シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進

文字の大きさ
116 / 579

第116話 生命力の差

しおりを挟む
「フフフ…アタシはアナタのご希望通りしっかり名乗ったわヨ。
次は童貞クンの名前を教えて欲しいナ?」

 リリンシアはゆったりとした動作で、
 俺に向けて手を差し伸べながら言葉を紡ぐ。
 その動きも言葉もとても穏やかなもの。
 だがその穏やかさとは裏腹に、
 彼女の身体からとてつもない圧力が巻き起こった。
 それはまるで…突如台風の中に投げ出されたが如く。
 俺は吹き飛ばされまいと必死に地面を踏みつける。

「俺の名は…鳴鐘 慧河なるがね けいがだ!」

 俺は大きく息を吸いこむと大声で叫んで名乗りの口上を上げた。
 所詮は強がりである。
 だが強がらなければ…彼女の圧に気圧けおされる!

「フフフ、ケイガ…良い響きの名前ネ。
それじゃあケイガクン。
今からお姉サンと遊びましょうネ♪」

 リリンシアの腰より長い髪がふわりと浮いたと思いきや、
 それはまるで巨大な蛇の如くのたうって伸縮し、俺に襲い掛かって来た。
 俺は咄嗟に身体を横に逸らしてその一撃をかわす。
 リリンシアの髪は俺の真横を通り過ぎると弧を描いて方向転換し、
 その先端を再び俺の方へと向けた。

「ふうン、目も身体の動きも良いみたいネ。
それなら複数ならどうかしらネ?」

 リリンシアの髪は枝分かれして、数多あまたの蛇の群れと化して俺に迫り来る。
 先程の一撃を間近で見て感じるに…
 この髪攻撃の硬度は鋼並みと俺は分析した。
 ならば!
 俺は気を練り上げて技を行使する。

地ノ宮流気士術ちのみやりゅうきしじゅつ・三の型、金剛こんごう!」

 俺は自身の肉体を鋼並みに引き上げる。
 そして高速の拳の連撃を撃ち放って、
 リリンシアの怒涛の多方向同時攻撃を捌き切る。

「へえー、この攻撃も効かないんだ?
すごーい!
期待以上の力じゃナイ!
それじゃあ別の遊び方法を考えないとネ♪」

 リリンシアは俺に称賛の言葉を述べると、
 蛇の群れの如くうごいていた自身の髪を元の状態に戻した。
 攻撃手段を変更するつもりか?
 だがそうはさせない!
 俺は彼女の一瞬の隙を逃さず一気呵成いっきかせいに攻撃に転じる。
 地を蹴り上げて一瞬でリリンシアの間合いに飛び込むと、
 俺は右拳に気を集中させた。

地ノ宮流気士術ちのみやりゅうきしじゅつ・一の型、雷迅らいじん!」

 俺は雷撃状の気を纏った正拳突きをリリンシアの腹部に向けて撃ち込んだ。
 どおん!
 轟音が周囲に響き渡る。
 今のは手応えがあった。
 だがリリンシアは気を放出し終えて無防備になった俺の右手首をがしりと掴んだ。

「フフフ。捕まえたワ」

 そんな…『雷迅らいじん』は土くれの巨人ゴウレムを一撃でバラバラする程の威力が有る。
 それをまともに受けてノーダメージだと言うのか!?

「ウフフ、そんなに驚いた顔しなくて良いのヨ。
今の技はちゃんとアタシに効いているワ。
でもね、アタシの生命力は人間に比べて高すぎるから
それぐらいのダメージじゃ全然足りないのヨ。
そうねえ、生命力が一万あるのに与えたダメージが百じゃネ…
って例えがわかりやすいかしら?」

 リリンシアは俺の右手首を掴み続けながら言葉を述べる。
 まずい!?
 このままでは捕まってしまう!

地ノ宮流気士術ちのみやりゅうきしじゅつ・一の型、雷迅らいじん!」

 俺は気を纏った左拳をリリンシアの腹部に撃ち放つ!
 どおおん!
 再び轟音が周囲に響き渡る。
 この一撃はさっきよりも手応えがあった。
 しかしリリンシアは特に気にする様子も無く、
 俺の左手首をがしりと掴んだ。

 そして俺の両手首を掴んだまま、俺をぐぐっと押し込んでいく。
 …こんな細腕にも関わらず何という凄まじい力!?

「ウフフ…このまま押し倒しちゃおうかしらネ」

 リリンシアは妖艶ようえんな笑みを浮かべた。
 そして俺に覆い被さって来る。
 申し訳程度に覆った彼女の衣服の間から、
 その魅惑的な腕が、足が、胸が、腰があらわになった。

「フフフ…このままケイガクンの童貞を貰っちゃうのも良いかもネ」

 こ、このままでは…
 俺の背筋に冷たいものが走った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。 無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。 やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。

俺は普通の高校生なので、

雨ノ千雨
ファンタジー
普通の高校生として生きていく。その為の手段は問わない。

S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました

白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。 そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。 王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。 しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。 突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。 スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。 王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。 そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。 Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。 スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが―― なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。 スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。 スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。 この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります

Sランクパーティーを追放された鑑定士の俺、実は『神の眼』を持ってました〜最神神獣と最強になったので、今さら戻ってこいと言われてももう遅い〜

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティーで地味な【鑑定】スキルを使い、仲間を支えてきたカイン。しかしある日、リーダーの勇者から「お前はもういらない」と理不尽に追放されてしまう。 絶望の淵で流れ着いた辺境の街。そこで偶然発見した古代ダンジョンが、彼の運命を変える。絶体絶命の危機に陥ったその時、彼のスキルは万物を見通す【神の眼】へと覚醒。さらに、ダンジョンの奥で伝説のもふもふ神獣「フェン」と出会い、最強の相棒を得る。 一方、カインを失った元パーティーは鑑定ミスを連発し、崩壊の一途を辿っていた。「今さら戻ってこい」と懇願されても、もう遅い。 無能と蔑まれた鑑定士の、痛快な成り上がり冒険譚が今、始まる!

科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜

難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」 高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。 だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや—— 「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」 「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」 剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める! 魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」 魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」 神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」 次々と編み出される新技術に、世界は驚愕! やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め—— 「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」 最強の頭脳戦が今、幕を開ける——! これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語! ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

処理中です...