どうしよう、俺の公子様がXXに。

小夜時雨

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ルフス氏は語る1 ※モブ使用人×ルフス(今の所未遂)

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 男娼時代の慣れた時間帯ではなく、眩い朝日を浴びながら起きる。
早起きを習慣化するのには今なお手こずってはいるものの、それなりに体がついてくるようになった。

 「ふぁ……」

 サラサラ、と客を喜ばすために伸ばしていた髪を少しだけ短くし、興奮を煽るための匂いづけをしなくなったため、手早く整えることができるようになった髪をざっくばらんに指でかき混ぜ、あくびをしながら寝台から降り立つ。二度寝は休みをいただいた時ぐらいのご褒美。それ以外の就業日は、このように起きて、朝日をさらに浴びるためにカーテンを開き、身支度をする。
 ヴォル家特有の衣装に身を纏い、髪をまとめて縛る。
胸元には、ヴォル家の家紋が彩られ、さらにはガーディアン家の家紋も付随している。
 一応はまだ嫁いでいない立ち位置であるリヒト様の使用人、でもあるためだ。
絶妙にどっちつかずな立場であるものの、身命を賭して護るべきお相手はリヒト・ガーディアン様であることは、婚約者どのもご承知のこと。むしろ、リヒト様の侍従がまったくいないことに少しばかり気がかりとされていたらしい、フリードリヒ様がちょうどいいとばかりに俺をその立場に置いておきたいと、タイミングよく現れたため程よく白羽の矢が立った……と、いうのが実情のようだ。
 
 もちろん、やっかみもある。
ルフスの身元は保証されているものの、成り立ちがヴォル家の者にふさわしいものではない、とみなす誇り高き使用人たちは少なからずいる。

 中庭にて、ふと足元に影ができた、と思ったので見上げると、何かが落ちてきた。
それは、生ごみであればまだ物理的に攻撃されたとみなされて報告しがいのある出来事だが、生き物はいけない。蛇や虫、鳥やら……枚挙にいとまがないが、まるで生物がみずからやってきた、という自然現象であり、人の手ではない、という態にはなる。
 
 「う……」

 今日はネズミか、とルフスは頭を振った。
ネズミはすぐに元気に逃げていったが、しかしこうも立て続けにやってくるのは厄介なものだ。
 
 ただ、こんな可愛らしいものはまだマシだ。

 事件化を気づかれないような、そう、被害者が報告しなければなんとかなる、とたかを括る凶悪犯、というのも、なかにはいるもので。頭が良いのか、知能犯なのか。ルフスの、リヒト様にご迷惑をおかけしたくない、という気持ちを弄ぶ行為ではあった。

 「……あなたたちは……」
 
 そう、はじめから、なんとも熱心に……否、不躾な視線を送ってきていた男のひとりだ。
残念ながら、ルフスの育ちはこのヴォル邸の中においては奇異なものであり、また、それがこの手の輩にとっては手ぐすね引いて待ち構えたくなるものらしい。
 ルフスがひとりで、ご主人様の持ち物を洗濯するため、廊下で持ち歩いていたのを押し込まれた。
男はルフスを軽く、細々とした物置部屋に連れ込み、もう一人は見張りとして立たせる役回りのようだ。

 「くっ……」

 男はずいぶんと興奮している。
床に倒れ伏しながらも、健気に、

 「リヒト様のものが……」

 と訴えるさまを見ても、男はルフスの腕に手を伸ばし、縛り上げた。
ルフスだってこれから起こりうる蛮行を甘んじて受け入れたくはない、両足をばたつかせ、声を上げて助けを求めたが、誰も来なかった。
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