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第115話 魔精将
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「フフフ…光の精霊が勇者を召喚したことは、
アタシはすぐに気付いたワ。
初々しい男の子を期待したのだけれど、
残念なことに女の子の生体反応だったから
アタシは興味無しとスルーしたのだけれどネ…。
でもちょっと目を離している間に、
魔竜将の戦闘狂が俄然ヤル気になっているし、
魔導将の爺さんや魔騎士の優男も動き始めたワ。
魔言将のだんまりお嬢ちゃんも数百年振りに口を開いたっていう話だしネ。
500年前に大魔王サマが勇者に敗れて以来、
魔界の奥に退いていた魔界五軍将が数百年振りに一斉に動き始めたのヨ!
こうなったら魔界五軍将たちをヤル気にさせる発端になった、
今回の勇者とその兄が一体どういう子たちなのか気になるじゃない?
だから様子を見に来たという訳ヨ。
まあ勇者は女の子だから軽く見るだけで良かったけど、
アナタはワタシの好物の童貞だったからネ。
こうやって直接逢いに来たワケ」
魔精将リリンシアと名乗るその全てがアンバランスな女は、
ゆったりとした動作で自身の髪を掻き上げると
自身の目的を俺たちに言ってのけた。
…大魔王直属の魔界五軍将。
ポーラ姫曰く、大魔王に次ぐ力を持つという五人の上位魔族。
500年前の人間と魔族の大戦時には、幾つもの人間の国を滅ぼしたという。
俺は目の前に立つこの女が並大抵な相手では無いと感じてはいたが、
正直そこまでの力の持ち主とは思ってはいなかった。
魔界五軍将と解った今でも、リリンシアの力の底は俺には見えない。
つまりこの女は現状、全く力を出していないのだろう。
象がアリ相手に力を出す必要など全く無いという事か…。
しかし童貞が好みの魔族ってなんなんだ…。
何だか馬鹿にされている気がするぞ。
そういえば…確かユニコーンだっけ?
処女好きの怪物は?
この女の正体はユニコーンの仲間みたいなものなのだろうか?
「ウフフ…ちなみにアタシはバイコーンみたいな薄汚い馬風情とは違うからネ」
「な、何故解った!?」
「フフフ…顔に考えていることが書いてあるわヨ。
童貞クンは素直で解りやすくてやっぱり好きだワ」
…な、何い…!?
童貞だと考えていることが顔に出るとでも言うのか!?
そ、それでは…俺は…今までのことが全部!
妹たちに駄々洩れになっているとでも言うのかッ!?
…俺は今最も考えるべき問題と思考がずれている事に気付いた。
急ぎ思考を訂正する。
今現在、最も対処すべき問題は目の前に居る魔界五軍将の女である。
魔界五軍将…そういえば…俺の脳裏にひとつの疑問が浮かんだ。
「…ちょっと待て!
地上と魔界の境には精霊たちが張った結界が在って、
強大な力を持つ魔界五軍将は通り抜けられないと俺は聞いている。
どうしてアンタは地上に出て来られている!?」
「ああ、それネ。
確かに真正面からは無理だけど、
あの結界には色々と抜け道があるのヨ。
そもそも結界は”アタシたち”が創り出したモノだしネ」
「…何っ!?
それって…つまり…あんたは…?
確かに俺は、光の精霊とあんたは雰囲気が似ていると思っては居たが…」
「フフフ…最初から気付いていたんだ?
随分と鋭いのネ、童貞クン。
お察しの通りよ、アタシは光の精霊と同種の存在。
”魔精将”の名は其処から来ているという訳ヨ。
かつては『闇の精霊』と呼ばれていたわネ」
「…何…だと…?」
俺はこの異世界エゾン・レイギスについての知識はそう多くは無い。
幾つかの断片的な情報しか知らないのである。
しかし、たった今リリンシアから聞かされた話は俺には衝撃的であった。
精霊たちは全て人間の味方では無かったという事か?
俺はエクスラント聖王国の内情を見るに、
少なくとも人間達の国々は
昔のファンタジーRPGの様な
勧善懲悪の単純な世界観では無いと思っては居たが…。
つまり人間達だけでは無く、
精霊達も、そして魔族達も善悪が単純に語れる世界観では無いということか…?
