38 / 579
第38話 一応の決着
しおりを挟む
「光防壁(ライトウォール)!」
「魔防壁(マナウォール)!」
ポーラ姫とミリィが防御魔法を展開する、生み出された魔法の光の2重防壁は襲い来る無数の火球(ファイアボウル)の魔法攻撃から俺たちを守った。
これは黒川の仲間の攻撃魔法か? 黒川の逃走を支援するための攻撃だろうが、何て凄まじい数の攻撃。
自身の保険の為に幾重もの策を講じて自分たちの戦力を伏せていたという訳か…悔しいが流石は黒川課長、としか言いようがない。
「…逃げるな! あたしは、あの女を!」
優羽花(ゆうか)は僅かに回復してきた目を凝らして此処から高速で離脱していく黒川を追いかけようとする。
俺はそんな優羽花を抱き止めた。
「どいてお兄! あの女殺せない!」
「優羽花、もう黒川は完全に逃げた。それにもういいんだ、お前が手を汚す必要はない」
「だって…あの女のせいでお兄が…ずっと引籠りになって…あたし…あんなお兄見てられなかった…。
そんなあいつが…それでも飽き足らず今度はお兄の命も奪おうとして…だからあたしは、あたしはあの女をっ…うああああああああ!!」
優羽花は俺の胸の中で泣き出した。ああ、俺が弱いばっかりに…かけがえのない大切な妹にこんな思いをさせてしまった。
「ごめん優羽花…」
俺は愛しい妹の頭に優しく包むように手を添えて、あやすように撫でた。
「お兄…お兄…」
俺は、強くならなければならない。
優羽花に、愛しい妹に、二度とこんな思いをさせない為に。
「ぐ、ぐううッ…一体何だというのよあの小娘ェ…このワタシが、こんな無様にやられるなんて…ハァ…ハァ…」
高速で駆ける赤い身体をしたゴウレム、コア・ゴウレムに乗って戦闘域から逃走する黒川は優羽花に平手打ちされて歪んだ自身の顔をさすりながら口を開いた。
そして全身にも痛みが走ってその激痛に呼吸を荒げた。
どうやら幾つかの骨も損傷している様である。
「お疲れ様です黒川部長、こちら回復魔法です、回復(ヒーリング)!」
コア・ゴウレムの肩口に一人の男が飛び乗って来て黒川に回復魔法をかける。
彼女の歪んだその顔がみるみると治っていく、全身の痛みも引いていく。
「…中森主任、御苦労。部下全員の撤退と笹川係長の回収も問題ないのかしら?」
「はい黒川部長、撤退は滞りなく。笹川係長は別の者が回収して回復魔法で治療中です」
「ワタシの部下は全員魔力数値100以上。このワタシがこの世界の覇権を握る為の大切な戦力のコマなのだからこんな所で失いたくはない。
そしてこの世界に来て増長し、人殺しに一切の躊躇が無い殺人マシーンと化した係長も上手く扱えば良く働いてくれる大切なコマ。
死なない限りは回復魔法で何度も再利用させてもらうわ。
姫と公爵の暗殺は完全に失敗ね…こちらが把握していなかった相手の未知の戦力が規格外過ぎたわ。
依頼主の不興は買うけど我々はこのまま撤退して立て直しを図るのが賢明ね、命あっての物種よ。
…それにしてもあの小娘…このままでは済ませないわよ! 覚えているがいいわッ!」」
黒川は自分の予定を狂わせて無様に地に這いつくばらせ、苦汁を舐めさせた優羽花への復讐をたぎらせながら、この地から離脱していった。
「魔防壁(マナウォール)!」
ポーラ姫とミリィが防御魔法を展開する、生み出された魔法の光の2重防壁は襲い来る無数の火球(ファイアボウル)の魔法攻撃から俺たちを守った。
これは黒川の仲間の攻撃魔法か? 黒川の逃走を支援するための攻撃だろうが、何て凄まじい数の攻撃。
自身の保険の為に幾重もの策を講じて自分たちの戦力を伏せていたという訳か…悔しいが流石は黒川課長、としか言いようがない。
「…逃げるな! あたしは、あの女を!」
優羽花(ゆうか)は僅かに回復してきた目を凝らして此処から高速で離脱していく黒川を追いかけようとする。
俺はそんな優羽花を抱き止めた。
「どいてお兄! あの女殺せない!」
「優羽花、もう黒川は完全に逃げた。それにもういいんだ、お前が手を汚す必要はない」
「だって…あの女のせいでお兄が…ずっと引籠りになって…あたし…あんなお兄見てられなかった…。
そんなあいつが…それでも飽き足らず今度はお兄の命も奪おうとして…だからあたしは、あたしはあの女をっ…うああああああああ!!」
優羽花は俺の胸の中で泣き出した。ああ、俺が弱いばっかりに…かけがえのない大切な妹にこんな思いをさせてしまった。
「ごめん優羽花…」
俺は愛しい妹の頭に優しく包むように手を添えて、あやすように撫でた。
「お兄…お兄…」
俺は、強くならなければならない。
優羽花に、愛しい妹に、二度とこんな思いをさせない為に。
「ぐ、ぐううッ…一体何だというのよあの小娘ェ…このワタシが、こんな無様にやられるなんて…ハァ…ハァ…」
高速で駆ける赤い身体をしたゴウレム、コア・ゴウレムに乗って戦闘域から逃走する黒川は優羽花に平手打ちされて歪んだ自身の顔をさすりながら口を開いた。
そして全身にも痛みが走ってその激痛に呼吸を荒げた。
どうやら幾つかの骨も損傷している様である。
「お疲れ様です黒川部長、こちら回復魔法です、回復(ヒーリング)!」
コア・ゴウレムの肩口に一人の男が飛び乗って来て黒川に回復魔法をかける。
彼女の歪んだその顔がみるみると治っていく、全身の痛みも引いていく。
「…中森主任、御苦労。部下全員の撤退と笹川係長の回収も問題ないのかしら?」
「はい黒川部長、撤退は滞りなく。笹川係長は別の者が回収して回復魔法で治療中です」
「ワタシの部下は全員魔力数値100以上。このワタシがこの世界の覇権を握る為の大切な戦力のコマなのだからこんな所で失いたくはない。
そしてこの世界に来て増長し、人殺しに一切の躊躇が無い殺人マシーンと化した係長も上手く扱えば良く働いてくれる大切なコマ。
死なない限りは回復魔法で何度も再利用させてもらうわ。
姫と公爵の暗殺は完全に失敗ね…こちらが把握していなかった相手の未知の戦力が規格外過ぎたわ。
依頼主の不興は買うけど我々はこのまま撤退して立て直しを図るのが賢明ね、命あっての物種よ。
…それにしてもあの小娘…このままでは済ませないわよ! 覚えているがいいわッ!」」
黒川は自分の予定を狂わせて無様に地に這いつくばらせ、苦汁を舐めさせた優羽花への復讐をたぎらせながら、この地から離脱していった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。
無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。
やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚…
スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。
いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて…
気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。
愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。
生きていればいつかは幼馴染達とまた会える!
愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」
幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。
愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。
はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?
固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~
うみ
ファンタジー
恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。
いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。
モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。
そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。
モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。
その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。
稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。
『箱を開けるモ』
「餌は待てと言ってるだろうに」
とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる