どうしよう、俺の公子様がXXに。

小夜時雨

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公子様の中の心。

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 リヒト・ガーディアン。
それが、僕の名前だ。なにを守っているのかわからない苗字だが、自分の大切な命を護ることぐらいはできる。兄の頭は獣だが、体つきは間違いなく武者ものの適正ある獣人。どんな相手でものし上げることが可能な、やや能天気のきらいがある家族思いの兄だ。
 そして、狼。上司もウルフなので相性は良いのだろう、兄の職場は多頭飼いの臨場だと、日向に日向に、いや、これじゃ日向しかないんだけど、表沙汰にされている。
 そうして、僕。獣人だ。
問題は、僕は兄と同じ狼ではない、ということ。
 義理の血筋、ということではないが、兄とは半分の血が繋がっている。

 (そう、そこが……獣人の嫌なところだ)

 案外といるのだ、そういうご家庭は。
特に、ツガイ制度があるというのに、その前に盛り上がってしまった場合の結果は。

 結末はといえば、仲良くファミリーとなるだけ、ということ。
 特に父が、狼、という家族の形を大事にする狼の本能を持っていることが幸いした。別の血を持つ僕を、とても大切にしてくれたのだ。異なる血脈だとしても。
 
 かぱ、と口開き。
僕の、奥にあるチャームポイントともいうべき尖った歯が飛び出してきた。
 
 僕の本能による、その声は。

 いくら高位貴族の高みにいる人だとしても、たまらない、ことだろう。
衝撃波は、目に見えない空気中を一気に駆け抜ける。
 
 「っ!」

 たまらず、愛しい……、
(……? いとしい?)

 僕は怪訝に思ったが、まあいい、と切り替える。
 緩んだ腕を振り外し、僕はさっくりと足に力を入れて、貴族のお庭を飛び上がった。

 「待って!」

 焦りのともなう声が聞こえたが、……僕には聞こえないふりをした。
だって、今。捕まったら、ずっと、ずーっと……。

 (なにか、変わってしまう……)

 そんな予感がしたからだ。

 (あと、単純に、怖い)

 夜空に跳ね上がったとき、見渡した空はとてつもなく暗く、けれど月明かりで浮かび上がった僕の影は、なんとも不気味な夜の支配者たる、あの父と同じ姿をしていたことだろう。
 まったく、嫌なことだ。
僕にだって、種族の希望を聞いてくれたっていいのにな。
 
 (異世界に生まれ、バカみたいに力がある種族になったのはいいけれど。
 なんか、さ。面倒だよね)

 人の形をした悪魔。
ばさ、ばさとせっかく身綺麗にした格好の袖口が、破れていることにも気づかぬ僕は、なんとも抜け作ではあったことだろう。







 ーーーーああ、ようやっと手に入れた、と思ったのに。


 彼は、立ち去ってしまった。
自分の手から。

 いや、捕獲しようとしたのが間違いだったのだろうか。
 彼の種族は、僕の猫科目とは相性の良すぎるものだった。

 耳の良い僕の獣人としての能力は、彼の音波を拾い、私を固く、痺れさせる。
 
 「ぐっ」

 間近で放たれた、彼の声はなんと、心震わすものか。心身ともに、熱くさせた……。
素っ裸であるという矜持のない自分の股間すら、彼に反応して持ち上がっていた。

 「なんと……かわいいことよ……」

 倒れ伏した王の血脈を、彼は一顧だにせず、その獣人の力でもって、夜空を歩くかのように飛び上がってしまった。まるで、夜の帝王のようだった……。いや、確かに……、

 「あそこの具合も……良かったが……」

 きゅ、と後ろの窄まりが、とうとう見つけた希望のものの気配を想い、引き絞られた。
中には、遊びで入れられた性液が粘着しているので、やつらのものをいつまでも入れててもな、とげんなりもする。たらり、と内腿に伝うのは、もうこれ以上は……、はぁ、いけない。
 後始末をせねば。

 ようやく動いた手のひらを開き、閉じ込めていた輝きを眺める。
夜の光に照らされ、少しだけ輝くそれは、彼のカフス。

 愛しい、彼の家紋が描かれたものだった。

 思わず、といった程で、唇の端がゆるむ。

 「ふ、ふふ、ふふふ……」

 じっくりと見つめ、口づける。
 耳の形も、良かったな……、と尖った先をもう一度、喰んでみたい、などと。
 カフスの持ち主の、その後の野望を描く。

 白い肌を露出し、地面に横たわったまま。
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