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エンバス領都
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エンバス領土は隣の領土と湖の所有権をめぐって喧嘩を今なおしているとか、魚うまいとか、干物にしたらいいとか、ジュ・ドラン領土やグリューネグ領土などの周辺領土についての四方山話をしていたら、あっという間に時間が過ぎてしまった。
「いやあ、久しぶりに王都の方とお話しできて、
我々は楽しかったです」
そう、傭兵たちは手を振りながら仕事の続きに向かった。
片付けるようだ。広場にいた、キャラバン目当ての獣人らも気づけば親子連れは消えていき、ムーディな感じになってきた。
「……リヒト様、
ここにこれ以上いると、近場のお姉様がたに吸い取られますよ」
(なにを?)
と思ったけど、これ以上はご勘弁願いたい。
「うん。
……帰ろうか」
「はい」
久しぶりの邂逅に、懐かしいものを感じつつ(といってもいまだに傭兵さんらの顔がわからないが)名残惜しいけど、立ち去ることになった。
「夕飯、お魚定食だし!」
「フリードリヒ様のご希望でしたね」
(猫だからかな)
ここ、エンバス領土に入ってから得られた魚介類の新鮮さに、フリードはすっかりハマってしまったようだ。
仕事に篭る時間も、心なしか短い気がする。
(よっぽど大好きなんだなあ)
それはそれで、婚約者として立場がないというか、なんとも面白くはないが、でも、ひょいひょいと食べて満足げな美人スマイルを見るのも心がほっこりとするものだ。
「……王都に帰る際には、お魚いっぱい運んで帰るか」
(とても馬車が生臭くなりそうだが)
「そうですね。
保存方法や、新鮮な魚の選び方とか。
調べておきますね」
「お願い」
「ふふ、はい。承知いたしました」
せっかく景勝地めぐりをと行脚を目指したものの、計画倒れになってしまったけれど、目玉の領主の住まいは確認できたし。
(……人数はそれなりにいたようだし)
忍びこむルートは外観から下調べできたし、まあまあ、な成果かな。多分。
(できれば今夜にでも……といいたいところだけど)
フリードと同じ寝台だしさすがに抜け出すには大型猫の耳や鼻を塞ぐのは大変だ。
さらには隣にルフスさんが寝入っているし、案外と僕の使用人は直感が働くし。
「……ムズカシ」
僕のぼそっとした独り言も、ルフスさんは聞き逃さずこちらを振り返って見てくる始末。
「なんでもないですよ、へへ」
「……? そうですか?」
「うん」
よからぬことを考えると、どうも伝わりやすいっぽいんだよね。
だから彼は僕の闇討ちをついてきたりもするし……。
(うーん。まあ、今回は王様の希望もあって、
エンバス領での調査依頼もされてるし)
まあメインで動くのは僕の婚約者様だからね。
彼の顔を立てるためにも、僕は後方婚約者ヅラをしなければ……。
いや、まあ、婚約者なんだけどね。
エンバスの主道はさまざまな獣人が歩いている。
格好はさまざまだ。
朝方見た、一般領民たちは王都でも同じようなものだけれど、その他大多数の真なる労働階級たちが一番の気掛かりポイントだ。
(俗に言うブルーカラー)
この世界の獣人らはパワーが人間と異なって普通じゃないので、ブルーカラー? なの? みたいな……多少差っ引いて見なければならないところはあれども、きちんと吟味しないと逆にこちらが逆差別みたいな感じになっちゃうので十分注意して見なければならない。
(そこのあたりは、フリードがよくよく調べてくれてる)
事前に調査もしているので、ある程度は的を絞っているだろうけれども。
金や権力に余裕がありそうな獣人らを縫うようにして、僕はルフスさんと宿へと戻った。
「いやあ、久しぶりに王都の方とお話しできて、
我々は楽しかったです」
そう、傭兵たちは手を振りながら仕事の続きに向かった。
片付けるようだ。広場にいた、キャラバン目当ての獣人らも気づけば親子連れは消えていき、ムーディな感じになってきた。
「……リヒト様、
ここにこれ以上いると、近場のお姉様がたに吸い取られますよ」
(なにを?)
と思ったけど、これ以上はご勘弁願いたい。
「うん。
……帰ろうか」
「はい」
久しぶりの邂逅に、懐かしいものを感じつつ(といってもいまだに傭兵さんらの顔がわからないが)名残惜しいけど、立ち去ることになった。
「夕飯、お魚定食だし!」
「フリードリヒ様のご希望でしたね」
(猫だからかな)
ここ、エンバス領土に入ってから得られた魚介類の新鮮さに、フリードはすっかりハマってしまったようだ。
仕事に篭る時間も、心なしか短い気がする。
(よっぽど大好きなんだなあ)
それはそれで、婚約者として立場がないというか、なんとも面白くはないが、でも、ひょいひょいと食べて満足げな美人スマイルを見るのも心がほっこりとするものだ。
「……王都に帰る際には、お魚いっぱい運んで帰るか」
(とても馬車が生臭くなりそうだが)
「そうですね。
保存方法や、新鮮な魚の選び方とか。
調べておきますね」
「お願い」
「ふふ、はい。承知いたしました」
せっかく景勝地めぐりをと行脚を目指したものの、計画倒れになってしまったけれど、目玉の領主の住まいは確認できたし。
(……人数はそれなりにいたようだし)
忍びこむルートは外観から下調べできたし、まあまあ、な成果かな。多分。
(できれば今夜にでも……といいたいところだけど)
フリードと同じ寝台だしさすがに抜け出すには大型猫の耳や鼻を塞ぐのは大変だ。
さらには隣にルフスさんが寝入っているし、案外と僕の使用人は直感が働くし。
「……ムズカシ」
僕のぼそっとした独り言も、ルフスさんは聞き逃さずこちらを振り返って見てくる始末。
「なんでもないですよ、へへ」
「……? そうですか?」
「うん」
よからぬことを考えると、どうも伝わりやすいっぽいんだよね。
だから彼は僕の闇討ちをついてきたりもするし……。
(うーん。まあ、今回は王様の希望もあって、
エンバス領での調査依頼もされてるし)
まあメインで動くのは僕の婚約者様だからね。
彼の顔を立てるためにも、僕は後方婚約者ヅラをしなければ……。
いや、まあ、婚約者なんだけどね。
エンバスの主道はさまざまな獣人が歩いている。
格好はさまざまだ。
朝方見た、一般領民たちは王都でも同じようなものだけれど、その他大多数の真なる労働階級たちが一番の気掛かりポイントだ。
(俗に言うブルーカラー)
この世界の獣人らはパワーが人間と異なって普通じゃないので、ブルーカラー? なの? みたいな……多少差っ引いて見なければならないところはあれども、きちんと吟味しないと逆にこちらが逆差別みたいな感じになっちゃうので十分注意して見なければならない。
(そこのあたりは、フリードがよくよく調べてくれてる)
事前に調査もしているので、ある程度は的を絞っているだろうけれども。
金や権力に余裕がありそうな獣人らを縫うようにして、僕はルフスさんと宿へと戻った。
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