THUNDER⚡️ANGELS

幾橋テツミ

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第九章 群雄凶戦譜

復讐鬼レイガル①

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 黒蛇星爵が黙り込んだことでこの論争(口喧嘩?)の勝利を確信したか、太鬼真護バアル=シェザードの語調はさらに勢いを増し、舌鋒はさらに鋭くなる。

「きっひひひ…ねえルギオムさん、話してて分かったんだけどさあ、アナタ自身は決して悪いヒトじゃなさそうだねえ…。

 でもさ、いかんせんお友達…いやズバリ言やあ親分の質が悪すぎるよ。

 しっかしまあ、“究極兵器”である聖紋石の巨神さえ完成してしまえば仲間なんざ必要ねえ、なんて考えの根暗独裁野郎によくついてけるもんだよねえ…負極界の人たちってよっぽどドMなの?」

「……」

「まあ残虐無比で鳴らした大教帝ババイヴは論外としても、あの気の毒なザジナスの治世の方が、よっぽど一般星民は幸福だと思うけどねえ──少なくともボクが負極界人なら間違いなくそう思うだろうぜ…」

「……」

「ところで、事態がここまでのっぴきならない様相を呈してくると、気になるのはカイツはあの美しくも可憐なミリェリーア=ティリス星主様をどうしようとしてるのかってことなんだけどさ…」

 ここでようやく口を開いたジェスラ=ルギオムがポツリと呟く。

下衆ゲスの勘繰り…」

 されど魔霊と一体化した怪少年は些かも怯まない。

「──言いたいことはそれだけかい?

 他に何かないのかよ、エエッ!?

 …じゃあさ、これから述べるボクの憶測に、異論があるなら返してくれよな。

 

 ──どうだい?言っとくけど、ボクはこの見立てにかなり自信を持ってるぜ…!

 つまり、あの大罰当たりにとって聖紋石の巨神は負極界を滅ぼして自分の権力を永遠不滅のモノとする切り札であると同時に、“負極界一の美(少)女”との〈愛の巣〉でもあるのサ…!!

 ん?…何か薄ら笑いしてるけど、それってもしかして図星を衝かれたことに対する動揺の裏返し?」

「いやあ、可愛いですねえ…ですがマジメに仰ってるんであれば、あなたの精神年齢はかなりお低いと断じざるを得ませんね。

 尤も、と只の一度も面を突き合せたこともないのですからムリもありませんが…。

 いいですか、そもそも星主様に恋愛感情…いや肉欲を燃やすような俗物が生き馬の目を抜くような負極界支配層のパワーゲームを勝ち抜くことなどあり得ないのですよ。

 そんなゴミクズは、理由もわからないままに見世物小屋みたいな遠征隊に混ぜ込まれて遠い遠い星に放り出され、闇雲に右往左往した挙句惨めにくたばるのが関の山なのです──のようにね」

「…

 決して運転席に視線を送ることなく深く頷いた闇黒の鬼公子は、

「それでは、アナタとアナタのスタッフは決して見世物小屋の一員ではないと…?」

 と突っ込む。

「少なくとも今のところはそうではないと自負しておりますよ──ですが真に納得してもらうには、キミと直接対決するしかなさそうですがね…」

「ということは、D‐EYES&神霊闘術師連合軍ではボクに勝てないと予想してるってことだネ?」

 よく分かってんじゃん、と言わんばかりのドヤ顔に苦笑しつつ黒蛇星爵は言葉を継ぐ。

「誤解しないで頂きたいのですが、われわれは決して帝界聖衛軍と戦うために地球圏に飛来した訳ではないのですよ。

 あくまでも負極界旧時代の悪しき象徴である大教帝ババイヴ=ゴドゥエブンⅥ世を葬り、そして銀河系では間違いなくトップクラスの端倪すべからざる戦闘種族である地球人にわれわれの軍事技術の結晶とも言うべき超兵器を授けて新たなる生命体の地平を切り拓こうという壮大な実験を実行に移すべく、万難を排して遠路はるばる推参している次第なんでして…」

「う~ん、そこがよく分かんないんだよな…。

 自分の星の民は根絶やしにしようとしてるくせに、別の星の人間をどしどし移住させようとしてるなんて、それこそ生命体として矛盾してない?

 ──あっ、そうかッ!分かったぞッ!!

 

 だから聖紋石の巨神を使ってその全てと余計な闖入者…いや不純物である銀魔星を抹殺した後、100!?

 DEYES!?」

 この断定を聞き手が否定できず沈黙したことで話者は核心を衝いたと確信したが、再び口を開いた黒蛇星爵の声色には微塵の乱れもなかった。

「まあそういうことにしておきましょうか…と言いますのも、われわれ最側近ですらもイルージェ=カイツという負極界史上最大の傑物が最終的に何を目指しているのか理解しかねているのですから…ですが大体のところはお説の通りだろうと拝察致しておりますがね…。

 ところで、ここで臨時ニュースをお伝えしましょうか…たった今、因縁の対決がついに決着したようです。

 結果は…みごと蛸ノ宮氏の執念が実り、鬼神も目を背けしむる凄惨な圧殺刑によって大教帝は波乱に富んだ1969年の生涯の幕を閉じることと相成りました…。

 ──さてそうなると、気になるのがということなのですが…。

 おそらくは負極界随一の“大教帝原理主義者”として、意気揚々と宇宙に旅立とうとする蒼頭星人への復讐に動くのではありませんかね?

 もちろんあなた方には関係のない事柄であるし、彼を止める義務などあろうはずもない──ですがそうなると、あなたとエルドだけでこちらの軍勢を相手せねばならなくなりますね。

 どうです、余計なお世話でしょうがここはムリせずに帝界聖衛軍おなかまをお呼びになったらいかがですか?

 何故ならば、どうしてもここで太鬼あなたに負けてもらいたくないのですよ。

 いや全く、今の私は自分でも不可解なほど興奮しています。

 本当に久々に殺し甲斐のある獲物に巡り会えたようだ──かくなる上はどんなことがあっても私とるまでは無傷でいてもらいたいものですね…!」

 

 


 



 

 





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