どうしよう、俺の公子様がXXに。

小夜時雨

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エンバスジジイがやってきた

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 さて、やってきたるはエンバスの領主、ドルガン・エンバス。
枯れ枝とまではいわないが、ヒョロイ男である。服に着せられている、というか、金だけはある貴族といった成金風情。顔色はベッド上に乗り上がるまでわからなかったが、だいぶニヤけている。今後見せられるものが、あれだからだろう、あれ。
 
 (考えてみると……2回目のデバガメだ)
 
 そう気づくと、微妙な気持ちになる。
後ろにいて僕の両腕を抱きしめているフリードは、首筋をわざわざ嗅いで良い匂い、などと小声で猫の本性を丸出しにしている。リラックスしすぎているのは、きっと僕を信用している証だろう……きっと。

 (タイザーは元気にしてるだろうか……)

 あれから、こんな間柄になる相手になるとは。
世の中って何が起きるかわからないものだ。
 ……もっと言うと、異世界転生してるのが一番摩訶不思議なんだが……。
僕の小さな体を背後から身動きできないようフリードがその身でもって塞いでる間に、被疑者(という名の変態領主)は、行動を進めていく。

 「……今日はなかなか、良い具合の収穫だった」

 などと、シワがれた発言をしながら領主は撫で回しながら、連行してきた人物の服を脱がしている。
連行者も望んで衣服を脱いでいるので、わかっていてきているのだろう。ちょっとほっとした。
 (もし、これが嫌がってでもいたのなら、
  僕は絞め……、
  すぐにでも助けなきゃって思っただろうし)
 もちろん、嫌なことをされてそうならまあ……助けることだろう。
幸いにして僕にはそのチカラがある。
 (背後のフリードが、僕の耳朶を唇でなぞってくるのが……
  いやらしいけど)
 というか、領主と同じことしてないか、僕の婚約者は。

 「絶世の美女が出る、
  と言う話だったが……、
  今回は流れたようだ。
  まあ、仕方あるまいて。
  これほどまでの美しいものが、
  今日のお相手であれば、
  まあ……良いだろう」

 エンバス領主は連行してきた獣人の耳をさわさわと触りながら、ちゅっちゅと口付けをしている。なんともいやらしいことだが、音が出るたびにフリードも同じように連動して僕の耳を唇でハムっている。やめろ。エロジジイと同じことをするんじゃない。

 「ほお……これは、これは。
  なかなか良い物を持ってるじゃないか……」
 
 エンバス領主は剥いた人物を真正面から見てとり、大いに喜んでいる。
ヤニ下がった顔。品のないしわくちゃは見るに絶えない。なんて酷い歳の取り方をしたんだ、あのじいさん……。

 「わしは歯が抜けておってなぁ。
  なかなか良い、と評判なのだ。
  どうだ、味わってみるか?」
 
 今回のお相手はこちらからは後ろ姿しかみえないので顔はわからないが、ずいぶんとがっちりとした体型をしている。女性にしてはガタイが良い、というか……肩甲骨がムキッとしている。何かの運動でもしていたか、そういった仕事をしてきた逞しい人なんだろうか……? それとも獣性がそういう……?
 ジジイがその両手をさわさわと相手の胸元をいじりながら、舐め回している。うわあ。
……そして、フリードも負けじと僕の上半身を服の上からさわさわと長い指で舐め回している。マジでやめろ、と僕は彼の手の甲をちねった。

 「っ……!」

 悲鳴を押し殺した声をあげたが、僕は無視する。
フリードはこんな目にあってもなお、僕の体をその伸びた足で挟み込んでいる。つまりは、僕を解放させないように動いているのだ、この作戦の責任者として。

 (ムムム!)
 やっぱり、と僕はその場で暴れ回りたくなったが、今回の件はたくさんの人の手がかかっている。お金だってかかってるし、被害を受けてもなお健気に証拠を見つけてきた味方だっている。

 どうしても状況証拠が必要なのだ、この大貴族のエロガッパを引き摺り落とすために。
社会的にも、そして世間的にも。被害を受けたものがあまりにも多いのだ、大いに貶めたいのだろう。

 (くう……)
 僕が力を使えばそれで済むけど、それではその後のことがどうなるかは……後の尻拭い、を前世の自分が答えを出してくれていた。うう、なんて無駄な思考、そしてそれは限りなく正しい……。

 「この地には生きたものたちがいる。
  どうか、堪えてくれ」
 「っ、フリード……」
 「すまない」
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