狐時雨

桂葉

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三章

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 パリン。
 意識の遠いところで、それは小さく響いた。たちまち左の足に強い痛みが走る。
 何か良からぬことが起こったのはすぐにわかった。依代としているものに異変があった場合、精神が繋がっているのである程度の状況は把握できる。困ったのは、把握できるにとどまらず、その「もの」に起きた傷なりなんなりが、こちらにまでしっかり感じ取れてしまうことだ。
「九重? 如何した」
 その気配に、すぐに主は気が付いた。すかさず声を掛けられ、傍に控えていた九重は宇迦のほうに体を向けて答える。
「依り代を壊されました」
「なに」
「近所の童が何かぶつけたようで」
「そうか。意識を保てるか」
 宇迦の、深く胸に直接響くような低い声が、険しさを帯びた。九重の主は慈悲深く、眷属にも惜しまず心を懸けて下さる。もう長年お仕えしているが、九重が覚えている限りずっと、それは変わることがない。
「はい」
「ならば、行こう。依り代を直せなければ代わりのものを……」
 年老いた神はそう言って自ら腰を上げようとしたが、九重はそっとそれを止める。
「いえ、私が。主にご足労いただくほどでもありませぬゆえ」
「そうか。なれど人には気を付けよ。弱っておる時は特にな」
「ご心配痛み入ります」
 九重は、今も痛みを訴える足を庇いながら立ち上がり、主殿から姿を消した。
 あやつら少々懲らしめてやる必要があるか。さすればどのような方法がよいか。苛ついた心でそんなことを考えながら次に姿を現したのは、神社境内の祠の前である。ここに祀られている白い狐の置物、これが九重ら眷属の依代であり、人の世とのつながりを手助けするものである。神域より、これのある場所へと意識を飛ばし、現世に降り立つことが可能になる。
 さて、我が依代に何があったのかと見渡してみると、案の定泥だらけになったボールが祠の下に転がっていた。犯人と思しき小童どもは既に逃げたらしく、遠くに騒がしい声を残すのみで、そこにはいなくなっていた。
「けしからん」
 九重は、そもそも祠の近くでボールなどで遊ぶような子供が、物を壊して謝ることもないのだろうと、諦め半分、やはり腹立たしい思いを噛みしめた。人の子とはなんと身勝手なことか。神に願いだけはたんと託してくるくせに、自らの罪を贖うつもりはないらしい。それはつまり、九重が仕える主に対しての冒涜であると思うのだ。昔は神に無礼を働けば罰が当たると言って畏れたものだったが、ずいぶんと時代が変わったものだと思う。実に嘆かわしい。
 しかも、ボールまで置いて行った。物を大事にする気もないのか。子供相手といえども、呆れてものが言えぬ。
 次に来たら怖がらせるくらいのことはするべきか。それを宇迦様はお許し下さるだろうか。そんなことを考えながら、依代のいくつかが倒れているのを哀れに眺め、九重はさて困ったぞと肩をすくめた。実はもう感じてわかってはいたが、散乱した狐の置物の中に、九重の依代がない。神棚の奥、祠を守るひときわ大きな二体の狐が九重ともうひとりの狐頭の依代で、その九重の分がないのだ。辺りに転がってもいないし、割れた陶器の欠片も見つからぬ、これはどうしたことだろうか。
 負傷のため依代とのつながりも薄らぎ、それゆえか現世に現れていると神力も弱まるようだ。このまま放っておけば依代がそれとして使い物にならなくなってしまう可能性がある。見つけて早急に修補する必要があるのだ。
 精神を集中させてその細い意識の先を読むと、どうも参道の鳥居を超えたところに持ち出されているようだった。そこはもはや、宇迦の作る神域の一歩外側となる。
 歩くのも少々不自由ではあるが構っておられず、依代の元まで駆けつけてみると、そこには鳥居の柱の元に背を丸めてしゃがむ一人の子供がいた。恐らくこの町の小学生だ。
 気配を気取られぬよう慎重に近づくと、うつむいた顔の下に依り代を繋ぎ合わそうとする手元が見えた。
「かわいそうに。ちょうど接着剤持ってるから、待ってるんだよ」
 子供が呟き、ランドセルをあさって小さな黄色い容器を取り出すと、中の液剤を切断面に塗り付け、狐の置物の欠けた足をくっつけた。
 部位が合わさると、依代は少年の手の中に包まれ、淡く光った。同時に、九重の神力もぐっと安定する。ひとまずはほっとした九重である。そして、この心優しい少年に感謝した。こう言っては何だが、捨てる神あれば拾う神ありである。
「乾くまでそっとしてないといけないんだよね……」



