どうしよう、俺の公子様がXXに。

小夜時雨

文字の大きさ
204 / 229

作戦は、こう2

しおりを挟む
 「しかし」
 「フリード」
 
 今度は彼の両手をぎっちり掴み、上目遣いで狙いにいく。

 「ダメ?」
 「うっ」
 「僕、どうしても殴り……、
  ううん、後始末するつもりなんでしょ?
  連れてってほしいな、ね、フリード」
 「だ、だがっ」

 それでも断ろうとする頑固さに、僕はまたひとつの技を使う。
掴んだ彼の両手、その指はだいぶ硬い。指先なんて特に。普段座り仕事をしている、なんて言ってるのは伊達ではないだろう。なんだか可愛く見える。節のある大きな、少なくとも幼い僕よりも大きな指先。働いている男の指だ。
 
 「リ、ヒ……」

 フリードの混じり気のない、息の止まるような声。
 僕はフリードの指先に、音のない口付けをする。柔らかく、まるで啄むようなものだったけれど、じ、と見上げると彼の白い肌はすでに赤い色で染まっている。

 「お願い、フリードリヒ。
  僕、勝手についていっちゃうよ?」
 
 さらには首を小さく傾げる。
すると、フリードはその美しい女装からはとてもじゃないが発することはないであろう、雄々しい呻き声を少し漏らしながら何やら必死に呟きながら俯き、数分の沈黙後、見上げた顔はすっかり涙目で、僕に対し、コクンと頷いた。
 (……可愛いのはフリードのほうなのでは?)
 と思ったが、僕オリジナルの技に陥落したフリードを前に言うのも憚られた。というか部下がいるというのに、また冷静に立ち戻った精神性もすごい。ちなみに手は離れていない。今度は婚約者殿の手が僕の片手をがっちりと拘束中。

 「リヒ……どうしてそう、
  可愛いことばかり言うのです?
  俺をどうにかするつもりですか?
  はぁスベスベで可愛い……」
 
 (小声で何か言ってる……)
 そして少し大きめな声で、部下たちに指示を飛ばしている。
謎の脊髄反射だが、僕の手を指先で撫でながら僕の要望を聞き入れてくれたので、まあいいか……。いいのかな……。
 (まあ、僕の希望が叶えばよし、だし)
 
 「リヒト様。
  公子様。
  それでは、いってまいります。
  ……お二方のご武運をお祈りしております」
 「うん。ルフスさんもお気をつけて」
 「はい。承知いたしました」
 「……無事に帰還せよ。
  リヒトが……不安になって破壊し尽くすから」
 「はい。ご心配をおかけしません」

 くすくすと笑いながら、ルフスさんは薬の制作現場へと騎士、そして護衛らと共に向かう。
他にも目に見えない侵入社員ならぬスパイがエンバスには入り込んでいるので、意外と武力は多いのだ。制圧しなければならないため、多少、人数は多くつけている、とはフリードの談。
 鳩の一味、彼らは僕らのスターダムを夢見ていたけれども、この目的のため、まあがっかりとしつつ、話のネタになると目眩し役を買って出てくれた。ありがたい。彼らはエンバスの男衆の前に出て、できる限り時間を稼ぐつもりのようだ。

 「……行くぞ」
 「はっ」

 小さい声で、しかし、確実に向かう。
その矛先は、エンバス領主。その証拠だ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

同性愛者であると言った兄の為(?)の家族会議

海林檎
BL
兄が同性愛者だと家族の前でカミングアウトした。 家族会議の内容がおかしい

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

【完結】我が兄は生徒会長である!

tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。 名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。 そんな彼には「推し」がいる。 それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。 実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。 終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。 本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。 (番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【本編完結】才色兼備の幼馴染♂に振り回されるくらいなら、いっそ赤い糸で縛って欲しい。

誉コウ
BL
才色兼備で『氷の王子』と呼ばれる幼なじみ、藍と俺は気づけばいつも一緒にいた。 その関係が当たり前すぎて、壊れるなんて思ってなかった——藍が「彼女作ってもいい?」なんて言い出すまでは。 胸の奥がざわつき、藍が他の誰かに取られる想像だけで苦しくなる。 それでも「友達」のままでいられるならと思っていたのに、藍の言葉に行動に振り回されていく。 運命の赤い糸が見えていれば、この関係を紐解けるのに。

処理中です...