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第二章 かくて【中立教界】は戦場となった
神牙教軍、侵攻開始④
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新旧の操獣師間で勃発した惨劇の傍らで、若き錬装者たちの小競り合いも発生していた。
まず現在活動中6つのチームの内、衆目の一致する“はぐれ軍団”であるドイツ人中心の【皇帝狼】のボスであるヘルムート・ベルガーが白銀の狼戦士を象った磁甲に身を固めて閲覧席に乱入し、いきなり因縁の相手(とある事情で素手で対戦し、オリンピック候補にまでなったボクシング技術を完封されて惨敗した)メデューサに卑劣にも背後から襲いかかると、間髪入れず鋼の拳によるアッパーカットを見舞い血に飢えた操獣師どもの輪にブッ飛ばして弑獣爪による瀕死の重傷を負わせた後、第二の獲物として片手一本で吊り上げた竹澤夏月を凶刃の餌食として放り出したのである!
その間、鏡の教聖による催眠攻撃に屈しなかった(あるいは不感症であった)玉朧拳師の指令を受けて同じく素面の坂巻雪英が夏月救出のため犯人に突進しようとしたのだが、愚かにもまんまと敵軍首領の術中にはまり、同じく錬装した雷堂 玄が羽交い締めにして阻止し、結果として“伝説の殺戮姫”の異名を奉られて聖団史に一時代を築いた竹澤夏月はあまりにも悲劇的な最期を遂げたのであった……。
そして教軍超兵抹殺のため監査室に移動していたスペンサーも異変を察して閲覧席に取って返し、もとより犬猿の仲であるベルガーと10分近い大乱闘の末に嵐の様なパウンドで脳震盪KOしてから雪英に加勢し、“星拳鬼會の問題児”に対して「Gen!Return to sanity!!(玄!正気に戻れ!!)」と一喝しながらフロントチョークで絞め落とし(錬装磁甲越しであっても力量差が歴然である場合、素手による格闘同様の肉体的ダメージを被る)てしまったのであるが、この最強錬装者の手荒い洗礼が功を奏したことは、師である玉朧による強制錬装解除を経て覚醒した後に証明された。
この阿鼻叫喚の修羅場の中で、ティリールカ愛華領教率者・シーオ=メギンにSOSを発した玉朧拳師は、一刻も早く事態を沈静化するべく聖団長の亡霊に扮した鏡の教聖の幻像を消滅させるための仕切りガラスの破壊許可(快諾後、直ちにスペンサーと雪英によって実行された)と、閲覧席&閲覧席への催眠ガス噴霧を懇請したのだが、賛同したCBK総帥も含めてあえて退室することなく自身もそれを甘受したのである(むろん錬装者には何らの影響もなかったが)……。
一方、ゼドの診療室でやきもきしながら敬愛する先輩の容態を案じていた弓葉と真悠花であったが、幸いにも元気な姿で現れた萩邑りさらの姿にホッと胸を撫で下ろす──されど弓葉はその額を飾る聖幻晶が本来の白い八角形ではないことに気付くが、ゼドの説明によればメデューサが放った蹴りによって従来のモノが破壊されたため、ティリールカの独自技術によって開発された愛華領の紋章を象った独自のアイテムへと交換したということであったが……。
しかも当のりさらがこの処置に何らの疑問も呈することなく、むしろ感謝しているらしい様子によって、弓葉は彼女が愛華領次期教率者にただならぬ恋慕を抱いていることを悟るのであった……!
※ちなみにこの時、付き添いのドリィはりさらがつい最近身罷ったゼドの母・エレナ愛用の衣類をまとっていることに衝撃を受けるのであった。
この後、彼らはゼドの提案でラージャーラ名物の美味なる乳飲料を楽しみながら談笑するのだが、話題はいつしか聖団史上でも屈指の死闘となったミッション173=【ルドストン凱鱗領防衛戦】に移り、そこで生涯最悪の危機に見舞われた萩邑操獣師の回想に時を忘れて聞き入ったのである……。
したがって“監査室の惨劇”を最初に関知したのは一旦中座してゼドの秘書としての日常業務に戻ったドリィであり、全てが一段落した後に彼に報告したのであるが、記録映像を確認した天才薬創士はそのあまりの凄惨さに、三人への告知を翌日へと延期したのであった。
しかも同時に彼は教軍の“巨大飛翔刃獣”(翌日にラージャーラ到着を果たしたばかりの指月 亘が偶然目撃することになるザヌザ)が該教界に向かっているらしいことも報され、直ちに自前の軍隊を持たぬ愛華領が防衛を委託しているチェイズ闘士団──彼らは凱鱗領での戦いにおいて惜しくも犠牲となった天才技術者=ロゼムスが開発した高性能戦闘機【ガートス】を魔改造したモンスター機を駆っての空中戦にも定評があり、現在軍団所有の実に2/3にあたる18機が待機中──に独自判断による出撃命令を出したのであった。
※父シーオは目下メデューサの手術中であるため、教界の存亡に関わる緊急事態発生時にはゼドが代理で指揮を執ることがあらかじめ取り決めてあったのである。
『こうなると、愛華領史上初の攻撃兵器である万能戦闘艦が未だ完成に至っておらぬことが悔やまれるな……されど一昨日に会食した際、設計者にして建造総責任者のペズン博士は今現在でも出撃は可能と語っていたゆえ、ひょっとすると戦況次第では“ティリールカの守護神”の出番があるかもしれんな……!』
まず現在活動中6つのチームの内、衆目の一致する“はぐれ軍団”であるドイツ人中心の【皇帝狼】のボスであるヘルムート・ベルガーが白銀の狼戦士を象った磁甲に身を固めて閲覧席に乱入し、いきなり因縁の相手(とある事情で素手で対戦し、オリンピック候補にまでなったボクシング技術を完封されて惨敗した)メデューサに卑劣にも背後から襲いかかると、間髪入れず鋼の拳によるアッパーカットを見舞い血に飢えた操獣師どもの輪にブッ飛ばして弑獣爪による瀕死の重傷を負わせた後、第二の獲物として片手一本で吊り上げた竹澤夏月を凶刃の餌食として放り出したのである!
