1Fに降りて来ると同時に幻護郎が緑衣の剣者らに助太刀すべく出撃しているため、現在は3対3の図式で戦闘は展開されているはずであった。
「そっちはむしろ優位に展開しているようだが、問題は襲来した敵側の殲闘霊獣だな…!」
誰にともなくこう呟いた魔人は二名の星渕特抜生を従えて屋外に出たのであったが、そこで暴れているのは自陣の魁偉な姿形の霊獣をも凌駕する怪異な形状の化け物であったのだ!
とりわけ一刻も早い対処が求められるのが前者で、中でもババイヴから〈雷能〉を授けられた“淫獣人第3号”岡田昌司の所業は目に余るものがあったのである。
もとよりこの男の劣情は改造前から完全に異常者のレベルにあったのであるが、今や神の恩寵によって完全に世界最強の男に生まれ変わったと盲信するに至り、直ちに取りかかったのが報復──即ち星王ザジナスが酔狂で扮したマスクド=カリギュラが主宰する投資サークル【輝く黃金の信徒】で生涯最悪の屈辱を味わわされたと逆恨みしている、恋敵にして〈風能〉を与えられた“淫獣人第4号”藤原紘之との決闘であったのである。
とはいえ岡田より遥かにモテる上に生来多情な藤原の心は諍いの原因であった“スキャルピングの鬼姫”の異名を奉られるチーフインストラクター=三池千鶴からとっくに離れており、されど次に心を奪われた学生会員・桜城和紗は主宰者の寵愛を一身に受けていることもあって手が出せず、不祥事の責任を取るという建前でさっさとサークルを去っていたのであるが、昌司は“ナチュラル・ボーン・ストーカー”と蔑される淫獣人第2号=片尾茂一郎に引けを取らぬ粘着質な性格を全開して、まずは不可抗力的に巻き込まれた行き交う他車にとっては迷惑この上ないカーチェイスを仕掛けて藤原を県北の山中に追い込んだのであった。
むろん以前の小心な紘之ならば即警察に救けを求めたであろうが、寧ろ嬉々として応じたのは彼もまた淫獣人としての自己の実力にとてつもない過信を抱いていたのであろう。
そして結果は──ドングリの背比べ、目クソ鼻クソというしかない無残にして滑稽な幕切れとなった。
即ち、第3号は第4号の【真空寸裂波】によって頸部を八割方ブッちぎられ、まるでハンターに狙撃された狂犬のごとくブザマに地面をのたうち回った挙句に失血死し、一方の第4号は敵がサークル時代から燻らせてきた貌の恨みを思いっきり叩き付けるかのような凶暴な電撃を不幸にも真正面から被弾して顔面を黒コゲにされるという悲劇を体現してしまい、絶望のあまり第3号の死を確認後、最後の力を振り絞って自身に放った真空波によって頸動脈を断って絶命したのである。
かくて残るは〈火能〉の使い手である第1号=高原孝次と〈水能〉を武器とする第2号=片尾茂一郎であるが、仮面魔人は彼らを最初から戦力には数えておらず、さりとて屠るほどの危険性も認めてはおらぬため、両者を叩きのめした上で六大霊闘具の一つ【天霊慈露】を口から注ぎ込んで〈淫獣力〉を無力化することを太鬼真護に命じたのであったが、その際に何らかのアクシデントが生じて彼らが落命することになれば──その時は今回証明されたかのごとく“屍肉啖い”=殲闘霊獣を優彦が直々に投入することも補足された。
片やCLUB-SUMIKA潰しは3年前の異世界遠征直前に実際に彼女の世話になった朔丸にあたかも贖罪の機会を与えるかのように託されたのであった…。
尤も以前より当クラブを問題視していた松神理事長が聖剣皇に問題解決を懇請していたこともあり、彩羅の期待どおり赫怒した彼が既に今回の地上遠征の重要ミッションとして腹心の葵拳兵団長に同任務を命じていたのであったが…。
なお、魔女王打倒の具体的な手段として優彦が提示したのが、換気機能を欠いた密室で【冥境風炉】の妖煙を1時間ぶっ通しで吸引させるというものであったが、これによって純華は病的なまでの肉欲と地上人への潜在的敵意を完全に生業でもある創作活動へと昇華できるはずと主張するのであった。
この時朔丸が思ったのは傍らの怪少年がどんな表情で耳を傾けているのかということであったが、むろん漆黒の鬼面に覆い隠されて窺うことは叶わず、その直後に頭上の宝麗仙宮が大きく揺らいだのであった!
これがD‐EYESメンバーによる超光熱光弾長銃乱射によるものであるのは明白であり、自動的に庭に飛び出そうとする朔丸らを制した仮面魔人は自らこの死闘に終止符を打つつもりか、悠然たる足取りで階段へと向かったのである。
ちなみに朔丸らがB1Fに降りて来ると同時に幻護郎が緑衣の剣者らに助太刀すべく出撃しているため、現在は3対3の図式で戦闘は展開されているはずであった。
「そっちはむしろ優位に展開しているようだが、問題は襲来した敵側の殲闘霊獣だな…!」
誰にともなくこう呟いた魔人は二名の星渕特抜生を従えて屋外に出たのであったが、そこで暴れているのは自陣の魁偉な姿形の霊獣をも凌駕する怪異な形状の化け物であったのだ!
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