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第一章 地上から来た教軍超兵
ティリールカの守護神③
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5分近くに及ぶ執拗な蹴撃によってさしもの岩眼魔もグロッキーとなり、鉤爪による反撃ももはやあるまいと判断(もとよりチタンの数倍の硬度を誇る【エグメド鋼】製の錬装磁甲を纏っている以上は何ら恐れることもないが)した少年錬装者たちは玄が頭部を、雪英が両足を抱えておよそ150メートルほど先の〈9番ゲート〉を目指して搬送を開始する。
「ま、こちとら高性能のパワードスーツを装着してるようなもんだから1人でも楽々運べるけどよ、コイツをオンブする気にゃとてもなれねえよな……」
正面部分の目玉は殆ど潰してあるから得意の幻覚攻撃はほぼ不可能であろうし、そもそもこの怪物には頸部が存在しないから、側面や後頭部の眼球を使用することもできぬことは分かっていても、やはり警戒心を解けぬ漆黒の鋼人が白銀の鬼神の魁偉な仮面に語りかけると彼も同感とばかりに頷く。
「全く……。
大体【虹ミイラ】や【龍坊主】は人語が喋れるらしいけど、岩眼魔だけはそれが確認できてないってことだったよな。
ということは、Mr.スペンサーが公開尋問に【エグメドの審火】を使うってのは完全に理に適ってることになるよな──何しろアレは言葉じゃなくて細胞記憶を炙り出して映像化するスーパーアイテムなんだから……」
ここで不遜な相方がいかにも不満気な口ぶりで割って入る。
「たしかに彼氏が5つある錬装者チームにおいて“最大のカリスマにして最強者”であることは認めるけどよ、【砦】(絆獣聖団の本部基地)も些かあのヒトが率いるCBK(深紅の悪漢騎士たち)に対する忖度が過ぎるんじゃねえの?
何しろ“審火”が配備されたのがCBKだけで星拳鬼會にゃ取扱説明書のコピーすら回ってこなかったんだからな……どこまでもバカにしてやがる。
しかも昨晩食堂でNo.2のガルシアからジャレットとかいう新人を紹介されたけど、更に3人ばかり砦で調整中とかいうじゃねえか…ウチにも先月那崎恭作クンっていう1コ下の待望のホープ(しかも弓葉タンの兄ちゃんときた!こりゃ仲良くしねえとな…何しろ未来の義兄さんなんだから!!)が入ってきたけど、まだまだ足りねえ──それによ、第一おかしいのが日本人錬装者の頭数は十分揃ってるのにってことなんだ。
北海道、東北、北陸、北&南関東、中部、関西、中四国、そして九州──それぞれの地区の代表(首督)を【天響神】から直々に特任された【九氏族】が存在して、連中が管理する錬装者も現役だけで総計すりゃ60人は下らねえはずだ──実際オレが所属してた全国最弱の呼び声高い中国支部(玄は広◯出身)ですら召喚がかかった時点で5人いたんだからな。
しかも首督の冬河家(岡◯在住)は長男の晃人サンが出征してるし、弟の黎輔もそろそろスタンバイしてるはず。
だがそれよりも解せねえのは、晃人先輩の僚友の宗 星愁が放置されてるってことなんだ。
心当たりがあるとすりゃあ、アイツが一時、山◯出身の萩邑と恋仲にあったってことなんだけど、それならむしろ呼び寄せて再会させてやった方がお互いに戦闘意欲が高まると思わねえか?
