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【真相】召喚された自称平凡な少女。
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side 花園 美華
私の名前は花園美華。
高校1年の15歳。
私は何処にでも居るような平凡な女だ。両親と三人暮らしの一般的な家庭に育ち、家族関係は良好。
こんな平凡な私には『前世の記憶』がある。
誰が聞いてもコイツ頭イカれた?って思うかもしれないが、事実、私には前世で生きてきた20年間の記憶がある。
前世の私は大学の帰り道でストーカーに刺され死んで、前世の記憶を持ったまま気が付けば赤ん坊になっていた。
(あぁ、私死んで転生したのか……)
この状況に少なからず混乱したが持ち前の適応能力で今世は平穏に生きようと決意した。
私は幼児の割りに大人びているだとか子供らしくないとか周りがよく言っていた。
だって中身20代だし。それに同じ年の子のように振る舞ったり、小さい子の遊びをしろなんて何の羞恥プレイ?って感じだし。
一方の両親は手のかからない良い子と言う認識らしくいつもニコニコしながらそう言っていた。
そんなこんなで順調に成長して15年が過ぎ、私は高校生になった。
前世の記憶のお陰で高校入試は第一志望の高校に無事合格する事が出来た。
そして、高校の入学式の日がやって来た。
校長の長い話をパイプ椅子に座りながらこれから自分のクラスメイトになるだろう真新しい制服姿の生徒を見渡した。
皆、熱心に校長の話を聞いて緊張しているのか何処かソワソワして落ち着きがない。
そんな姿に、初々しいなぁとか、自分も昔はああだったなぁとか年より臭い事を思いながら皆に視線だけを向けた。
(よし!2度目の高校生活は悔いの残らない学園生活にするぞ!)
私は、そう決意すると校長の話に耳を傾けた。
★☆★☆
入学式が終り教室に移動した。
席は番号順で私は窓際から二番目の列の後の方の席だった。意外と良い席だった事に内心喜びながら自分の席に着き、近い席の人達に視線を向けた。
(……あれ?どっかで見たような……)
窓際の席、私から見て左斜め前に座る少女の横顔に既視感を覚え、私は首を傾げた。
ショートヘアーの可愛らしい少女で、皆、先生がまだ来ない事をいいことに周りの人に話し掛けたりしている中、縮こまっていた。
そんな少女に、私は必死にどこで見たか思い出そうと記憶を手探り寄せたが思い出せそうで思い出せなかった。
モヤモヤした気持ちを抱えつつ眺めていると、彼女の近くに座っていたもう一人の少女が遠慮がちに彼女に声を掛けた。
肩ぐらいまである黒髪を下の方で一つに括ったおとなしそうな少女。
私は彼女にも見覚えがあった。誰だったか……物凄く見たことあるような……。
「私は、宮野春香。よろしくね」
(……あっ!!)
うんうんと唸っているとそんな声が聞こえてきて私はハッとなった。
(そうだ!私が大好きだった乙女ゲームの脇役だ!)
やっと思い出す事が出来、モヤモヤが一気に晴れたのと同時に彼女二人をマジマジと眺めた。
(って、事は……ショートの子はもしや……ヒロイン!!?)
可愛らしい横顔を眺めながら私はまた前世の記憶を手探り寄せた。
私が前世でプレイしていた乙女ゲームのヒロインは、スチルで後ろ姿や手のみだったりと素顔が描かれていなかった。
キスシーンですら右斜めの横顔で頬しか描かれておらず、微妙に素顔が見えなかった。
恐らく自己投影しやすいようにと素顔が描かれなかったのだろう。
(どうりで思い出せないはずだよ……でも横顔だけで分かっちゃうのもある意味すごいわー私)
内心で自画自賛しながらヒロインの友人ポジの少女、宮野春香を見る。
数少ない同性キャラの立ち絵姿の少女を思い出し目の前の少女と照らし合わせる。
(やっぱりヒロインの友人ポジの子だ!名前も声も一緒、それに、制服も見た目もまんまだし!)
