THUNDER⚡️ANGELS

幾橋テツミ

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第七章 迫り来る凶影

D‐EYES─月面淫戯〈前編〉

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 D‐EYES正戦士・コードネーム=【シグマアポロン】こと旋堂凱輝の眼前に暗黒世界が広がっていた。

 だがそれは既に見慣れた光景であり、彼はそれをただ眺めているだけで心は別の空間をさまよっているのだ。

 そう、地球時間にして6日前、他のメンバー二人と負極界第二惑星々王ザジナスが主催する《D‐EYES結成記念パーティー》に招かれ、2年近くねぐらにした星渕学園の寮の食事とは問題にならぬ(まあ、貶すほどのこともなかつたが)、もちろん生まれてこの方口にしたこともない和洋中の珍味佳肴が大理石の円卓に所狭しと並べられた晩餐会も生涯最良の時間といえるものだったが、何よりも忘れ難いのは対面した瞬間にを確信したザジナス(地球用の扮装コスプレとして真紅の仮面を被り、床まで届くラメ地のマントを被った覆面レスラーまがいの珍妙な姿には三人とも笑いを堪えるのに死ぬ思いであった)の退屈で意味不明な演説よりも、その傍らで彼が与えるマイナスのヴィジュアルインパクトをみごと霧散させたはかりか、そもそも抵抗し難い“性的吸引力”によってそちらに注意を向けることすら、上品な紫色のドレスにパーフェクトボディ(そうに決まっている!)を包んだトップアイドル並みの超絶美女の艶姿であったのである。

 しかも比類無き見目麗しい容姿でありながらその正体はメラミオなる蠱惑的にして艷冶えんやな響きの令名を持つ、リュザーンド随一の実力を有する神霊闘術師であり、〈依代〉の本名もまた桜城和紗なぎさという最高にふさわしい高貴なものであった。

 さて、ムダに長ったらしいザジナス(そういや、マスクド=カリギュラとかいうこれも三流レスラーめいた噴飯物の“地球用キャラネーム”を名乗ってやがったな)のが、凱輝に限ってはおよそ以下のような内容であった…。

『狂ってるのは地球上だけかと思ってたが、どうやら宇宙どこも同じらしいな…。

 から話は聞いてたが、オレたち“銀河の閃光児”D‐EYESのボスである負極界浄化委員長がこんなしがねえコスプレオヤジだなんてなんぼ何でもあんまりってモンだぜ…!

 全く許されるならモロに指差しながら腹ァ抱えて大爆笑してやりてえところだが、さすがにそれをやっちゃあ“軍法会議→銃殺”ものだろうからメラミオの麗しいご尊顔をチラ見しながら耐えるしかねえが、気の毒に(関)環太朗も(剣持)巳嗣も顔を真っ赤にしながら必死じゃねえか…全く心中察するぜ、友よ…。

 ──だがあと少しの辛抱だ…そうともッ、こういう絶体絶命の窮地にこそわれらの見せ所だぜッ!!』

 ここで凱輝が持ち出した“カナンちゃん”こそメラミオ率いる【リュザーンド聖歓隊】副隊長にして神霊闘術師としても一番弟子にランクされる逸材であり、およそ半年間に及ぶフィジカル・メンタル共に過酷な訓練とテストを全てクリアした彼の前に舞い降りた天使──即ち“宇宙そらの恋人”であったのである。

 もちろん?惜しいかなメラミオ様ほどの人間離れした妖艶さと気品には及ばぬものの、肩甲骨を隠すほどのピンクのロングヘアが鮮やかな美貌とグラマラスボディ、そして声優並みの可憐なボイスは十分にであり、加えてもはや絶滅危惧種といっても過言ではないとあっては、“恋人不在歴17年”の旋堂凱輝にとってはまさにであった!

『…でもまあ、メラミオ様に意識を集中すればするほど必然的に股間の海綿体に血が集まっちまうわけで、それはそれでヤバかったぜ…。

 もしあの時着てたのがウィラーク艦長が用意してくれたサイズデカめのタキシード(!)じゃなくてピチッとしたパイロットスーツだったら股間のモッ◯リが丸分かりだったワケで、そうなったら生きて宝麗仙宮あそこを出られなかったかもしれねえからなァ…!

 …つまり結局、どっちに注目しすぎてもヤバかったってことか…』

 、強力な【重力発生装置】の作用によって殆ど地上に等しい体感で生活できる、直径425メートルの第二・第三惑星共同開発で負極界浄化委員会の“管轄艦”である球型戦艦(ウィラーク艦長:リュザーンド出身)内の凱輝のクリーム色でカラーリングされた個室で直径7メートルの超硬質偏光ガラス製の円窓の縁に一糸纏わぬ姿で凭れかかりながら、背後から怒張した男根を容赦無く突き込まれて身悶えしながらも必死で踏ん張っていた。

「──はうッ、す、ステキよガイキッ!

 ど、どう?そ…尊敬する隊長にはとてもかなわないけれど、カ、カナンだってなかなかのモノでしょッ!?…あひぃッッ!!

 …はあぁッ、ああッ…!

 で、でもね…ゼ、ゼッタイに子宮なかに出しちゃダメよ…。

 きょ、今日こそは約束通り、睾丸ボールに詰まった精液ミルクを一滴残らず飲ませてもらうんだから…ぇあぁッ!!

 はぁはぁ…だ…だってライバルのジュコルったら、ゴ…

 こ…このままじゃ、2コも年下のアイツふぜいに…ま、間違いなく今年中に追い抜かれちゃうッ、はおおおおぉッッ!!

 ひいいいいぃィッ…

    (咽び泣きながら)

 うぎぃッ…だ…だからお願い、ど…とうかあたしにもを…!」

「──しゃ~ねェな…。

 そーいうこったら別にイイけどよ…」

 いかにも面倒くさそうにしながら満更でもないシグマアポロン(マスクド=カリギュラというはさんざん嘲笑したくせに、メタルアバター開発者の志門博士と知恵を絞って名付けた傍目には似たりよったりのマイネームは大いに気に入っている)であったが、図らずもここで僚友の性癖を告げ知らされてそのに認識を新たにしていた。

『──そういや環太朗アイツ、妖怪じみた色っぽさで悩殺してくるわれら星渕特抜生の“闇の聖母ダークマドンナ”ことの太鬼純華すみかのオバハンに“心臓と金玉が破裂するほど激しくしゃぶってもらいてえ”って常々公言してたモンなあ…。

 しかしまぁ、自分で望んだことじゃねえとはいえ、わざわざ宇宙空間…しかも月の裏側の巨大クレーターの底くんだりまで来て実行に及ぶとは文字通り執念以外の何物でもないぜ…!

 ま、“フェチは死ぬまで治らない”って諺?通り、よっぽどあの体位ラーゲに思い入れがあるんだろう…それこそ幼少期に遡って精神分析してみりゃあ、面白ェ結果が出るかもな…。

 じゃ、期待を裏切っちゃ悪ィからそろそろ切り上げるか…。

 でも、さっきまでテメエのアソコに突っ込まれてたチ✕ポを間髪入れずお口に頂戴なんて“逆コース”は、な根性じゃできねえ芸当だぜ…。

 全く、かつては一蓮托生を誓いあった同じチームの仲間だってのによ…。

 ──つくづく、オンナの闘争タタカイはオソロシイ…!』



 



 


 

 

 





 

 
 
 

 

 
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