潤 閉ざされた楽園

リリーブルー

文字の大きさ
189 / 435
第十六章

昴 4

しおりを挟む

潤は、軽くたたんだ衣服を、ソファのところまで置きにいって、ベッドに戻ってきた。

肘をついて横向きに寝ていたトモは、ベッドの脇に立った潤を、上目遣いで見上げて言った。

「ジュン君、可愛いな」

潤は、観念して、ベッドに上がろうと、トモに背を向けて、ベッドの端に腰掛けた。

潤は、背中に視線を感じた。

潤が振り返ると、トモと目が合った。

「来て」

トモが言い、潤は黙って身を横たえた。

トモは、向かい合わせで、潤を横抱きに抱いた。

トモの長い腕が、潤の身体にからんだ。

背中を撫でられると、気持ちがよかった。

「ん?  どうした?  気持ちいいの?」

「うん」

潤が正直に答えると、トモは

「ふふっ」

と笑った。

「いいね、この子、ほんとに寝たくなっちゃう」

トモは、トモの部屋のドアに近い、ベッドの足元の方に立って二人の様子を見ていた、昴の方を見上げて言った。

「いいんだぜ?  ほんとに寝ても」

「ううん、だめだよ。16歳でしょ?」

「裸でベッドインしてる時点でアウト」

昴が言った。

「そうだな」

トモは、潤の前髪をなでた。

「でも、かわいそうだよ。無理やりするなんて」

トモは、言った。

「無理やりじゃないよ。抵抗してないじゃないか」

「さっき、抵抗してたよ」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

チョコのように蕩ける露出狂と5歳児

ミクリ21
BL
露出狂と5歳児の話。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

処理中です...