私は彼女二人が前世でプレイしていた乙女ゲームのヒロインとその友人だと核心してふとあることに気が付いた。
(乙女ゲームのヒロインとその友人が居ると言うことは……)
この世界は乙女ゲーム『光の女神と勇者』に酷似した世界だと言う事になる。
それと同時に、私が名前すら登場しないモブだと言う事に気が付いた。
その事実に、内心飛び上がる程嬉しくなった。
『光の女神と勇者』と言うゲームは、異世界を舞台にした恋愛シュミレーションゲームだ。
魔王の復活が迫り異世界から強力な魔力を持ったヒロインを友人、宮野春香を巻き込んで異世界に召喚する。
そこで出会う様々なイケメンと旅をして困難を乗り越え恋に発展し、やがて二人は結ばれる……と言うストーリーだ。
何故、何十年も経って、今だに覚えていたのか?
それは、私が一番大好きな乙女ゲーム作品であり、私が初めてプレイした乙女ゲームで思い入れのある作品だったからだ。
細かなイベントやら選択肢は若干忘れてしまったが、記憶力は良い方なのでこの日、私は家に帰ってから前世の記憶を手探り寄せゲームの内容を思い出せる範囲でメモをした。
(まさか乙女ゲームの世界にモブとして転生できるなんて!)
生でイベントが見える!万歳モブポジ!
私は、メモを取りながら終始ニヤニヤしていたのだった。
☆★☆★
そして、次の日。
私は彼女達を只遠くから眺めていた。
彼女達はあと数ヶ月もすれば異世界に女神として召喚される。
「はぁー……」
折角、乙女ゲームの世界にモブと言うおいしいポジションに居るのに、ゲームの舞台が異世界では生のイベントをニヤニヤしながら眺められないではないか!!
(馬鹿だ私……何で直ぐ気付かなかった!)
ゲームの舞台が異世界であると言う重大な事を今更思い出してガッカリしていた私は、ある事を思い付いた。
(友達の宮野春香が巻き込まれて異世界に行けたんなら、どさくさに紛れて私も行けるかも!)
そして私は召喚の時を待った。
私の記憶が確かなら9月下旬ごろに廊下で二人は召喚されていた。
(「あと数日で10月だね。もうすぐで体育祭だ??」みたいな会話をしていたからなぁ)
二人を張っていれば運良くその場面に出会す事が出来るかもしれない。
その日から私は、二人が召喚されるスチルで見た廊下で二人を待つ事にした。
★☆★☆
そんな事をして数日。
今日もスチルで見た背景の廊下で彼女達を待っていた。
だが、今日は宮野春香しかいなかった。
(なんだ、今日はヒロインは居ないのか……)
そんな事を考えていると宮野春香が私の側を通りすぎた……。
(え!?)
どういう訳か魔方陣が私を中心に現れ考える暇もなく私達は異世界に召喚された。
ヒロインが居ないにも関わらず起きた召喚に驚いていると、モブのはずの私はヒロインがなるはずだった女神になってしまったのだ。
どうやら私は、ヒロインに成り代わってしまったようだ。
私は前世の知識を使い、成り代わった私でもヒロインと同じ様に攻略対象とのイベントをこなす事が出来るかやった結果。ゲーム補正なのか攻略対象とのイベントをモブの私が進めることができた。
これからの戦いで、攻略対象との好感度を上げておかなければ戦いが苦戦する。その為、彼等と友好関係を築いた。
そして、もう一人。
ヒロインの友人ポジの宮野春香とも私なりに友好関係を築くため彼女に進んで話し掛けた。
(本来彼女はヒロインの友人で後々、イベントのフラグ回収に関わってくるからなぁ……)
こうして、成り代わって数週間が経ったある日。
とうとう魔王封印の旅に出ることになった。
魔王封印の旅メンバーは攻略対象とヒロイン、そして宮野春香というメンバー編成がゲームではされていた。
だが、この世界では宮野春香はメンバーに入れられていなく私は焦った。
(彼女が居ないと隠れキャラが出てこないじゃん!!)
そう、彼女は隠れキャラ登場に大いに必要なキーキャラであり、何かと隠れキャラのイベントに関わるキャラなため、魔王封印の旅に同行しなければ隠れキャラ登場イベントの回収が出来ない。
それに、このゲームはキャラが多ければ多いほど、キャラの好感度が高い程、魔王封印の旅は楽になる設定のゲームなのだ
現状、隠れキャラが居なくても今の私達なら魔王封印は可能だと思う。
(……でも、彼と会えなくなるのは嫌だ!)
