潤 閉ざされた楽園

リリーブルー

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第四章 お邸の玄関と洗面所にて

譲青年と僕は

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「可愛いね。ヨウ君。君みたいな子、好きだよ。君を見ていると、なんだか優しくなれそうな気がする。不思議だな。優しい気持ちになるんだ」
「でも、僕、優しくない譲さんも、好きです」
譲が笑った。
「そうか?  優しくなりすぎたら、君に、エッチなことできなくなるか?」
「そう思います」
「加減が難しいな」
譲が面白そうに笑った。
「じゃあ、いくよ、いい?」
譲は言って、お尻に指を入れた。
「あっ、あん」
「優しくない?」
「入り口触るだけって言ったのに」
「うん、入り口のところだよ?」
「優しくして」
譲は、いったん指を抜いた。
「やっぱり、入れて」
僕が言った。
「抜くと、欲しくなるだろう?」
「はい……」
譲は、入り口を触って、焦らした。
「優しくしようと思って。無理やり入れたりしないことにした」
「入れて……指入れてください」
「優しくしないと」
「ああん、指ほしい……」
「痛いだろう?」
「入れて、お尻に指」
延々と繰り返され、僕はヘトヘトになり、
「瑶のお尻の穴に、譲さんの指入れてください」
と言って泣いた。
「泣くほどほしいんだ?」
「はい」
「それほど言うのなら、仕方ないね」
譲は言って、指を入れてきた。
「あっ」
少し入った。
「今日は、このくらいね?」
「やっ、あんっ」
「指先が、ほんのちょっと入ってるだけ。でも、気持ちいいだろう?」
「んっ、んっ」
「どう? どんな感じ?」
「きもちいい」
「そう、よかった。ヨウ君が気持ちよくて嬉しいよ。あれ? もっと、入るかな?」
「あーっ! あんっ、んっ、んっ」
「ヨウ君、声大きいよ、声抑えて」
「だって、気持ちいい」

脱衣所の引き戸がノックされた。
「開けていいかしら?」
「あっ、だめです! あの、潤君が湯船にお湯をはってくれたので、これから入るところです!」
「よく聞こえないから、開けるわね」
「うわー!」
「あら、譲さんもいたの?」
僕は、バスローブで身体を隠した。
譲の指が、僕のあそこに入ったままだったので、譲の手も隠れるようにした。
「お夕食が冷めてしまうから」
「あっ、これから湯船に入ろうかと」
僕が答えた。
「潤さんは、お先にいただいているけれど、いいかしら?」
「はい、どうぞ、すみません」
戸が閉められた。

「スリルがあるね?」
譲が笑って言った。
「笑いごとじゃないです!」
僕はちょっと怒って言った。
「ヨウ君、あっ、とか声出ちゃってたし。恥ずかしくて我慢してる姿、可愛いかった」
「だって、中に指が」
「ヨウ君の穴が開いて、指が入っちゃうから。ヨウ君もしかして、中年女性好き?」
「それ潤じゃないですか」
「あいつは全方位たらしだから。半径一m以内の生き物全てを発情させる」
「あ、それ学校でも言われてます」
「やっぱり?」
「潤に近づくとエロビームでゲイにされるぞってクラスメイトから注意されました」
譲は、笑っていた。
「あいつの傾向として、より無理めな方向に行くんだよ。異常な刺激を求めているというか。同年代の女の子とか、あるいは男でも向こうから寄ってこられるのとかには、興味ないんだ」
「でも、僕の場合、僕の方から寄ってったと思います」
「へえ。まあ、ヨウ君は、可愛いからな。家に連れて来るくらいだから、よっぽど気に入ったんだろう。ひょっとしたら、潤のが先に狙ってたんじゃないか?」
「そんなことは、ないと思いますけど」
僕は照れた。
「なんだか、妬けるな」
譲は、少し羨ましそうに言った。そして、譲は、少しためらってから言った。
「ヨウ君も気づいちゃったみたいだからこの際、言っちゃうけど……その、後で、びっくりさせるのも悪いから、先に言っとくけど、ここだけの話、潤って、うちのおふくろとやってんだぜ?  それはさすがに俺も引いてるんだけど。いくら血が繋がってないって言ってもさ」
「やっぱり……」
「でも、この話をしながら、指が中に入ってくんだけど、なんで?  また潤が犯されてる場面の想像でもしてんの?」
譲がにやにやしているように言った。
「してません……」
「あいつ、この時間、キッチンでやってるんじゃねえの?」
「うそっ」
「だから、なんでそこで指入るかな?」
「だって……」
「ヨウ君も、気をつけろよ」
「僕は、そんなこと、しませんっ」
「こんなことも、しないって思ってたろう? 潤の兄貴に、全裸を視姦されながら、指で尻穴を侵させるなんて」
「んっ、んんっ」
譲の太い指先が、めりめりとお尻の穴に入ってきているのがわかった。
「あとで、キッチンでもやってやろうか?」
「けっこうです」
「ヨウ君も、そういう見られそうなところですると興奮する癖があるんじゃないの? 初めてでいきなりあんな野外でやったりして」
「そんな癖ありません」
「あれ? ヨウ君、どうしたの? すげえ勃っちゃってんじゃん」
「……これは、違います」
「何?  正直に言ってみな?  潤が犯されているの想像すると興奮するって」
「そんなことないです」
「じゃあ、なにか?  近親姦の犠牲者の潤君を、救ってあげるのかい?  潤の可愛い恋人のヨウ君」
「そんな風に、茶化さないで!」
僕は、悲しくて涙が出てきた。
「そんな風に、言わないで」
この家の人、みんなおかしい、家に帰りたい。
「ヨウ君、でも、気持ちいいでしょ?」
「もう、やめてください」
「そうしてあげたいのはやまやまだけど、ヨウ君のお尻が放してくれないんだよ。気持ちいい、気持ちいいって言って」
「あっ、あっ、んっ」
「ほら、また、よくなってきただろう?  どうしたの?  潤君がかわいそうで、泣いちゃったの?  ヨウ君は、優しい子だね。潤のために泣いてくれるんだ?  いい子だね。俺ら誰も泣かないのに、代わりに、泣いてくれるんだね」
「潤は、泣いていたもの」
僕は、お尻の強烈な快感と闘っていた。
「ヨウ君、我慢しなくていいよ」
「んっ、んんっ」
「まだ、三~四センチしか入ってないんだよ? 指、全部入ったら、どうなっちゃうんだろうね?」
「あっ、ああっ」
「いいね、エッチな顔してるよ?  ほら、鏡見てごらん?」
「いやっ」
「ほら、見て、可愛いから。泣きながら、感じている顔、いいなあ」
僕が目を開くと、瞳孔が開いて、頬や唇や目元がぼうっと赤らんだ、僕がいた。濡れた赤い舌先が唇からチラチラ覗いて、何か咥えて愛撫するものを、誘惑的に、求めているかのようだった。僕は、くずおれて床に膝をついた。
「うん、その方が、いいかも」
僕は床に手をついた。
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