THUNDER⚡️ANGELS

幾橋テツミ

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第一章 地球淫界化計画を阻止せよ!

雷の聖使、燦燦たる初陣!?⑤

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 美戦士が纏った際どい衣装に備わる能力を単なるのみと見做していた己の浅はかさに歯ぎしりしながら、いよいよ進退窮まったベルバスは、ついに“銀河系最凶生命体”負極界人の〈本性〉を現した!

「できれば、こんな非情な手段は採りたくなかった…。

 されど、貴女が犯した罪と…そして何よりも過剰なまでの美しさがこの悲劇的な結末をもたらしたのだ…。

 もちろん、わたくしとてこれから行う方法が“かすかな淫蕩エロからジワジワと”という、偉大なるゴドゥエブン教帝が定めし凶祭華同盟の行動指針に真っ向から背馳する破滅的行為であることは百も承知しており、それを為せばもはや地球世界及びそれに加勢する聖闘防霊団はむろんのこと、その標榜する崇高な理念に身命を捧げることに微塵の迷いも覚えぬ誇り高き軍団と母なる故郷から石もて追われることは一片の疑いもない…!」

 魔物なりにいかなる決意を固めたものか、暗赤色に昏く底光りする凶眼のまなじりを決して寂莫の過疎空間を慈悲の光で照らし出す中秋の名月ハーベストムーンを睨み上げた地獄の妖鬼は、ギリッと鉄色の鋭牙を噛みしめ、そして吠えた!

「──天よ、ご照覧あれッ!!

 “負極界最後の砦”とまで謳われたこのベルバスが、その栄誉の全てを擲ってまで求めた!!!」

 かくてグワッとあぎとを全開させた土留色の魔獣人は、苔し風化した瓦屋根に横たわる雷の聖使の数少ない露出部分である白い首筋目かけて狂牙を閃かす!

 されど暗闇の惨劇の犠牲者──それは血に飢えし悪鬼の方であったのだ!

「ジュギゲギゴゲギャワアアアッ!!!」

 とめどなく溢れ出す涎にツヤ出しされた殺人牙が三十センチほどにも接近した瞬間、それまで固く閉じられていた雷の聖使の双眸が突如として見開かれると同時に放射された凄まじいばかりの白銀の閃光が淫魔の両眼を灼いたのだ!

「ぐわぎゃおおおおうッ!!」

 たまらず両手で顔面を押さえたベルバスの巨躯は大きくのけ反り、屋根に着いていた両膝はバランスを失って背中から雑草の楽園と化している裏庭に転落する!

「……」

 ザジャアッという無残な落下音がその耳に届いたか否かは定かではなかったが、失神前よりも明らかに輝度を増した瞳で闇を穿ちつつ、白い戦士はゆっくりと上体を起こす。

 されどその美しき肉体を駆動する〈主体〉が異なっていることは、彼女自身の声帯から発せられてはいるものの、その声色が明らかに深みある男性のモノであることからも明らかであった!

「──ルリアよ、悪いがしばらく躰を借りるぞ。

 もちろんこれは《聖使運用規範》にて厳禁されている【奪魂操念法ソウルスナッチング】という名のであり、行使した私に重き罰則ペナルティを、そして被術者である君にかなりの身体的苦痛を後遺症としてもたらす危険戦術だが、この好機をみすみす逃すわけにはいかん──ここでババイヴの腹心たる此奴を《封籠》すれば、彼奴の出鼻をみごとに挫くことになるのはむろんのこと、現在の君自身では到底使いこなせぬ“雷の聖使最大の必殺技”といっても過言ではない【赫天殲雷獄】を没我状態で実践することで、あわよくば潜在意識に技のプロセスを刻み込むことが期待できるのだから…!

 そうとも、これを経験するとしないのとでは、後の習得スピードに雲泥の差があるはず…。

 もちろんその代償は決して小さくないが、どうか“選ばれし者の宿命”と弁え、この世界の安寧のために雄々しく耐えてくれたまえ。

 常日頃から語り聞かせていることだが、大宇宙を破滅に導かんとする強大な負極界との戦いは、一瞬の油断とて許されぬ過酷極まるものなのだからな──はッ!?…ああッ!!」

 淫魔の化身に止めを刺すべく、超大技の開始に向けて崩壊寸前の瓦屋根を蹴り、今しも天空に身を踊らせんとした雷の聖使の襟元がまたしても脅威に曝されたのだ──しかも今回は未遂に終わらず、奇怪な灰色と黒の斑模様の直径二センチ程の〈肉紐〉が、少なくとも五重に巻き付いていたのである!

「うッ、ぐうッ…う、うしろから…いったいだれ、が…もしか、して…バ…バイ…ヴが…?」

 まさしくこの状況下でを背後から襲いうるのは淫魔教帝以外ありえぬはずであったが、次の刹那、夜気を裂いて響き渡ったキシャシャシャシャシャアッ!!という明らかに地上生物のものではありえぬ鳴き声がそれを否定し、屋根の下から轟いた、苦痛と怒りに震える淫魔将軍の絶叫がその正体を明らかにした!

「おおッ、来てくれたかわが使い魔ストリキンよッ!

 おまえさえいれば、一時的な視力の喪失というハンデなどそよ風に撫でられたようなものッ、むしろ極限まで増幅された我らの怒りによって、もはや敗北必至の敵の苦痛は千万倍にも高まろうてッ!!

 ところで卑劣にも我が最愛の女神のかぐわしき肉体を掠奪せし聖闘防霊団の走狗よッ! 

 むしろキサマがハッキリとしてきたことで大いに手間が省けたわッ!

 もちろん彼女の生命には一切の危険を及ぼすことなく、八つ裂きにしても飽きたらぬ悪霊のみを誅滅するなどとは凡百の戦士には到底不可能だろう──だがなッ、このオレ様とストリキンの魔力が一つになる時、この宇宙に成し遂げられぬことはないということをこれからすぐに思い知らせてやるわッッ!!!」

 




 

 




 

 

 

 
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