私が何故、ここまで隠れキャラに拘るかと言うと、魔王封印の旅が楽になると言う理由だけではなく
『光の女神と勇者』に出てくる攻略キャラの中で一番好きだったキャラであり、一番会いたかったのが隠れキャラの『イネス』と言う攻略キャラだからだ。
彼は金の髪をした美しい青年で女言葉を使うちょっと変わったキャラだが、面倒見が良く、いつもヒロインや周りを気に掛けてくれる優しい青年で旅メンバーのおかん的ポジションなのだ。
そんな彼は、私の好みドストライクの見た目と声で、これはもう一目惚れだった。
そして尚且つ、彼の個別ルートが凄く良い!
私のツボを捕らえた彼のルートだけ何度も繰返しプレイした。
だから私は、この世界が『光の女神と勇者』と酷似した世界と知った時から彼に絶対会いたいと思っていた。
(だから、宮野春香にはどうしても同行してもらわないと彼に会えなくなっちゃう……)
私は渋る宮野春香に無理を言って、更に攻略キャラにも宮野春香を同行させたいと頼み込みんだ。結果、彼女の同行が許可された。
私は、安堵した。
(これでイネス登場のフラグ回収ができる)
彼の抱える闇を私が少しでも癒してあげられれば。
私はこの世界でヒロインに成り代わった。だからきっとモブではないヒロインの私なら……。
(生の彼とあの口調、……会うのが楽しみ!)
私はこの先登場する彼に思わず口角が上がるのが分かった。
そして、私達は大勢の民衆に見送られながら魔王封印の旅に出た。
★☆★☆
城を出て、やっと『暗闇の森』に辿り着いた。
ここで宮野春香がパーティーから外れるイベントが起きる。
私はここで隠れキャラが登場するか否かの選択肢、
「疲れたからそろそろ休憩しましょう」を実行するため彼等に、そう伝えた。
するとアッサリ了承してくれ、私達はこの森で野宿をする事になった。
テントで横になっていると「敵だ!」と言う叫び声が聞こえてきた。私は飛び起き外に出ると緑の化け物が私達を取り囲んでいた。
真っ先に私を庇い優しく声を掛けてくれる彼等に嬉しくなりながら、シナリオ通り進んでいる事に安堵した。
彼等が私を庇いながら戦うなか、宮野春香を探すと、いつの間にか居なくなっていた。
(シナリオ通り進んだみたいね……)
彼女は魔物に追われ何処かへ消えた。
魔物を退治し終わり、宮野春香が消えた事を彼等に話し、彼女を探す事になった。
宮野 春香を捜索したが彼女はシナリオ通り見付からず、見付かったのは無惨に切り裂かれた魔物の死体のみ。
魔法も剣も使えない宮野春香が一人で魔物を倒す事なんてあり得ない……と言う事はだ。
(彼がシナリオ通り現れたんだ!)
