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第三章 凶幻獣戦域の覇者
【空の破壊神】を撃て!⑨
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一瞬にして37発もの炸裂徹甲弾を浴びたゼド=メギンとバノン=ガーギルは血煙を上げつつ吹っ飛ばされ、勇躍突撃してきた青髪のテロリストは獣の咆哮じみた雄叫びを轟かせながら次期教率者に駆け寄ると、既に事切れている怨敵の亡骸をズタズタに引き裂くべく連射モードに設定した通称“死神凶銃”の引き金を引き続ける。
「ぬぎゃはははははッ!
思い知るとはテメエのことだッ、頼みの医門機を遠ざけるなんざ、既に天運がキサマを見捨てた何よりの証拠だぜッ!!
(ゼドの顔面が崩壊して碧い眼球が飛び出し、脳漿と鮮血を噴出させつつ頭蓋骨が砕け散ったのを鬼の形相で見下ろしながら)
ふぅ~ッ、ザマァみやがれ……!
これでラユナも目を覚ますだろう、愛華領の未来を共に担う相手が誰あろうこのメテウ=ウェーゼンであることにッ──ぐがぎゃッッ!?」
致命傷を負いながらも、傭兵界の重鎮としての最後の意地を奮い立たせ、仰向けになったまま殲敵短銃を放ったガーギルの“報復の弾丸”はみごとメテウの左脇腹にメリ込んでいたのである!
「てッ、テメエッ……!」
再び悪鬼の貌となった殺戮者が躰を捻って狙撃手にトドメを刺そうとするよりも早く、渾身の第2、第3弾が額の真ん中と左の肩口に命中して「げへえッ!」とのけ反り倒れるが、その拍子にメテウの背中に張り付いていた毘雲の目玉が死者の体重によってベチャッと潰されたのは、因果応報の理が人外にも通用するささやかな例証といえた……。
「……チェ、チェイズ闘士団をナメるんじゃねえぜ…オレらの世界をちょこっと覗いただけの半端野郎がッ……ウグッ!
ち、ちきしょうめッ、このバノン=ガーギルともあろう者が……はぐッ!……こ、こんな所でくたばっちまうとは…つうッ!…そ、それこそエグメド様でもご存知ねえだろう…な…だ、だがよ、トコトンまでやってダメなら、男は諦めが肝心だ……ぐはッ(大量吐血しながら)……こ、こうなっちまったらウォベルよ、あ、後はオメエに託すしかねぇ……と、闘士団を……頼んだ……ぜ……」
かくて三人の強者が無残な骸を晒す文字通りの地獄絵図を鉄の扉一枚隔てた白い廊下では、教軍超兵が遺した呪われし魔眼の助力によって、あろうことか自ら峻厳な取り調べにあたっていた教率者・シーオ=メギンを亡き妻・エレナの幻影を駆使することで籠絡してまんまと脱出し、その足で旧知の間柄であるゼドの秘書・ドリィが教率者から強奪した短銃を突きつけられて指令室へと案内させられ、哀れにも彼女の掌紋によって扉を開けさせられた瞬間に射殺されてしまっていたのであった……。
✦
「そろそろ熱線砲のエネルギーおよびバルカン砲の弾丸も底をつきそうだな──だが残りの目玉は16個……ここまで漕ぎ着けたからには何とか完遂できそうだ……!