何せ師匠も舌を巻く天才肌の晃サン(玄は普段晃人をこう呼ぶ)が“オレなんかより遥かに強え。冗談抜きに日本支部でも3本指に入るんじゃねえか?”って断言するほどだからな──全くこんな逸材眠らせとくなんて、宝の持ち腐れとはまさにこのことだぜ…」
「ウン、たしかにおかしいよな。
それに晃人先輩や星愁さんみたいなツワモノがいるってのに最弱のレッテルを貼られてるってのも不可解な話だ…少なくとも戦力的にはウチの親父が首督を務める四国支部(雪英は高◯出身)より断然上だと思うけど…」
「謙遜するねえ──まあでも仮にその通りだとしても、ウチの支部に対する異様な評価の低さは現役よりもOBであるジジイどものクオリティがあまりにクソなのが原因だとオレは思う。
もちろんリスペクトする兄貴分の父親を悪く言いたかないが、人並み外れてしみったれた性格で全国に悪名を轟かせる首督の冬河以下、博奕狂いのウチの糞親父含めてガチで鼻つまみ者揃いらしいからな……。
その点、キミのパパなんか外見もシュッとして物腰もソフトな紳士だからマジで羨ましいよ…所属錬装者の実力も中国支部以下ってことは絶対にないはずさ。
それに、何をおいても四国支部は玉朧拳師っていう“伝説のチームリーダー”を輩出してるんだからそもそも格が違うよ……。
だってそうだろ、あのヒトより上の世代や同年代、更には遥か後輩ですらもお払い箱になって地元で老醜晒してるってのに、我らが師匠に限っては熱烈に慰留されてそのまま現地で後進の指導に邁進しつつ各地の教率者たちとも強固なパイプを築いて政治力の向上にも余念がねえんだから……。
こうなると聖団の一部で囁かれてるように、ガチで師匠の3代目聖団長就任はあり得るんじゃね……!
まあ、だからこそ今回の《エグメドの審火事件》についちゃ忸怩たる思いを禁じ得ないワケなんだが……」
「3代目聖団長かあ……まあ2代目のカレンさんが亡くなってかなりの期間〈空位〉が続いてるみたいだけど、師匠の実績と統率力がエグ神様に正当に評価されればひょっとしたらひょっとするかもね……!」
雪英が興奮気味にこう語ったところで縦8メートル・横幅15メートル・厚さ1メートルほどの鋼板が華麗且つラージャーラ全界の教民たちが頼みとする薬用の花々を乗せたまま、重低音を響かせながら前方へとスライドし、忽ち外界に溢れ出してくる青白い光に照らし出された巨大な空間が2人の眼前に広がった──!
「ま、こちとら高性能のパワードスーツを装着してるようなもんだから1人でも楽々運べるけどよ、コイツをオンブする気にゃとてもなれねえよな……」
正面部分の目玉は殆ど潰してあるから得意の幻覚攻撃はほぼ不可能であろうし、そもそもこの怪物には頸部が存在しないから、側面や後頭部の眼球を使用することもできぬことは分かっていても、やはり警戒心を解けぬ漆黒の鋼人が白銀の鬼神の魁偉な仮面に語りかけると彼も同感とばかりに頷く。
「全く……。
大体【虹ミイラ】や【龍坊主】は人語が喋れるらしいけど、岩眼魔だけはそれが確認できてないってことだったよな。
ということは、Mr.スペンサーが公開尋問に【エグメドの審火】を使うってのは完全に理に適ってることになるよな──何しろアレは言葉じゃなくて細胞記憶を炙り出して映像化するスーパーアイテムなんだから……」
ここで不遜な相方がいかにも不満気な口ぶりで割って入る。
「たしかに彼氏が5つある錬装者チームにおいて“最大のカリスマにして最強者”であることは認めるけどよ、【砦】(絆獣聖団の本部基地)も些かあのヒトが率いるCBK(深紅の悪漢騎士たち)に対する忖度が過ぎるんじゃねえの?