シナリオでは、魔物に襲われそうになった宮野春香をイネスが助ける。優しい彼は、私達とはぐれて困っている宮野春香を私達の所までわざわざ連れて行ってくれるのだ。
そして、私達と宮野春香、そしてイネスは、次の村で再会する。
私達に再会できた宮野春香は涙目になりながら安堵し、助けてくれた恩人のイネスを紹介して今まであった事をヒロインに語るのだ。
私がヒロインに成り代わると言うイレギュラーが起きてしまったが、ゲームのシナリオ通りに事は起きている。
このまま順調に物語が進めば隠しキャラのイネスに会える。
それに、私は今、『ヒロイン』なのだ。
彼を、イネスを攻略する事も可能だ。その、事実が嬉しくて胸が高鳴った。
(あぁ……早く生の彼に会いたいなぁ……)
私は近い未来出会えるだろう彼を待ち遠しく思いながら、その時を待つ。
だが、私はまだ知らない。
ただの脇役で隠れキャラ登場要員でしか考えていなかった宮野春香と言う存在を蔑ろにした事によって、物語は大きく変わろうとしている事に……。
そして、この世界は乙女ゲームに酷似した世界である前に、この世界が紛れもない『現実』だと言う事を私は心の何処かで分かっていなかったのだった……。
私の名前は花園美華。
高校1年の15歳。
私は何処にでも居るような平凡な女だ。両親と三人暮らしの一般的な家庭に育ち、家族関係は良好。
こんな平凡な私には『前世の記憶』がある。
誰が聞いてもコイツ頭イカれた?って思うかもしれないが、事実、私には前世で生きてきた20年間の記憶がある。
前世の私は大学の帰り道でストーカーに刺され死んで、前世の記憶を持ったまま気が付けば赤ん坊になっていた。
(あぁ、私死んで転生したのか……)
この状況に少なからず混乱したが持ち前の適応能力で今世は平穏に生きようと決意した。
私は幼児の割りに大人びているだとか子供らしくないとか周りがよく言っていた。
だって中身20代だし。それに同じ年の子のように振る舞ったり、小さい子の遊びをしろなんて何の羞恥プレイ?って感じだし。
一方の両親は手のかからない良い子と言う認識らしくいつもニコニコしながらそう言っていた。
そんなこんなで順調に成長して15年が過ぎ、私は高校生になった。
前世の記憶のお陰で高校入試は第一志望の高校に無事合格する事が出来た。
そして、高校の入学式の日がやって来た。
校長の長い話をパイプ椅子に座りながらこれから自分のクラスメイトになるだろう真新しい制服姿の生徒を見渡した。
皆、熱心に校長の話を聞いて緊張しているのか何処かソワソワして落ち着きがない。
そんな姿に、初々しいなぁとか、自分も昔はああだったなぁとか年より臭い事を思いながら皆に視線だけを向けた。
(よし!2度目の高校生活は悔いの残らない学園生活にするぞ!)
私は、そう決意すると校長の話に耳を傾けた。
★☆★☆
入学式が終り教室に移動した。
席は番号順で私は窓際から二番目の列の後の方の席だった。意外と良い席だった事に内心喜びながら自分の席に着き、近い席の人達に視線を向けた。
(……あれ?どっかで見たような……)
窓際の席、私から見て左斜め前に座る少女の横顔に既視感を覚え、私は首を傾げた。
ショートヘアーの可愛らしい少女で、皆、先生がまだ来ない事をいいことに周りの人に話し掛けたりしている中、縮こまっていた。
そんな少女に、私は必死にどこで見たか思い出そうと記憶を手探り寄せたが思い出せそうで思い出せなかった。
モヤモヤした気持ちを抱えつつ眺めていると、彼女の近くに座っていたもう一人の少女が遠慮がちに彼女に声を掛けた。
肩ぐらいまである黒髪を下の方で一つに括ったおとなしそうな少女。
私は彼女にも見覚えがあった。誰だったか……物凄く見たことあるような……。
「私は、宮野春香。よろしくね」
(……あっ!!)
うんうんと唸っているとそんな声が聞こえてきて私はハッとなった。
(そうだ!私が大好きだった乙女ゲームの脇役だ!)
やっと思い出す事が出来、モヤモヤが一気に晴れたのと同時に彼女二人をマジマジと眺めた。
(って、事は……ショートの子はもしや……ヒロイン!!?)
可愛らしい横顔を眺めながら私はまた前世の記憶を手探り寄せた。
私が前世でプレイしていた乙女ゲームのヒロインは、スチルで後ろ姿や手のみだったりと素顔が描かれていなかった。
キスシーンですら右斜めの横顔で頬しか描かれておらず、微妙に素顔が見えなかった。
恐らく自己投影しやすいようにと素顔が描かれなかったのだろう。
(どうりで思い出せないはずだよ……でも横顔だけで分かっちゃうのもある意味すごいわー私)
内心で自画自賛しながらヒロインの友人ポジの少女、宮野春香を見る。
数少ない同性キャラの立ち絵姿の少女を思い出し目の前の少女と照らし合わせる。
(やっぱりヒロインの友人ポジの子だ!名前も声も一緒、それに、制服も見た目もまんまだし!)