ユキヒデ、そしてウォベル隊長、ここからのラストスパートはより慎重に、そして確実に行きましょう!」
坂巻からは即座に、そしてわずかな逡巡の後に唯一生き残った闘士団員から「了解ッ!」の返答がもたらされ、スペンサーは苦笑混じりに小さく頷く。
『上司のガーギルはいかにもこの業界の古強者らしい煮ても焼いても食えぬ曲者だが、対照的にウォベル氏はさっぱりした気性とスマートな頭脳を併せ持つ優秀な戦士だ──願わくば、今後敵にだけは回したくないモンだぜ……とはいえ今回の反乱劇で聖団におけるオレの立場もかなり微妙になるだろうから、ひょっとしたらお仲間になる可能性だってゼロじゃねえかもな……。
それはともかく、ユキヒデの成長っぷりには全く驚かされたぜ──これまでオレに匹敵するパイロットは士京(霊拳旅団総帥)のみと踏んでたが、コイツの可能性はあの天才児を凌駕するかもな。
しかし【毒神獣】探索の密命を帯びたアキト(冬河晃人)にメインの座を託されて間もないというのに、とんでもねえ上達ぶりだ──前任者にゃ悪いが、ハッキリ言ってモノが違う……まあその片鱗は前ミッションの【死霊島強襲作戦】でも遺憾なく発揮して、あの辛口のモラレス(鉄槌士隊長)も舌を巻いてたっけか……』
一方、巨大刃獣の内部では搭乗者の樊尨が脱出のため専用キーゴに乗り込んだところであった。
彼自身としては“最強教軍超兵”の誇りにかけて、たとえザヌザが撃墜されようとも単身地下要塞に潜入して教率者一族を抹殺する覚悟を固めていたのであるが、脳内に首領から思わぬ指令が届けられたのである。
それによれば、何とゼド=メギンは今しがた毘雲の魔眼による幻影洗脳の餌食となった愛華領教民に惨殺されたというのだ──これにより教聖は急遽方針を転換し、次期教率者を喪ったことによって当該教界は聖団残党と極智の眼双方に重要拠点として狙われるであろうが神牙教軍としては当面静観し、六天巫蝶に代わる天響神の代弁者として着目すべきフェセウ=シェリヌスが率いるウビラス星心領に次なる照準を定めると……!
「そういう次第であるから、後はザヌザに任せておまえ自身は直ちに戦線を離脱して帰還する余と合流せよ。
実はこちらも些か予定が変わってな、目下余は依巫の一人であるマユカ=サハラの絆獣内部にリサラと共に潜伏しているのだが、よほどの異常が発生せぬ限りこのまま操獣を続けるつもりだ。
なお、例のザナード=レグラだが、前評判に違わぬ腕の持ち主だぞ──あっさりとあの厄介者を片付けてくれた上に、つつがなくもう一人の依巫・ユミハ=ナザキと“第二の地上人教軍超兵”ワタル=シヅキを保護してくれた模様だ。
したがって煬赫のキーゴが空いた訳だが、これは天翔魔鱏に万一の事態が勃発した場合の保険として絆獣に乗せて行くことにする……」
「ぬぎゃはははははッ!
思い知るとはテメエのことだッ、頼みの医門機を遠ざけるなんざ、既に天運がキサマを見捨てた何よりの証拠だぜッ!!
(ゼドの顔面が崩壊して碧い眼球が飛び出し、脳漿と鮮血を噴出させつつ頭蓋骨が砕け散ったのを鬼の形相で見下ろしながら)
ふぅ~ッ、ザマァみやがれ……!
これでラユナも目を覚ますだろう、愛華領の未来を共に担う相手が誰あろうこのメテウ=ウェーゼンであることにッ──ぐがぎゃッッ!?」
致命傷を負いながらも、傭兵界の重鎮としての最後の意地を奮い立たせ、仰向けになったまま殲敵短銃を放ったガーギルの“報復の弾丸”はみごとメテウの左脇腹にメリ込んでいたのである!
「てッ、テメエッ……!」
再び悪鬼の貌となった殺戮者が躰を捻って狙撃手にトドメを刺そうとするよりも早く、渾身の第2、第3弾が額の真ん中と左の肩口に命中して「げへえッ!」とのけ反り倒れるが、その拍子にメテウの背中に張り付いていた毘雲の目玉が死者の体重によってベチャッと潰されたのは、因果応報の理が人外にも通用するささやかな例証といえた……。
「……チェ、チェイズ闘士団をナメるんじゃねえぜ…オレらの世界をちょこっと覗いただけの半端野郎がッ……ウグッ!
