BUG(バグ)~蟲の国ではすでに人間様は強者ではない~

こんぶおにぎり

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特殊部隊に入隊決定

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「智尋」

修司が小声で呼んできた。

「友達が呼んでるから。」

秋姉とのどかに一言入れて俺は修司の隣に行った。

「何でそんな小声なんだよ。」
「あの状況で呼ぶのはなんか…しかも俺は知り合いお前しかいないんやからこの空気耐えられへんって。あと凄く羨ましい……」

修司の目には羨ましいオーラが宿っていた。ウラヤマシイ ウラヤマシイ ウラヤマシイ

「そうだ、お前に言っておきたいことがあるんだ。」
「なんや?智尋?あらたまって。」

身体検査前に言っていたことはだいぶ重い話だった。友達になってから数日しか経っていないけど、これだけは言っておこうと思った。

「家族はいないかもしれない。けど、お前には友達が、俺がいる。だから死んでもいいなんて言うな。」

相当な熱量がこもっていたんだろう。修司は少し驚きながらも、答えてくれた。

「そうだな。友達ができたからな。それに今はお前だけかもしれんけど、これからたくさんできるかもしれんから
な。ありがとな!智尋!」

俺と修司の距離が縮まった。そんな気がした。


隊長らしき人が入ってきた。
というかあれ、以前授業してくれた高木さんじゃないか?

「よく集まってくれた。私が特殊部隊の隊長、高木則武だ。ここにいるのは特殊部隊に入隊が決定しているものだけだ。全部で10人……なんだ?」

迷彩服を着た男が小走りで近づき、高木に耳打ちする。

「えー、死んだと思っていたが生きている奴がいた。ということで、全部で11人だ。」

生きていたと思われる女の子が入ってきた。

「あの子よくね?」

修司は気に入ったようだ。

「ん?」

俺は見逃してしまった。すぐに会えるだろうと思い、気にはしなかった。

「これから特殊部隊の活動について説明する。君たちは特殊な能力があることが確定している。まだ発現していないやつもいるだろうが心配するな。そのうち発現する。その力を使って現在地上に住み着いている蟲の駆除をしてもらう。」

能力って何の能力なんだよ。説明がガバガバだな。

「活動は7月からだ、それまでに能力を発現し使いこなせるようになっておいてほしい。以上だ。解散してくれてかまわない。」

それぞれが帰っていく。
しかし何故かこちらに近づいてくる奴がいた。

「よ~う♪生きてたようだな♪」

以前俺に接触してきた奴だ。相変わらず仮面をつけたままだった。こいつ適合者だったのか。

「お前、この前はよくもやってくれたな。部屋に土足で入りやがって。」
「すまんすまん♪」

本当に悪いとは思っていないのだろう。軽く流される。
せめて一発殴ってやる。俺は本気で殴りにかかった。

当たった!!

と思うと、拳にはなにも手ごたえが感じられない。
いつの間にか、奴は俺の隣にいた。そして、肩を組んできながら楽しそうに言った。

「外での戦いのために死ぬほど鍛えておけよ?今のままじゃ絶対に無駄死にだからな♪」

俺が黙って睨み続けると、奴はニヤリと片側の口角をあげながらゆっくりと帰っていった。

「修司、帰ろうぜ。秋姉とのどかも……っていなくなってる!?」
「ああ、あの人たちなら先に帰っていったで?」

マジかよ、何で待っていてくれないんだ?ちょっと泣きそうだ。

「もう帰ろう、な?話したいこともあるし。」
「ああ」

俺たちが帰ろうとすると、南さんに止められた。

「君たちちょっと待て。能力について説明してやるから。」

俺たちは南さんの研究所に連れてこられた。

「この中に入っていてくれ。すぐ戻る。絶対に中のものに触れるなよ。」

と言いながらどこかへ行ってしまった。

触られたくないならここに入れるなよな。
少し待つと生きていた金髪の女の子が南さんと一緒に入ってきた。

「さあ、能力の説明の前に君たちは自己紹介をしたまえ。」

修司が我先にと自己紹介を始めた。

「俺の名前は松倉修司。よろしくな!」

修司のやつ、目がキラキラしてるな……

俺も後に続いて、

「俺は村上智尋だ。よろしく。」

最後に女の子だ。

「あーしは板中彩香。よ、よろしく。」

少し照れているのか、顔がほんのり赤くなっている。
ちょっと性格きつそうだな……金髪で身長は158㎝程度だと思われる。髪はストレートだ。
まあ普通にかわいいんだけども。

各自の自己紹介が終わり、能力についての話に移ることになった。
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