どうしよう、俺の公子様がXXに。

小夜時雨

文字の大きさ
47 / 229

まず最初にやってきたご夫婦、義理の両親ですはじめまして。

しおりを挟む
 フリードの両親、まさしく猫らしい気品ある顔だちの……そう、猫の顔だった。二人とも。
体は人型で、前世の記憶を引き出したら奇妙に思うところだが、この世界は獣人世界なため、当たり前のように受け止める。

 「まあまあ、可愛い子ね」
 「はじめまして、猫です」
 「そうねえ、あなたは猫だわ」
 「マイワイフ、君もね」
 「あはは」
 「おほほ」

 顔が猫型のまま、とっても軽快に喋り倒していた。
格好はナイスミドル、深窓なマダム、といった風体なので、なんとも見た目だけは奥ゆかしい貴族らしい貴族だった。

 「わたくしたち、同じ猫科でねえ。猫顔のまま生まれたものだから、
  このほうが楽で楽で」

 人の顔にもなることはできるらしいが、この夫婦、こっちが正しい、と思って猫の顔のまま器用に生きているものらしい。顔がふさふさだが、伸びている腕から先はしゅっとしていて人の手をしている。僕は獣人のファッションチェックに興味がないうえに疎いため、そういった生き方もあるのだろう……と思うことしかできない。
 やけにヌイグルミちっくな猫顔は間違いなく毛がみっちりと生えており、柔らかそうですらある。
 (毛並みは息子とそっくりだなあ)
 フリードの毛並みもふさふさで、確かにこの親子の子である証ではあった。色も似ている。
 
 「今日は楽しみにきたのよ!
  とうとうこの破廉恥な息子にも春がきたと!」
 「おいおいよさないか、本当のことを言うのは」

 しかもあけすけで、オープンマインドは凄まじい。
 いや、確かに、息子さんもそうとうオープンだったっけ……血筋かもしれない。

 「父上っ……母上、なんてことをリヒの前で言うのです……!」

 ぷんぷん、といった態で、隣にいるフリードは口答えをする。

 「今後、仲良くするのはリヒとだけです!」

 (う、うーん)
 その言い方も絶妙に怪しい言い回しだ。過去にナニかあった……あったんだけど、微妙な気持ちにもなる。

 「あらあらアツアツね!」
 「もう夏が来たのか。今年は季節の移り変わり目が早いな」

 ひゅうひゅう、とでも言いそうなフリードのご両親に、僕としてもどうにも言葉にしづらく、微笑みを口元に保つ。

 「リヒトくんも、もしこの子の変態っぷりについていけない、ダメだと思ったら、
  離婚していいからね?」
 「しません!」
 「はっはっは、まだ結婚もしてないというのに、
  とうとうバツ2か」
 「増やさないでください!」
 
 なんとも、ヴァン家の家族模様が薄ら見える食事会のはじまりだった。
 (息子であるフリードの、夜会での振る舞い……、
  不安に思っていたんだろうなあ)
 そして、息子の婚約者が男でいいんだろうか……と思ったが、とんでもなくウェルカムな舞台であったため、話はフリードの子供の頃の話題に移り変わり、彼がいかにモテモテ人生を送ってきたのかを知る羽目になった。
 今がこれほど陶器のような肌と顔をしているんだから、幼少期などそりゃあとんでもなかったことだろう。何回か誘拐騒ぎもあったらしい。が、そういう場合、ただの子猫ではない大型猫の子猫であったことが幸いし、ことなきをえたとか。
 (僕の場合……破壊し尽くすばかりだったなあ)
 力の加減、難しい。

 最初は、この二人。
 次にやってきたのは、遅れてやってきた僕の両親だった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

同性愛者であると言った兄の為(?)の家族会議

海林檎
BL
兄が同性愛者だと家族の前でカミングアウトした。 家族会議の内容がおかしい

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

【本編完結】才色兼備の幼馴染♂に振り回されるくらいなら、いっそ赤い糸で縛って欲しい。

誉コウ
BL
才色兼備で『氷の王子』と呼ばれる幼なじみ、藍と俺は気づけばいつも一緒にいた。 その関係が当たり前すぎて、壊れるなんて思ってなかった——藍が「彼女作ってもいい?」なんて言い出すまでは。 胸の奥がざわつき、藍が他の誰かに取られる想像だけで苦しくなる。 それでも「友達」のままでいられるならと思っていたのに、藍の言葉に行動に振り回されていく。 運命の赤い糸が見えていれば、この関係を紐解けるのに。

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!

タッター
BL
 ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。 自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。 ――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。  そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように―― 「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」 「無理。邪魔」 「ガーン!」  とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。 「……その子、生きてるっすか?」 「……ああ」 ◆◆◆ 溺愛攻め  × 明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け

異世界転移した先は陰間茶屋でした

四季織
BL
気が付いたら、見たこともない部屋にいた。そこは和洋折衷の異世界で、俺を拾ってくれたのは陰間茶屋のオーナーだった。以来、俺は陰間として働いている。全くお客がつかない人気のない陰間だけど。 ※「異世界に来た俺の話」と同じ世界です。 ※謎解き要素はありません。 ※ミステリー小説のネタバレのようなものがありますので、ご注意ください。

処理中です...