赤の魔女と青の魔導師 ~交わる運命と魔法の記憶~

にしのみつてる

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第1章

赤の魔女と青の魔導師1

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 モトヤとヒナノが転生して2日目の朝になった……

 昨夜はオラ川の河原でキャンプをした二人は身支度を整え、簡単な朝食を終えてキャンピングカーはモトヤが収納にしまって二人は堤防に上がってきた。

「ヒナノ、今から冒険者ギルドに行ってみようか?」
「そうね、オークを売りましょう」

 二人は堤防の道を冒険者ギルドまで平民の格好で歩いて行った。

 神様が最初にくれたモトヤとヒナノの服装は、モトヤが農民が来ている薄いシャツに革ベストの組み合わせで、帯剣をしていないので何処か頼りなかった。ヒナノは農家の女性が着る平民服でワンピースの上にコルセットを付けていたが地味な色だった。


「ヒナノ、冒険者に絡まれるかも知れないのでお互いに防御魔法ディフェンスを掛けておこう」
「そうね、いきなり剣で切られるのも嫌よね」

 モトヤとヒナノは冒険者ギルドの入り口のドアに手をかけようとした瞬間に数人のチンピラに取り囲まれていた。

 短剣を持たない丸腰でギルドに入ろうとしたので、チンピラからすれば田舎から出てきた村人夫婦に見られても間違いでは無かったのだ。チンピラたちは仕事を探しに来た初心者だと勝手に思い込んだのだった。

「そこの弱そうな兄さん、お前らがすっごく目障りなのでこの街では迷惑なのさ」
 チンピラ達は訳の分からない事をブツブツ言いながら、モトヤに短剣で切りかかってきた。

バチン、バチン、バチン、バチン、子分二人は防御魔法で跳ね返され尻もちをついた

「兄貴、こいつら魔法を使ってますぜ」
「女も魔法を使ってます」

「洒落臭え、全員切り刻んでやる」
「うぉ~」
 短剣を持った男は全速力でモトヤに切りかかってきた。

「サンダーボルト」
パチパチ、モトヤに斬り掛かろうとした男はモトヤがワンドから放った極小サンダーボルトで感電して気を失い口から泡を吹いて失禁したが死に至らなかった。

 尻もちをついて小便をもらしていた子分二人はモトヤがCランク冒険者のディックに放った雷魔法サンダーボルトにビビってしまいズボンを濡らしたまま何処かに逃走していった。馬鹿な事をしたのは自称用心棒のCランク冒険者のディックだった。巡回中の騎士に捕らえられて殺人未遂として牢に放り込まれたのだった。その後。ディックは鉱山送りとなって二度と悪事を働く事は無かった。

 ギルド職員は入口前のトラブルなのでモトヤとヒナノが絡まれても誰も止めようとはしなかったが、ギルドの外で絡まれているので殺されようが、怪我をしようがギルドに何の責任も無かったのだった。

 何事も無かったかのように、モトヤとヒナノはドアを開けて二人共杖を持ったままギルドの受付の前に立っていた。多くの冒険者は固まったままそこから動けなかった。

「先ほどは、入り口で冒険者が失礼な事をしたようですが、お怪我はありませんでしたか」

「大丈夫だが、ここのギルドはあのような無能《チンピラ》を用心棒としてのさばらせているのか?」

「……」

 他の冒険者達はモトヤの怒鳴り声にギクっとしたが、先程のモトヤとヒナノの魔法をみて、うかつに絡む事は死を意味する事だと悟った。

「二人の冒険者登録を頼む」

「では、お二人とも申込み用紙にお名前をご記入下さい、分からない箇所は空白で結構です」


「お名前は、モトヤ・ミズノ様ですね」
「職業は魔導士ですね」
「種族は人族で問題ないし、年齢は22歳ですね」

「お名前は、ヒナノ・ミズノ様ですね」
「職業は魔女ですね」
「種族は人族で問題ないし、年齢は22歳ですね」
「では、カードに登録を致しますので、魔力測定盤の上に手を置いて下さい」

