潤 閉ざされた楽園

リリーブルー

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第十五章 晩餐にて

はにかみ

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「では、切ってあげるから、床で食べたいのか?」

「それは、寂しいから、いや」

潤は、子どものように、自分で要求を言うことをしないで、答えた。

「それなら、四つん這いで、尻尾を振って、おねだりして、ご褒美の肉を、主人の手から、食べたい?」

「それは、ちょっといいな」

潤は、甘えたような、はにかんだ笑みを浮かべて言った。

それを見て僕は、

(潤、どれだけ、おじ様が好きなんだ!)

と思った。

「潤は、おじ様の手から、直接、食べ物を口に入れてほしいんでしょ?」

と僕は指摘した。

「うん、そうかも」

潤は、やはり、はにかんで答えた。

(なんなんだ、その、はにかみは!)

僕は、潤にこんな、初々しい恥じらいを引き起こす、おじ様に嫉妬した。

(ハードボイルド潤、かと思ったら、なんなんだ、このデレた状態は!)

と腹立たしく思った。

それが、僕に対してならいいけれど、違う男に対してなのだから、癪にさわった。

けれど、そうやって、腹立たしい痛みもまた、楽しい……これでは、潤みたい、caro laccioみたいだけど、少し楽しんでいた。

そんな心の余裕が生まれたのは、先ほどの会話から、僕のが、おじ様よりずっと若いのだから、いつか、おじ様から、潤を奪える時がくるかもしれないと気づいたせいだった。
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