その間、鏡の教聖による催眠攻撃に屈しなかった(あるいは不感症であった)玉朧拳師の指令を受けて同じく素面の坂巻雪英が夏月救出のため犯人に突進しようとしたのだが、愚かにもまんまと敵軍首領の術中にはまり、同じく錬装した雷堂 玄が羽交い締めにして阻止し、結果として“伝説の殺戮姫”の異名を奉られて聖団史に一時代を築いた竹澤夏月はあまりにも悲劇的な最期を遂げたのであった……。
そして教軍超兵抹殺のため監査室に移動していたスペンサーも異変を察して閲覧席に取って返し、もとより犬猿の仲であるベルガーと10分近い大乱闘の末に嵐の様なパウンドで脳震盪KOしてから雪英に加勢し、“星拳鬼會の問題児”に対して「Gen!Return to sanity!!(玄!正気に戻れ!!)」と一喝しながらフロントチョークで絞め落とし(錬装磁甲越しであっても力量差が歴然である場合、素手による格闘同様の肉体的ダメージを被る)てしまったのであるが、この最強錬装者の手荒い洗礼が功を奏したことは、師である玉朧による強制錬装解除を経て覚醒した後に証明された。
この阿鼻叫喚の修羅場の中で、ティリールカ愛華領教率者・シーオ=メギンにSOSを発した玉朧拳師は、一刻も早く事態を沈静化するべく聖団長の亡霊に扮した鏡の教聖の幻像を消滅させるための仕切りガラスの破壊許可(快諾後、直ちにスペンサーと雪英によって実行された)と、閲覧席&閲覧席への催眠ガス噴霧を懇請したのだが、賛同したCBK総帥も含めてあえて退室することなく自身もそれを甘受したのである(むろん錬装者には何らの影響もなかったが)……。
一方、ゼドの診療室でやきもきしながら敬愛する先輩の容態を案じていた弓葉と真悠花であったが、幸いにも元気な姿で現れた萩邑りさらの姿にホッと胸を撫で下ろす──されど弓葉はその額を飾る聖幻晶が本来の白い八角形ではないことに気付くが、ゼドの説明によればメデューサが放った蹴りによって従来のモノが破壊されたため、ティリールカの独自技術によって開発された愛華領の紋章を象った独自のアイテムへと交換したということであったが……。
しかも当のりさらがこの処置に何らの疑問も呈することなく、むしろ感謝しているらしい様子によって、弓葉は彼女が愛華領次期教率者にただならぬ恋慕を抱いていることを悟るのであった……!
※ちなみにこの時、付き添いのドリィはりさらがつい最近身罷ったゼドの母・エレナ愛用の衣類をまとっていることに衝撃を受けるのであった。
この後、彼らはゼドの提案でラージャーラ名物の美味なる乳飲料を楽しみながら談笑するのだが、話題はいつしか聖団史上でも屈指の死闘となったミッション173=【ルドストン凱鱗領防衛戦】に移り、そこで生涯最悪の危機に見舞われた萩邑操獣師の回想に時を忘れて聞き入ったのである……。
したがって“監査室の惨劇”を最初に関知したのは一旦中座してゼドの秘書としての日常業務に戻ったドリィであり、全てが一段落した後に彼に報告したのであるが、記録映像を確認した天才薬創士はそのあまりの凄惨さに、三人への告知を翌日へと延期したのであった。
しかも同時に彼は教軍の“巨大飛翔刃獣”(翌日にラージャーラ到着を果たしたばかりの指月 亘が偶然目撃することになるザヌザ)が該教界に向かっているらしいことも報され、直ちに自前の軍隊を持たぬ愛華領が防衛を委託しているチェイズ闘士団──彼らは凱鱗領での戦いにおいて惜しくも犠牲となった天才技術者=ロゼムスが開発した高性能戦闘機【ガートス】を魔改造したモンスター機を駆っての空中戦にも定評があり、現在軍団所有の実に2/3にあたる18機が待機中──に独自判断による出撃命令を出したのであった。
※父シーオは目下メデューサの手術中であるため、教界の存亡に関わる緊急事態発生時にはゼドが代理で指揮を執ることがあらかじめ取り決めてあったのである。
『こうなると、愛華領史上初の攻撃兵器である万能戦闘艦が未だ完成に至っておらぬことが悔やまれるな……されど一昨日に会食した際、設計者にして建造総責任者のペズン博士は今現在でも出撃は可能と語っていたゆえ、ひょっとすると戦況次第では“ティリールカの守護神”の出番があるかもしれんな……!』
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