 少年は言って立ち上がり、ひとしきり考えた後、ズボンのポケットから取り出したティッシュペーパーに依代を包むと、それを大事そうに持ったまま神社を去って行ってしまった。
 これは予想外の展開である。九重としては、このまま依代を祠に戻し、ついでに望むなら他の依代たちも拾い上げてやってほしいと思っていたのだが。
『主、着いて行ってよろしいでしょうか』
 祠に向かって思念を送ると、やはり案じる声ではあったが「許可しよう」と返った。
 それを受け、九重は先程の少年の気配を辿り、そのまま彼の行く先へと追いかけて行くことにしたのだった。



 幸い、少年の向かった先は神社から左程遠い場所ではなかった。この距離であれば、神域の外とはいえ宇迦の力もまだ届く。
 神社の前の坂を上り切った、町の中では高台になるあたりの、白壁の大きな家だった。人の目線よりも高い柵に囲まれており、植木の隙間から広い花壇が見える。
 少年はその家の門でボタンを押し施錠を解除すると、玄関を開け、誰にも会わずに二階へ上った。ドアを開けると十畳ほどになる部屋があり、その真ん中の卓の上に、少年は手に持ったままだった九重の依代を、そっと横たえた。
「ごめんな、持って来ちゃって。でもちゃんと足が治るまでは、安静にしてないと」
 荷物を置いてから、少年はそう依代に話しかけた。気遣いのある優しい声だ。
 九重はそっと依代に意識を託し、依代の目線を借りて少年を見ていたので、その柔らかな表情も直接自分に向けられたものとして感じ取ることができる。このように慈悲深い子がいるとは、九重の心に沁みるものがあった。
この子はこのまま、依代に悪戯することもまた自分のものにしてしまうこともなく、治れば祠に戻してくれるに違いない。これは、たいへんな恩だ。このままうまく依代が修繕されれば、相応の礼もせねばなるまい。
 少年よ、我に何を叶えさせてくれる?
 できるなら、話しかけてみたいと思った。しかし、この状況では少年を驚かせてしまうだけだろう。それではあまりにも残念だ。神に準ずるものと化け物との区別もついていなさそうな現代の子供には、どちらかと言えば妖の類と認識されてしまうのだろう。
 九重は自分から少年と接することは諦め、しばしこの状況に甘んじていることにした。
 見ていると、整った容姿をした、生真面目そうな子供だった。彼には、目に見えぬものにまで優しさを掛けることのできる心がある。
 本来、人とは直接関わりを持たぬのが、神界に住まう者のしきたり。姿を見せることもせず、声を聴かせることも、触れることもしない。しかし今、なりゆきに従った結果、九重は依代を介して少年と向き合うことになった。
 なれば、我は今後、そなたの短い生の続く限り、そなたを見守っていよう。そしてその中で一度だけ、必要と判じたその時に、この力を貸そうではないか。
 それがそうとわかる必要はない。気味悪がられるのは口惜しいことだから、今ここで予告もするまい。
 少年の気は依代を通して感じ、そして覚えた。これで、いつでも少年の気配を感じていることができる。
 宇迦から授かったこの力、何年も持て余してきたがようやく、使うことができるらしい。それが、罰を与えるようなものでなくてよかった。相応しき者に少しの幸いを、分けてやろう。
 降り注ぐ少年の温かなまなざしを受けながら、九重はそっと微笑んだ。先に楽しみができることなど、もう何年振りの事か。



