ボクらは魔界闘暴者!

幾橋テツミ

文字の大きさ
45 / 60
第四章 【覇闘】直前狂騒曲

【光城派】──内紛勃発!?

しおりを挟む
『何もあえて波風立てるようなコトしなくてもいいのに…』

 と気は進まぬながらも兄に命じられたとおり、さぞ怪訝な表情となっているであろう空手の達人の真横で光城白彌はアクセルを踏み込んだ。

「くくく、見たかあのマヌケ面?

 このオレがヤツごときにわざわざ窓開けて手ェ振るとでも思ってんのかよ?

 まあ、百歩譲ってこれが非礼だってんなら、これからパチ屋に遊びに行くとしか思えねえテメエのは何だ?ってハナシよな…」

「…でも、それにしたってすぐ傍で急加速っていうのはあんまりですわ…」

 強い口調というのではなかったが、三妖帝の頭上に君臨する絶対者シャザラの愛娘として、氷美花は苦言を呈さずにはいられぬようであった。

「尤もあの方も押しも押されぬ斯界を代表する空手家ですから、これくらいのことで決して激することはなく、呆れ顔でヒョイと両肩を竦めただけみたいですけど…」

 スモークガラスを閉め切っているにも関わらず寺垣の前を通過する際、軽く会釈した氷美花が呟く。

「全く笑わせる…日本人、しかも武道家のくせに何を西洋人の仕草マネしくさってんのか…。

 いいか白彌、誓覇闘地むこうに着いたら罰として寺垣をブン殴れ」

「なッ…?」「えっ…?」

 三男坊と恋人の呆気にとられたかのような反応に、光城玄矢は大真面目で続ける。

「まさかオマエ、紫羽派アイツらをマジで味方とでも思ってんのかよ?

 ──だとしたら、オレもまだまだ副将として全幅の信頼を置く訳にはいかんな…!」

「で、でも完全なる味方っていう訳じゃないにしても、彼らは決して敵じゃあないでしょう…?」

 兄の真意を測りかねての反論に、紅一点も当然のように同調する。

「そのとおりよ…玄矢さん、せっかく団結している軍団の和をワザと乱すようなことはお止めになって下さい。

 しかも、紫羽派…いえ、拳星會館勢はじゃありませんか…?」

 だが、この物言いは“最強妖帝”を自認する光城玄矢をいたく刺激したようであった。

「何を言っているのです?

 たしかに頭数だけは多いが、魂師から星軍の一員として認められ、極術身装を授けられた者は十指に満たぬのですよ?

 しかもどもの集合体である武道団体であるためか〈頭脳戦略〉はからっきしで、妖仙獣一匹まともに育成できずに“人外戦力関連”は光至教ウチに丸投げする情けなさ…。

 ──一体、この〈烏合の衆〉のどこが、一番怒らせてはいけない人たちなのですかね?」

「…まあでも、フツーに考えりゃあの人たちの絆獣聖団てきも含めてダントツなんじゃないですかね…?」

 おそるおそる呟かれた運転手のコメントに、後部座席の厄介な乗客がすかさず難題を被せてくる。

「そんなにステゴロやるのが怖えんなら成身してもいいけどよ、オマエがそうすりゃ寺垣むこうも当然ぜ…。

 さて光城白彌クン、そうなったらバトルの行方は一体どうなるのでしょうかねえ?」

 これを受け「うーん」と煩悶していた光城家三男は30秒ほど熟考したあげく、覚悟を決めたかのように断言した。

「──もし極術身装になれるんなら、最悪、負けることはないよ…!」

 だが、この返答は彼に期待を寄せる一派の長を決して満足させず、むしろ激昂させてしまったようである。

「負けることはねえだとッ!?

 全く情けねえなッ、何で相手のキンタマを食いちぎってでも勝ちをもぎ取って見せるぐらいの気概を示せねえ!?

 いつも言って聞かせてるだろうが、オレたちの未来にどれほど恐るべき敵が待ち受けてるのかッ!…ソイツらに比べたら拳星の連中なんざしょせん…」

「いい加減にしなさいッ!!

 さっきから黙って聞いていれば玄矢あなたの口から飛び出すのは得手勝手な偏見で塗り固められた悪口雑言ばかりじゃありませんかッ!!

 ──いいですか、〈父〉は決して麾下の戦士をそのように口汚く罵ったりしたことなどありませんよッ!