何しろ“審火”が配備されたのがCBKだけで星拳鬼會にゃ取扱説明書のコピーすら回ってこなかったんだからな……どこまでもバカにしてやがる。
しかも昨晩食堂でNo.2のガルシアからジャレットとかいう新人を紹介されたけど、更に3人ばかり砦で調整中とかいうじゃねえか…ウチにも先月那崎恭作クンっていう1コ下の待望のホープ(しかも弓葉タンの兄ちゃんときた!こりゃ仲良くしねえとな…何しろ未来の義兄さんなんだから!!)が入ってきたけど、まだまだ足りねえ──それによ、第一おかしいのが日本人錬装者の頭数は十分揃ってるのにってことなんだ。
北海道、東北、北陸、北&南関東、中部、関西、中四国、そして九州──それぞれの地区の代表(首督)を【天響神】から直々に特任された【九氏族】が存在して、連中が管理する錬装者も現役だけで総計すりゃ60人は下らねえはずだ──実際オレが所属してた全国最弱の呼び声高い中国支部(玄は広◯出身)ですら召喚がかかった時点で5人いたんだからな。
しかも首督の冬河家(岡◯在住)は長男の晃人サンが出征してるし、弟の黎輔もそろそろスタンバイしてるはず。
だがそれよりも解せねえのは、晃人先輩の僚友の宗 星愁が放置されてるってことなんだ。
心当たりがあるとすりゃあ、アイツが一時、山◯出身の萩邑と恋仲にあったってことなんだけど、それならむしろ呼び寄せて再会させてやった方がお互いに戦闘意欲が高まると思わねえか?
何せ師匠も舌を巻く天才肌の晃サン(玄は普段晃人をこう呼ぶ)が“オレなんかより遥かに強え。冗談抜きに日本支部でも3本指に入るんじゃねえか?”って断言するほどだからな──全くこんな逸材眠らせとくなんて、宝の持ち腐れとはまさにこのことだぜ…」
「ウン、たしかにおかしいよな。
それに晃人先輩や星愁さんみたいなツワモノがいるってのに最弱のレッテルを貼られてるってのも不可解な話だ…少なくとも戦力的にはウチの親父が首督を務める四国支部(雪英は高◯出身)より断然上だと思うけど…」
「謙遜するねえ──まあでも仮にその通りだとしても、ウチの支部に対する異様な評価の低さは現役よりもOBであるジジイどものクオリティがあまりにクソなのが原因だとオレは思う。
もちろんリスペクトする兄貴分の父親を悪く言いたかないが、人並み外れてしみったれた性格で全国に悪名を轟かせる首督の冬河以下、博奕狂いのウチの糞親父含めてガチで鼻つまみ者揃いらしいからな……。
その点、キミのパパなんか外見もシュッとして物腰もソフトな紳士だからマジで羨ましいよ…所属錬装者の実力も中国支部以下ってことは絶対にないはずさ。
それに、何をおいても四国支部は玉朧拳師っていう“伝説のチームリーダー”を輩出してるんだからそもそも格が違うよ……。
だってそうだろ、あのヒトより上の世代や同年代、更には遥か後輩ですらもお払い箱になって地元で老醜晒してるってのに、我らが師匠に限っては熱烈に慰留されてそのまま現地で後進の指導に邁進しつつ各地の教率者たちとも強固なパイプを築いて政治力の向上にも余念がねえんだから……。
こうなると聖団の一部で囁かれてるように、ガチで師匠の3代目聖団長就任はあり得るんじゃね……!
まあ、だからこそ今回の《エグメドの審火事件》についちゃ忸怩たる思いを禁じ得ないワケなんだが……」
「3代目聖団長かあ……まあ2代目のカレンさんが亡くなってかなりの期間〈空位〉が続いてるみたいだけど、師匠の実績と統率力がエグ神様に正当に評価されればひょっとしたらひょっとするかもね……!」
雪英が興奮気味にこう語ったところで縦8メートル・横幅15メートル・厚さ1メートルほどの鋼板が華麗且つラージャーラ全界の教民たちが頼みとする薬用の花々を乗せたまま、重低音を響かせながら前方へとスライドし、忽ち外界に溢れ出してくる青白い光に照らし出された巨大な空間が2人の眼前に広がった──!
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