 翌日少年は、しっかり足のくっついた依代を祠に戻した。当然のように、他に倒れた狐たちを立て直し、最後に祠に手を合わせて。
 修補された九重の依代にはしかし、割れた跡は残った。それは同時に、九重の体にもまた、すこしの不自由を残すことになった。
 治してやろうという宇迦の厚意を、九重はやんわりと断った。少年に力を使うその日までは、そのままでいようと思った。ただの気まぐれだった。


     ●


 風薫るというが、昼間は少々暑さを感じるようになっていくらかが経っていた。ずいぶん日差しも眩しくなってきたせいで、真幸は木陰を探すようにして、座る場所を求めているようだ。
 今やもっと快適な勉強場所くらいどこにでもあるだろうに、それでも、ここがいいと言って彼は通ってくる。
呼ぶから、出ていく。そして少し話をしてから彼は勉強を始め、九重はその傍らで、ただ彼の様子を見ている。
 穏やかだ。
 かつて恩を得、見守ってきた少年と再びこのように関わることになろうとは、不思議な縁だと思う。長く生きてはきたが、ここまで人と関わるのは彼が初めてのことだ。
 彼のことは、事あるごとに見守ってきた。成長するに従い、思い悩む顔を見せるようにもなった。その都度、今が手を貸す時かと考え、しかしまだであろうかと留まって。
 そんなことをかれこれ十年ほど続けてきたわけだが、結局その時を見極めることが叶わぬままに二度目の恩を受けるようになってしまった。
 祠の傾きを直したのが彼だということが分かり、姿を隠していることができなくなった。今ならば、怖がらせてしまう可能性が低くなったことを願いながら。
 そして、まだどこかに疑いを持ち続けてはいるようだが、ひとまず真幸は九重を受け入れてくれた。言葉を交わし、願いをかなえてやりたい旨も伝わった。
 本当は、もうすでにそなたは我の恩人なのだぞ。
 心で思い、しかしそれは伝えてはならぬのだろうと思うから口にはできない。二度も縁を重ねては、繋がりが濃くなりすぎてしまうやもしれぬ。少なくとも真幸が十年前のことを忘れている様子なのだから、今更思い出させずともよい。
 通りすがりの幸運とでも、思ってくれれば。そして九重に望みを叶えさせてくれれば。それでいい。
「なあ、九重?」
 いつの間にか参考書から目を離していたらしい真幸が、足元の小石を蹴りながら呼びかけてきた。
「うん?」
 こちらも境内の風景を眺めていた目を彼に向ける。いつもよりも少し声を和らげたのは、今日は来た時から彼に元気がなさそうだったためだ。
 彼からここに来るようになり、以前のように日常を見守るということは控えていた。もう子供でもないことであるし、彼は九重との出会いを先日からのものとしか認識していないのだから、既に何年も見られていると知ればいい気分ではないだろうと思ったのだ。今はもう、彼にここに来たいという気持ちがあるうちは余計なことはしない。
 そのせいで、神社を出た真幸の様子については、九重はさほど把握しているとはいえなくなっていた。身に危険でも迫らない限り、自宅やその他の場所で何があって何を思っているかもわからない。今日明らかに落ち込んで見える理由についても、九重には察することができないのだ。
「……九重、さ……」
 呟くような声で名を呼ぶばかりで、真幸はその先を語ろうとしない。聞いてほしいことがあるのだろうが、口にしにくいようだ。
「我がいないほうがいいか?」
「え、なんで?」
「いや、ここを離れるという意味ではない。依代にでも籠った方が言いやすいかと思ってな。なにか、聞いてほしいことがあるのだろう。人が神に願いを託すときは、神棚に向かうものだ。違うか?」
 人は、誰にも言えぬ悩みができると、神にそれを語る。恐らくそれは、神ならばどうにかしてくれるだろうという期待以上に、まずはどのような悩みでも聞いてくれるだろうという意味合いが強いのだろうと、九重は思っていた。
 物言わず、ただ聞いてくれる存在。悩みが解消されるかどうかも答えてくれないとしても、そうせざるを得ないほどに重い悩みを、九重もまた宇迦の傍にありながら数知れず耳にしてきたものだ。
