死神の異世界生活

死神の仕事１ー１『アネッタ』

死神の仕事がさっそく始まった。

「ふむ、ターゲットが確認できたな」

目の中に赤い人型の輪郭が映っている。
動いているけど、もうあと数日の命かな？
今は朝で、眩しい光が部屋の中を照らしてくれている。

「よし、早速そいつの所へ行こうか」

ぐぅぅ～～～～
腹がなってしまった。
まずは腹ごしらえしようかな。

「いい店ないもんかね？」

早足で、どんどんターゲットの方へ向かっていく。
あれ？ターゲットのいるところが、パン屋じゃないか。
これはいい。腹ごしらえもできるし、ターゲットも確認できるしで一石二鳥じゃないか。
早速入ろう。

「いらっしゃいませ～」

んん？ターゲットが女の子……
アネッタというのか。
元気な声を出している女の子の寿命の欄をよく見てみる。
残り二日？ちょっとまて、いくらなんでも早すぎるだろう。
彼女はどうみても十代後半だ。

「何にいたしますか？」
注文を聞きに来てくれた。
「あ、え～と、この朝食セットをくれ」
「わかりました」
そのまま奥の方へ消えていった。
もしかして、一人で経営しているのか？

もう少し注意深く見てみると、どうやら二日後に犯罪者に殺されてしまうらしい。
困ったな……
殺されて欲しくはないんだけど、お偉いさんに監視されてるかもしれないし。

奥から料理を持ってきてくれた。
両手で皿を持っていて危なっかしい。

「お待たせしました」
「ありがとう」

これは非常に美味しそうだ。
オムレツを挟んでいるものとカツを挟んでいるものが出てきた。

「いただきます」

作りたてで暖かい。

「美味しい！」
「ありがとうございます」

頭を下げながら言う。
彼女の顔は笑顔で、とても嬉しそうだ。
ますます、死んで欲しくなくなってしまった。
私はサンドイッチを味わって食べ、その店をあとにした。