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第103話 部屋
「ケイガ兄様。
こちらが姫様から仰せつかりました兄様のお部屋になります、どうぞ」
王宮銭湯を後にして俺を先導して王宮内の廊下を歩いていたシノブさんは、
豪華な装飾が施された扉の前で足を停めると、
俺に言葉をかけてからその扉を開けた。
「おおお…」
豪華な装飾の扉で予想はしていたが、
部屋の中は豪華な内装、家具、調度品が備え付けられた凄い部屋だった。
高級ホテルでいう所のスイートルーム?
いや、ロイヤルスイートルーム級ではないだろうか?
俺はその様な高い部屋に泊ったことは無いので、あくまで想像なのではあるが。
「それからケイガ兄様。
姫様と公爵様のお二人がお兄様と今後についてのお話がしたいとの事です。
今お二人はご入浴中ですので、お上がり次第こちらに伺いますとの言付けでした。
それまでごゆるりとお休みください」
「わかったよシノブさん。
つまり二人はさっき俺が入ったお風呂の女湯の方に入っているということになるのかな?」
「はい、兄様。
あのお風呂は元々は王族の方々の専用のお風呂でもありますので。
今は姫様が解放して、
私たち姫騎士団と言った側近の者やお客人の方も利用しております」
「シノブさん、このエクスラント聖王国ではあのタイプのお風呂は普通なのかな?」
「もう少し造りは簡素にはなりますが、城下町にもほぼ似た形の公衆浴場が普及しております」
へえ…つまり日本の銭湯文化はこの聖王国全体に根付いているということになる。
もしかすると、食堂で出てきた和食等の他の日本文化もそうなのかも知れない。
「それでは兄様、また後程」
シノブさんはそう言うと部屋にあとにした。
ひとりになった俺は改めて、あてがえられた部屋を見渡した。
豪華な造りの大きなベッド。
豪華な造りの椅子と机。
豪華なソファー。
豪華な棚。
豪華なクローゼット。
豪華なカーテンと絨毯。
うむ…とてもロイヤルな感じである。
そして何よりも目を引いたのは、
部屋の壁に掛けられた俺そっくりの顔をした男の巨大な肖像画である。
もちろんそれは俺ではない。
この聖王国の第一王子であったファイズ殿下の画である。
町の広場やこの王宮内広間等の多数の人間が行き来する公共空間に
彼の像や画があるのは分かる。
ファイズ殿下はこの国の英雄だったのだから、さもありなんであろう。
だがこの部屋は広く豪華ではあるが、あくまで個室であり公共空間では無い。
そんな部屋にファイズ殿下の巨大な肖像画が在ることに
俺は違和感を感じたのである。
…つまりこの部屋は、ファイズ殿下の部屋だったのでは?
この巨大な肖像画は彼の遺影の様な意味合いなのでは無いだろうか?
それならこの部屋の豪華な造りにも納得がいく。
この部屋を俺にあてがえたのはポーラ姫の指示とシノブさんは言っていた。
其処をわざわざ俺の部屋にしたのは偶然だろうか?
それとも何か理由があるのだろうか?
ポーラ姫は俺と新たな兄弟の契りを交わすことに拘っていた事を思い出した。
まあポーラ姫のことだ。
何か理由があるのなら、彼女から俺に言ってくるだろう。
そして俺のほうから細かく指摘をするなどと、
無粋な真似をしては兄として失格であろう。
兄は黙って、愛しい妹の行動を広い器で受け止めるものである。
こちらが姫様から仰せつかりました兄様のお部屋になります、どうぞ」
王宮銭湯を後にして俺を先導して王宮内の廊下を歩いていたシノブさんは、
豪華な装飾が施された扉の前で足を停めると、
俺に言葉をかけてからその扉を開けた。
「おおお…」
豪華な装飾の扉で予想はしていたが、
部屋の中は豪華な内装、家具、調度品が備え付けられた凄い部屋だった。
高級ホテルでいう所のスイートルーム?
いや、ロイヤルスイートルーム級ではないだろうか?
俺はその様な高い部屋に泊ったことは無いので、あくまで想像なのではあるが。
「それからケイガ兄様。
姫様と公爵様のお二人がお兄様と今後についてのお話がしたいとの事です。
今お二人はご入浴中ですので、お上がり次第こちらに伺いますとの言付けでした。
それまでごゆるりとお休みください」
「わかったよシノブさん。
つまり二人はさっき俺が入ったお風呂の女湯の方に入っているということになるのかな?」
「はい、兄様。
あのお風呂は元々は王族の方々の専用のお風呂でもありますので。
今は姫様が解放して、
私たち姫騎士団と言った側近の者やお客人の方も利用しております」
「シノブさん、このエクスラント聖王国ではあのタイプのお風呂は普通なのかな?」
「もう少し造りは簡素にはなりますが、城下町にもほぼ似た形の公衆浴場が普及しております」
へえ…つまり日本の銭湯文化はこの聖王国全体に根付いているということになる。
もしかすると、食堂で出てきた和食等の他の日本文化もそうなのかも知れない。
「それでは兄様、また後程」
シノブさんはそう言うと部屋にあとにした。
ひとりになった俺は改めて、あてがえられた部屋を見渡した。
豪華な造りの大きなベッド。
豪華な造りの椅子と机。
豪華なソファー。
豪華な棚。
豪華なクローゼット。
豪華なカーテンと絨毯。
うむ…とてもロイヤルな感じである。
そして何よりも目を引いたのは、
部屋の壁に掛けられた俺そっくりの顔をした男の巨大な肖像画である。
もちろんそれは俺ではない。
この聖王国の第一王子であったファイズ殿下の画である。
町の広場やこの王宮内広間等の多数の人間が行き来する公共空間に
彼の像や画があるのは分かる。
ファイズ殿下はこの国の英雄だったのだから、さもありなんであろう。
だがこの部屋は広く豪華ではあるが、あくまで個室であり公共空間では無い。
そんな部屋にファイズ殿下の巨大な肖像画が在ることに
俺は違和感を感じたのである。
…つまりこの部屋は、ファイズ殿下の部屋だったのでは?
この巨大な肖像画は彼の遺影の様な意味合いなのでは無いだろうか?
それならこの部屋の豪華な造りにも納得がいく。
この部屋を俺にあてがえたのはポーラ姫の指示とシノブさんは言っていた。
其処をわざわざ俺の部屋にしたのは偶然だろうか?
それとも何か理由があるのだろうか?
ポーラ姫は俺と新たな兄弟の契りを交わすことに拘っていた事を思い出した。
まあポーラ姫のことだ。
何か理由があるのなら、彼女から俺に言ってくるだろう。
そして俺のほうから細かく指摘をするなどと、
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兄は黙って、愛しい妹の行動を広い器で受け止めるものである。
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