 今の真幸もそうなのだろうと思ったのだが、彼は伏せていた顔を上げて目を丸くした。
「ああ、そういうことね。また気を遣ってくれたんだ? 九重は優しいんだよな、ほんと」
 九重を褒める時、真幸の目はそっと細められた。そこには、何故だか切なさが滲む。
「真幸?」
「いいよ、ここにいてほしい。一人でぶつぶつ言うのも、なんか照れくさいしね。じじばばみたいで」
 言われて納得した。確かに、願いや悩みを口に出して神に聞かせるのは、幼子か年寄りくらいのものだ。
「では、何があったかを聞かせてくれるか。聞いてどうなるものでもないやもしれんが、言って心が軽くなるなら、言った方がいい」
「そうだね……。そうなんだけど……」
 まだ言いにくさがあるのか、真幸は口ごもる。視線を落とし、少し考えるそぶりを見せてまた、黙ってしまう。
「どうした? 例の願いとは別でかまわんぞ」
「あはは。それもあったね。なら聞いてもらおっかな」
「なんなりと言えばいい」
「あのさあ、神様も、恋愛……ってする?」
 途切れ途切れに聞かされたのは、意外な質問だった。もっと別の方向……将来の事であるとか勉学についての悩みだろうと予想していた九重である。
「……そうだな、そういう場合も、ある」
 つい、こちらも詰まりがちになった。
「眷属も?」
「それは、稀かと思う」
 九重は正直に答えた。実際、偉大な者に仕える身はその相手にこそ忠誠を誓い心をかけるものであり、他の存在を必要としないからだ。そんな自分が真幸の相談相手に相応しいかはともかくとして。
「そっか。まあ、それでもいいや」
「我では役不足か」
「ううん。いい」
 真幸は、膝の上に広げていた参考書をベンチの上に伏せ、そっと体を傾け、九重の肩に寄り掛かった。そして小さく息をつき、目を閉じて言った。
「俺さ、好きな奴いたんだよね……」
 それから、しばしの沈黙。
「それはつまり、懸想した相手ということか」
「うん。失恋したんだ」
「……なるほど。ひどく袖にされたのか」
「違うよ。告白もできてない。彼女ができたみたいなんだ」
「ほう。彼女とはつまり、恋仲というやつか。そなたは左程その男に惚れておったのか」
「……うん。気持ち悪いだろ?」
「なにがだ?」
「男が男を好きになるとか。普通に変だろ」
 真幸の声が、露骨に自嘲の色を帯びた。悲しむというよりもむしろ、苛立ちさえ孕むように。
「何故だ? 神や神に近い者は男神同士結ばれる場合もある。単体で子を成せるしな。大体性別そのものが曖昧なものだ。気にせぬ」
「そうなの?」
 九重の持ち合わせる常識が、真幸を驚かせたようだ。彼は一度体を起こし、九重を丸い目で見つめてから、また肩にもたれかかった。
「神様っていいな、そういうの緩くて」
「人はそうではないか。されば、辛くもあろうな」
「そういう話だよ。希望なんて最初からなかったけど。なんもかもうまく行かなくって、最後にこれかってね……」
 語尾が揺れた。それが涙のせいであることは、真幸がかるく鼻をすすったことでわかった。
 宇迦にかけられる人の願いとして、真幸と同じ辛さに救いを求めるものも、たまには耳にしてきた。確かに、番いたい相手を見つけても雌雄などという理由で叶えられないというのは辛いことだろう。相手さえそれでよければ左程の悩みではないのであろうが、相手がそれを理由に自分を拒むのであれば、切ない。
 察することはできる。しかし、所詮同じ悩みを持ったことのない九重が何を言っても気休めにしかならないのだろう。人知を超えた存在であっても、無力な時は無力なのだ。九重には、真幸が心を寄せる男の心を動かすことはできない。
「なるほどな。生憎我の出番はなさそうだ。この類の話は得手ではない。せめて」
「え、なに?」
「少し場所を変えよう。目をふさぐぞ」
「え……?」
 驚いたような真幸の両目を、掌で覆った。温かな水で掌が濡れた。
 そこまでする必要がないことは重々に承知していたが、考えるよりも先にそうしてしまっていた。
「いいぞ」
 手を離し、真幸を見れば、彼はまだ涙の浮かぶ両の瞳を大きく見開いていた。

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