俺はこの異世界の情報をもっと詳しく知る必要があるだろう。
だがその前に俺はやらなければならないことがある。
自身の前に立つ、
かつて無い強敵である魔精将リリンシアから生き残ることである。
アタシはすぐに気付いたワ。
初々しい男の子を期待したのだけれど、
残念なことに女の子の生体反応だったから
アタシは興味無しとスルーしたのだけれどネ…。
でもちょっと目を離している間に、
魔竜将の戦闘狂が俄然ヤル気になっているし、
魔導将の爺さんや魔騎士の優男も動き始めたワ。
魔言将のだんまりお嬢ちゃんも数百年振りに口を開いたっていう話だしネ。
500年前に大魔王サマが勇者に敗れて以来、
魔界の奥に退いていた魔界五軍将が数百年振りに一斉に動き始めたのヨ!
こうなったら魔界五軍将たちをヤル気にさせる発端になった、
今回の勇者とその兄が一体どういう子たちなのか気になるじゃない?
だから様子を見に来たという訳ヨ。
まあ勇者は女の子だから軽く見るだけで良かったけど、
アナタはワタシの好物の童貞だったからネ。
こうやって直接逢いに来たワケ」
魔精将リリンシアと名乗るその全てがアンバランスな女は、
ゆったりとした動作で自身の髪を掻き上げると
自身の目的を俺たちに言ってのけた。
…大魔王直属の魔界五軍将。
ポーラ姫曰く、大魔王に次ぐ力を持つという五人の上位魔族。
500年前の人間と魔族の大戦時には、幾つもの人間の国を滅ぼしたという。
俺は目の前に立つこの女が並大抵な相手では無いと感じてはいたが、
正直そこまでの力の持ち主とは思ってはいなかった。
魔界五軍将と解った今でも、リリンシアの力の底は俺には見えない。
つまりこの女は現状、全く力を出していないのだろう。
象がアリ相手に力を出す必要など全く無いという事か…。
しかし童貞が好みの魔族ってなんなんだ…。
何だか馬鹿にされている気がするぞ。
そういえば…確かユニコーンだっけ?
処女好きの怪物は?
この女の正体はユニコーンの仲間みたいなものなのだろうか?
「ウフフ…ちなみにアタシはバイコーンみたいな薄汚い馬風情とは違うからネ」
「な、何故解った!?」
「フフフ…顔に考えていることが書いてあるわヨ。
童貞クンは素直で解りやすくてやっぱり好きだワ」
…な、何い…!?
童貞だと考えていることが顔に出るとでも言うのか!?
そ、それでは…俺は…今までのことが全部!
妹たちに駄々洩れになっているとでも言うのかッ!?
…俺は今最も考えるべき問題と思考がずれている事に気付いた。
急ぎ思考を訂正する。
今現在、最も対処すべき問題は目の前に居る魔界五軍将の女である。
魔界五軍将…そういえば…俺の脳裏にひとつの疑問が浮かんだ。
「…ちょっと待て!
地上と魔界の境には精霊たちが張った結界が在って、
強大な力を持つ魔界五軍将は通り抜けられないと俺は聞いている。
どうしてアンタは地上に出て来られている!?」
「ああ、それネ。
確かに真正面からは無理だけど、
あの結界には色々と抜け道があるのヨ。
そもそも結界は”アタシたち”が創り出したモノだしネ」
「…何っ!?
それって…つまり…あんたは…?
確かに俺は、光の精霊とあんたは雰囲気が似ていると思っては居たが…」
「フフフ…最初から気付いていたんだ?
随分と鋭いのネ、童貞クン。
お察しの通りよ、アタシは光の精霊と同種の存在。
”魔精将”の名は其処から来ているという訳ヨ。
かつては『闇の精霊』と呼ばれていたわネ」
「…何…だと…?」
俺はこの異世界エゾン・レイギスについての知識はそう多くは無い。
幾つかの断片的な情報しか知らないのである。
しかし、たった今リリンシアから聞かされた話は俺には衝撃的であった。
精霊たちは全て人間の味方では無かったという事か?
俺はエクスラント聖王国の内情を見るに、
少なくとも人間達の国々は
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勧善懲悪の単純な世界観では無いと思っては居たが…。
つまり人間達だけでは無く、
精霊達も、そして魔族達も善悪が単純に語れる世界観では無いということか…?
俺はこの異世界の情報をもっと詳しく知る必要があるだろう。
だがその前に俺はやらなければならないことがある。
自身の前に立つ、
かつて無い強敵である魔精将リリンシアから生き残ることである。
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