ち、ちきしょうめッ、このバノン=ガーギルともあろう者が……はぐッ!……こ、こんな所でくたばっちまうとは…つうッ!…そ、それこそエグメド様でもご存知ねえだろう…な…だ、だがよ、トコトンまでやってダメなら、男は諦めが肝心だ……ぐはッ(大量吐血しながら)……こ、こうなっちまったらウォベルよ、あ、後はオメエに託すしかねぇ……と、闘士団を……頼んだ……ぜ……」
かくて三人の強者が無残な骸を晒す文字通りの地獄絵図を鉄の扉一枚隔てた白い廊下では、教軍超兵が遺した呪われし魔眼の助力によって、あろうことか自ら峻厳な取り調べにあたっていた教率者・シーオ=メギンを亡き妻・エレナの幻影を駆使することで籠絡してまんまと脱出し、その足で旧知の間柄であるゼドの秘書・ドリィが教率者から強奪した短銃を突きつけられて指令室へと案内させられ、哀れにも彼女の掌紋によって扉を開けさせられた瞬間に射殺されてしまっていたのであった……。
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「そろそろ熱線砲のエネルギーおよびバルカン砲の弾丸も底をつきそうだな──だが残りの目玉は16個……ここまで漕ぎ着けたからには何とか完遂できそうだ……!
ユキヒデ、そしてウォベル隊長、ここからのラストスパートはより慎重に、そして確実に行きましょう!」
坂巻からは即座に、そしてわずかな逡巡の後に唯一生き残った闘士団員から「了解ッ!」の返答がもたらされ、スペンサーは苦笑混じりに小さく頷く。
『上司のガーギルはいかにもこの業界の古強者らしい煮ても焼いても食えぬ曲者だが、対照的にウォベル氏はさっぱりした気性とスマートな頭脳を併せ持つ優秀な戦士だ──願わくば、今後敵にだけは回したくないモンだぜ……とはいえ今回の反乱劇で聖団におけるオレの立場もかなり微妙になるだろうから、ひょっとしたらお仲間になる可能性だってゼロじゃねえかもな……。
それはともかく、ユキヒデの成長っぷりには全く驚かされたぜ──これまでオレに匹敵するパイロットは士京(霊拳旅団総帥)のみと踏んでたが、コイツの可能性はあの天才児を凌駕するかもな。
しかし【毒神獣】探索の密命を帯びたアキト(冬河晃人)にメインの座を託されて間もないというのに、とんでもねえ上達ぶりだ──前任者にゃ悪いが、ハッキリ言ってモノが違う……まあその片鱗は前ミッションの【死霊島強襲作戦】でも遺憾なく発揮して、あの辛口のモラレス(鉄槌士隊長)も舌を巻いてたっけか……』
一方、巨大刃獣の内部では搭乗者の樊尨が脱出のため専用キーゴに乗り込んだところであった。
彼自身としては“最強教軍超兵”の誇りにかけて、たとえザヌザが撃墜されようとも単身地下要塞に潜入して教率者一族を抹殺する覚悟を固めていたのであるが、脳内に首領から思わぬ指令が届けられたのである。
それによれば、何とゼド=メギンは今しがた毘雲の魔眼による幻影洗脳の餌食となった愛華領教民に惨殺されたというのだ──これにより教聖は急遽方針を転換し、次期教率者を喪ったことによって当該教界は聖団残党と極智の眼双方に重要拠点として狙われるであろうが神牙教軍としては当面静観し、六天巫蝶に代わる天響神の代弁者として着目すべきフェセウ=シェリヌスが率いるウビラス星心領に次なる照準を定めると……!
「そういう次第であるから、後はザヌザに任せておまえ自身は直ちに戦線を離脱して帰還する余と合流せよ。
実はこちらも些か予定が変わってな、目下余は依巫の一人であるマユカ=サハラの絆獣内部にリサラと共に潜伏しているのだが、よほどの異常が発生せぬ限りこのまま操獣を続けるつもりだ。
なお、例のザナード=レグラだが、前評判に違わぬ腕の持ち主だぞ──あっさりとあの厄介者を片付けてくれた上に、つつがなくもう一人の依巫・ユミハ=ナザキと“第二の地上人教軍超兵”ワタル=シヅキを保護してくれた模様だ。
したがって煬赫のキーゴが空いた訳だが、これは天翔魔鱏に万一の事態が勃発した場合の保険として絆獣に乗せて行くことにする……」
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