◇ ◇ ◇ ◇

【名前】モトヤ・ミズノ
【種族】人族
【年齢】22
【称号】魔導士
【スキル】
 秘匿
【LV】62
【MP】****

【名前】ヒナノ・ミズノ
【種族】人族
【年齢】22
【称号】魔女
【スキル】
 秘匿
【LV】62
【MP】****

◇ ◇ ◇ ◇

 受付のお姉さんはモトヤたち二人のレベルが62で既にAランクを軽く越えているので表情は引き攣っていたが…平静を装うにしていた。

「失礼ですが、お二人はこれ迄に冒険者登録をされていなかったのでしょうか?」

「2年前に西の大陸 マケドニアのガリア国で働いていたが、帰国した時に冒険者カードを紛失してしまったのだ」
 モトヤは年数を偽ったが、西の大陸 マケドニアのガリア国にいた事は事実だった。

「ところで、ここに来る前に魔物を狩って来たが、ここで買い取ってもらえるのか?」
「魔物の種類は何でしょうか?」

「オークとサーペントだ」
 受付嬢から裏の倉庫に案内され、モトヤは収納からオーク3体とサーペント1体を取り出そうとした。

「お前たち、何処で狩りをしてきたのだ」
 先程から一連の騒ぎを見ていた、厳つい顔のギルドマスターが二人に声を掛けてきた。

「マキリス山の洞窟だ」
「魔鉱石が必要だったので二人で採りに行ってついでに狩りをしてきたのだ」
 ギルドマスターの立ち会いで二人は裏の倉庫に案内されたのでモトヤが収納から魔物を出した。

「オーク3体30枚、サーペント1体200枚で合計で金貨230枚だ」

「残念だが、お前たちの実績が残っていないので、Eランクからのスタートになるが一つ上のDランクの依頼をこなしてくれれば俺の特権で直ぐにCランクにしてやるよ」

「分かった」

 二人は魔物の買取代金金貨230枚が手に入ったので裏通りの魔道具店で魔女の帽子とローブを2枚買うことにした。丁度いい感じの魔女服が有ったので、ヒナノは魔女のローブと帽子と魔女服、モトヤも魔導士の服装とローブを買い求め、合計で金貨6枚を払った。

 魔導師と魔女の格好になったモトヤとヒナノは大通りに戻って、食料品店で10日分の食料を買うことにした。まずは、主食のパンを多めに購入したのと牛乳、卵、新鮮な野菜を多めに買ったのと、ベーコンと鶏肉も買った。調味料の塩、胡椒、砂糖、酢、食用油、醤油、味噌に米と海苔を買ったのだった。酒屋でスパークリングワインを2箱買った。食料品は全て収納に全てしまったので腐らせる心配は無かった。

 1時間後、冒険者ギルドに魔導士と魔女の格好をした二人が戻ってきたので冒険者たちは受付の前からさっと消えていった。先程のCランク冒険者ディックはモトヤが放ったサンダーボルトで気を失ったのを見ていたので、魔導士と魔女の姿をしたモトヤとヒナノに絡む事は危険だと悟ったのであった。

「おい、あの魔女と魔導士の夫婦は既にAランク超えのレベルだってよ、さっき受付のエリカちゃんが言ってたぞ」
「本当かよ。だからディックが一発で伸びてしまったのだな」

「馬鹿、ディックを殺さないように魔導士が雷魔法を手加減したんだぞ、それにあの夫婦は西の大陸 マケドニアから来た相当の手練だと言われているらしいぞ」

「おいその話本当なのかよ?」
「ああ、エリカちゃんがギルマスから聞いたそうだ」

 冒険者達はAランク超えの魔女と魔導士の夫婦の噂話でざわついていたが、モトヤとヒナノには全て丸聞こえだった。二人は何食わぬ顔で依頼ボードを眺めていた。

「モトヤ、他の冒険者さん達にはいい薬になったみたいだね」
「そうだな、俺たちの服装をジロジロと見られるが、俺たちを牽制している様子が手にとるようにわかるな」

「モトヤ、、ギルマスが言うように素直にDランクの依頼を受けましょうよ、多分大丈夫よ」
ヒナノは魔法杖を依頼掲示板に向けて『Dランク:ピーラ山 ポリポリケースの採取、オーク、ゴブリン目撃あり』を微小のウインドカッターで外して持ってきた。依頼書の絵から判断するとポリポリケースはサルノコシカケに似ているキノコだと想像した。


(話終わり)
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