 玄矢さんッ!あなたも星軍随一の実力者を自認するのであるならば、そして父を魂師ソウルマスターと崇めるのであるならば、どうかその根本的な姿勢をも見習って下さいッッ!!!」

 ──沙佐良氷美花が光城玄矢に向けて放った、はじめての…そして骨の髄までも震撼させる雷撃のごとき一喝!

 よもやこの瞬間、

「…すまない、さすがに口が過ぎたようだ…。

 今気付いたが、どうやら寝不足でムダにイラ立ってたみたいだな…。

 ──目的地に着くまでまだ時間があるから、それまで一眠りすることにするよ…」

 一瞬見せた鬼気迫る表情から速やかに可憐なる素顔へと戻った妖天使も大きく頷く。

「ぜひそうなさって…。

 もうじき南郷側の立会人も姿を現すでしょうし、先行する呀門を乗せたトラックも誓覇闘地近くで待ち構えているはず…。

 玄矢さん、あなたにはいつもどおり圧倒的なまでの強さで憎っくき絆獣聖団の愚かな錬装者を叩きのめし、妖帝星軍の威信をさらに高めて頂かなくちゃならないのですから…!!」

 


  



 


 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜

遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった! 木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。 「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」 そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

我らダンジョン攻略部〜もしも現実世界にダンジョンができて、先行者利益を得られたら〜

一日千秋
ファンタジー
昨今、話題の現実にダンジョンができる系の作品です。 高校生達のダンジョン攻略と日常の学校生活、ビジネス活動を書いていきます。 舞台は2025年、 高校2年生の主人公の千夏将人(チナツマサト)は 異世界漫画研究部の部長をしています。 同じ部活の友人たちとある日突然できたダンジョンに できてすぐ侵入します。 オタクは知っている、ダンジョンには先行者利益があることを。 そして、得たスキルでこつこつダンジョンを攻略していき、日本で影響力をつけていった先に待ち受ける困難とは!? ダンジョンの設定はステータス、レベル、スキルあり、ダンジョン内のモンスターの死体はしっかり消えます。 一話につき1000〜2500文字くらいの読みやすい量になっているので初心者には読みやすい仕様になっております。 キャラクターはところどころ新キャラが出てきますがメインストーリーは主に3人なので複雑になりすぎないように心がけています。 「いいね」頂けるととても嬉しいです! 「お気に入り」登録も最高に嬉しいです! よろしくお願いします! ※契約書、経済システムの書式、掲示板テンプレはAI生成を活用して制作しております。修正、加筆は行っております。ご了承下さい。

器用貧乏な赤魔道士は、パーティーでの役割を果たしてないと言って追い出されるが…彼の真価を見誤ったメンバーは後にお約束の展開を迎える事になる。

アノマロカリス
ファンタジー
【赤魔道士】 それは…なりたい者が限られる不人気No. 1ジョブである。 剣を持って戦えるが、勇者に比べれば役に立たず… 盾を持ってタンクの役割も出来るが、騎士には敵わず… 攻撃魔法を使えるが、黒魔道士には敵わず… 回復魔法を使えるが、白魔道士には敵わず… 弱体魔法や強化魔法に特化していて、魔法発動が他の魔道士に比べて速いが認知されず… そして何より、他のジョブに比べて成長が遅いという… これは一般的な【赤魔道士】の特徴だが、冒険者テクトにはそれが当て嵌まらなかった。 剣で攻撃をすれば勇者より強く… 盾を持てばタンクより役に立ち… 攻撃魔法や回復魔法は確かに本職の者に比べれば若干威力は落ちるが… それを補えるだけの強化魔法や弱体魔法の効果は絶大で、テクトには無詠唱が使用出来ていた。 Aランクパーティーの勇者達は、テクトの恩恵を受けていた筈なのに… 魔物を楽に倒せるのは、自分達の実力だと勘違いをし… 補助魔法を使われて強化されているのにもかかわらず、無詠唱で発動されている為に… 怪我が少ないのも自分達が強いからと勘違いをしていた。 そしてそんな自信過剰な勇者達は、テクトを役立たずと言って追い出すのだが… テクトは他のパーティーでも、同じ様に追い出された経験があるので… 追放に対しては食い下がる様な真似はしなかった。 そしてテクトが抜けた勇者パーティーは、敗走を余儀無くされて落ち目を見る事になるのだが… 果たして、勇者パーティーはテクトが大きな存在だったという事に気付くのはいつなのだろうか? 9月21日 HOTランキング2位になりました。 皆様、応援有り難う御座います! 同日、夜21時49分… HOTランキングで1位になりました! 感無量です、皆様有り難う御座います♪

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...