私は彼女二人が前世でプレイしていた乙女ゲームのヒロインとその友人だと核心してふとあることに気が付いた。
(乙女ゲームのヒロインとその友人が居ると言うことは……)
この世界は乙女ゲーム『光の女神と勇者』に酷似した世界だと言う事になる。
それと同時に、私が名前すら登場しないモブだと言う事に気が付いた。
その事実に、内心飛び上がる程嬉しくなった。
『光の女神と勇者』と言うゲームは、異世界を舞台にした恋愛シュミレーションゲームだ。
魔王の復活が迫り異世界から強力な魔力を持ったヒロインを友人、宮野春香を巻き込んで異世界に召喚する。
そこで出会う様々なイケメンと旅をして困難を乗り越え恋に発展し、やがて二人は結ばれる……と言うストーリーだ。
何故、何十年も経って、今だに覚えていたのか?
それは、私が一番大好きな乙女ゲーム作品であり、私が初めてプレイした乙女ゲームで思い入れのある作品だったからだ。
細かなイベントやら選択肢は若干忘れてしまったが、記憶力は良い方なのでこの日、私は家に帰ってから前世の記憶を手探り寄せゲームの内容を思い出せる範囲でメモをした。
(まさか乙女ゲームの世界にモブとして転生できるなんて!)
生でイベントが見える!万歳モブポジ!
私は、メモを取りながら終始ニヤニヤしていたのだった。
☆★☆★
そして、次の日。
私は彼女達を只遠くから眺めていた。
彼女達はあと数ヶ月もすれば異世界に女神として召喚される。
「はぁー……」
折角、乙女ゲームの世界にモブと言うおいしいポジションに居るのに、ゲームの舞台が異世界では生のイベントをニヤニヤしながら眺められないではないか!!
(馬鹿だ私……何で直ぐ気付かなかった!)
ゲームの舞台が異世界であると言う重大な事を今更思い出してガッカリしていた私は、ある事を思い付いた。
(友達の宮野春香が巻き込まれて異世界に行けたんなら、どさくさに紛れて私も行けるかも!)
そして私は召喚の時を待った。
私の記憶が確かなら9月下旬ごろに廊下で二人は召喚されていた。
(「あと数日で10月だね。もうすぐで体育祭だ??」みたいな会話をしていたからなぁ)
二人を張っていれば運良くその場面に出会す事が出来るかもしれない。
その日から私は、二人が召喚されるスチルで見た廊下で二人を待つ事にした。
★☆★☆
そんな事をして数日。
今日もスチルで見た背景の廊下で彼女達を待っていた。
だが、今日は宮野春香しかいなかった。
(なんだ、今日はヒロインは居ないのか……)
そんな事を考えていると宮野春香が私の側を通りすぎた……。
(え!?)
どういう訳か魔方陣が私を中心に現れ考える暇もなく私達は異世界に召喚された。
ヒロインが居ないにも関わらず起きた召喚に驚いていると、モブのはずの私はヒロインがなるはずだった女神になってしまったのだ。
どうやら私は、ヒロインに成り代わってしまったようだ。
私は前世の知識を使い、成り代わった私でもヒロインと同じ様に攻略対象とのイベントをこなす事が出来るかやった結果。ゲーム補正なのか攻略対象とのイベントをモブの私が進めることができた。
これからの戦いで、攻略対象との好感度を上げておかなければ戦いが苦戦する。その為、彼等と友好関係を築いた。
そして、もう一人。
ヒロインの友人ポジの宮野春香とも私なりに友好関係を築くため彼女に進んで話し掛けた。
(本来彼女はヒロインの友人で後々、イベントのフラグ回収に関わってくるからなぁ……)
こうして、成り代わって数週間が経ったある日。
とうとう魔王封印の旅に出ることになった。
魔王封印の旅メンバーは攻略対象とヒロイン、そして宮野春香というメンバー編成がゲームではされていた。
だが、この世界では宮野春香はメンバーに入れられていなく私は焦った。
(彼女が居ないと隠れキャラが出てこないじゃん!!)
そう、彼女は隠れキャラ登場に大いに必要なキーキャラであり、何かと隠れキャラのイベントに関わるキャラなため、魔王封印の旅に同行しなければ隠れキャラ登場イベントの回収が出来ない。
それに、このゲームはキャラが多ければ多いほど、キャラの好感度が高い程、魔王封印の旅は楽になる設定のゲームなのだ
現状、隠れキャラが居なくても今の私達なら魔王封印は可能だと思う。
(……でも、彼と会えなくなるのは嫌だ!)
私が何故、ここまで隠れキャラに拘るかと言うと、魔王封印の旅が楽になると言う理由だけではなく
『光の女神と勇者』に出てくる攻略キャラの中で一番好きだったキャラであり、一番会いたかったのが隠れキャラの『イネス』と言う攻略キャラだからだ。
彼は金の髪をした美しい青年で女言葉を使うちょっと変わったキャラだが、面倒見が良く、いつもヒロインや周りを気に掛けてくれる優しい青年で旅メンバーのおかん的ポジションなのだ。
そんな彼は、私の好みドストライクの見た目と声で、これはもう一目惚れだった。
そして尚且つ、彼の個別ルートが凄く良い!
私のツボを捕らえた彼のルートだけ何度も繰返しプレイした。
だから私は、この世界が『光の女神と勇者』と酷似した世界と知った時から彼に絶対会いたいと思っていた。
(だから、宮野春香にはどうしても同行してもらわないと彼に会えなくなっちゃう……)
私は渋る宮野春香に無理を言って、更に攻略キャラにも宮野春香を同行させたいと頼み込みんだ。結果、彼女の同行が許可された。
私は、安堵した。
(これでイネス登場のフラグ回収ができる)
彼の抱える闇を私が少しでも癒してあげられれば。
私はこの世界でヒロインに成り代わった。だからきっとモブではないヒロインの私なら……。
(生の彼とあの口調、……会うのが楽しみ!)
私はこの先登場する彼に思わず口角が上がるのが分かった。
そして、私達は大勢の民衆に見送られながら魔王封印の旅に出た。
★☆★☆
城を出て、やっと『暗闇の森』に辿り着いた。
ここで宮野春香がパーティーから外れるイベントが起きる。
私はここで隠れキャラが登場するか否かの選択肢、
「疲れたからそろそろ休憩しましょう」を実行するため彼等に、そう伝えた。
するとアッサリ了承してくれ、私達はこの森で野宿をする事になった。
テントで横になっていると「敵だ!」と言う叫び声が聞こえてきた。私は飛び起き外に出ると緑の化け物が私達を取り囲んでいた。
真っ先に私を庇い優しく声を掛けてくれる彼等に嬉しくなりながら、シナリオ通り進んでいる事に安堵した。
彼等が私を庇いながら戦うなか、宮野春香を探すと、いつの間にか居なくなっていた。
(シナリオ通り進んだみたいね……)
彼女は魔物に追われ何処かへ消えた。
魔物を退治し終わり、宮野春香が消えた事を彼等に話し、彼女を探す事になった。
宮野 春香を捜索したが彼女はシナリオ通り見付からず、見付かったのは無惨に切り裂かれた魔物の死体のみ。
魔法も剣も使えない宮野春香が一人で魔物を倒す事なんてあり得ない……と言う事はだ。
(彼がシナリオ通り現れたんだ!)
シナリオでは、魔物に襲われそうになった宮野春香をイネスが助ける。優しい彼は、私達とはぐれて困っている宮野春香を私達の所までわざわざ連れて行ってくれるのだ。
そして、私達と宮野春香、そしてイネスは、次の村で再会する。
私達に再会できた宮野春香は涙目になりながら安堵し、助けてくれた恩人のイネスを紹介して今まであった事をヒロインに語るのだ。
私がヒロインに成り代わると言うイレギュラーが起きてしまったが、ゲームのシナリオ通りに事は起きている。
このまま順調に物語が進めば隠しキャラのイネスに会える。
それに、私は今、『ヒロイン』なのだ。
彼を、イネスを攻略する事も可能だ。その、事実が嬉しくて胸が高鳴った。
(あぁ……早く生の彼に会いたいなぁ……)
私は近い未来出会えるだろう彼を待ち遠しく思いながら、その時を待つ。
だが、私はまだ知らない。
ただの脇役で隠れキャラ登場要員でしか考えていなかった宮野春香と言う存在を蔑ろにした事によって、物語は大きく変わろうとしている事に……。
そして、この世界は乙女ゲームに酷似した世界である前に、この世界が紛れもない『現実』だと言う事を私は心の何処かで分かっていなかったのだった……。
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