改訂版 愛のエキスと聖女さま

にしのみつてる

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第2章

山からレッサードラゴンが降りてきた

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  プープープー、緊急通信、プープープー、緊急通信、プープープー、緊急通信、

「ギルマス、緊急通信です」
「オラニオ町からでレッサードラゴンが山から降りてきました」

「Cランク以上の冒険者は転移門でオラニオ町に向かう準備をしてくれ」

「ヒロシ、ミサエ、ダリナ、サブロー、お前たちは先発隊で調査を頼む」
「「「「はい」」」」」

 ◇ ◇ ◇ ◇

 オラニオ町はバリカイ湖の対岸の街でイルクスからは湖を迂回して450キロの距離だった。直ぐにレッサードラゴン討伐隊が組まれ、冒険者たちはオラニオ町に集結する準備を始めたのだった。

 イルクスカからはヒロシ、ミサエ、ダリナ、サブローの4名が先発隊として派遣されることになった。

「ヒロシ様、ミサエ様、ダリナ様、サブロー様、この扉を開けるとオラニオ町の冒険者ギルドにつながっています」
「分かりました。行ってきます」

「ヒロシ様、ミサエ様、ダリナ様、サブロー様、どうかよろしくお願いします」
「「「「「どうかよろしくお願いします」」」」」

 ギルドマスターのフレルバータルさんとギルド職員たちは申し訳無さそうに頭を下げた。ヒロシとミサエさん、ダリナとサブローは直ぐにレッサードラゴンが降りてきた山に向かったのだった。

(ラファエル、周辺の状況を探索してくれ)
(了解です、既にドローン2機を飛ばしています)
 レッサードラゴンが吐く高温のブレスは生身の人間が容易に近付くことが出来なかった。

(ヒロシさん、ミサエさん、対レッサードラン用に自動追尾ミサイル・イグラを作りましょう)
(ラファエル、イグラって何だ?)

(イグラは携帯式防空ミサイルの事です)
(アンギリア国に移住したジェネオスとアギオスがズメイ討伐に使った武器です)

 画面には細長いロケットランチャーが映っていた。ラファエルはテオスシステムのデータから対レッサードラン戦には自動追尾ミサイル・イグラでの攻撃が有利だと答えを導き出したのだった。

(ラファエル、イグラの材料は揃っているのか?)
(はい、魔鉱石は大量にストックされているので大丈夫です)
(それと、ミスリル鉱からゴーレムの核を作りましょう)


(サブロー、ダリナ、キャンピングカーを出して準備してくれ)
((はい))

「ミサエさん、ダリナ、神様のお告げを聞いたことにしてフレルバータルさんには俺たち4人で戦うと言って」
「そうね、ミサイルを見たら驚くよね」

(ヒロシさん、大丈夫です。ミサイルはで通じますよ)
(ラファエル、本当なの?)

(はい)
(ミサエさんとダリナさんは先に聖女の衣装に着替えてギルドに入ったら聖女の魔法・ホーリーライトで体を金色に光らせて下さい)
(それとダリナさんはティアラを頭につけてになりましょう)

 ミサエさんとダリナの二人は聖女の衣装でギルドに戻り、聖女の魔法・ホーリーライトを使って体を金色に光らせた。

「「「「「おお、神様の降臨じゃ」」」」」」
「「「「「聖女様と獣耳姫様じゃ、ありがたや」」」」」
 ギルド職員も含めて全員が一斉に床にひれ伏した。


「皆さん、たった今神様のお告げで冒険者・ヒロシとサブローが神の矢『サジタリアスの矢』を射るのででレッサードラゴンは必ず退治されます」

「ミサエ様、ダリナ様、それは本当ですか?」
「はい、皆さんどうかご安心下さい」

 フレルバータルさんとギルド職員は手を取り合って喜んだ。

「職員と冒険者たちは城壁から町を守ってくれ」
「この町は神に守られているから安心するのだ」
「「「「「はい」」」」」

「では、ミサエ様、ダリナ様、どうかよろしくお願いします」
「「「「「聖女様、獣耳姫様、お願いします」」」」」

 ミサエさんとダリナは再びホーリーライトを使って体を金色に光らせてギルドの外に出た。ヒロシが用意した転移門で直ぐにキャンピングカーに瞬間移動をしてきた。ヒロシとサブローはミサエさんとダリナが冒険者ギルドに行っている間に具現化で9K38 イグラを既に完成させていた。

 キャンピングカーにミサエさんとダリナが乗り込んだのでサブローは結界を張ったままキャンピングカーを城壁の外に移動させた。

「サブロー、この辺でレッサードランを迎え撃とう」
「はい」

「ヒロシさん、それにしてもごい武器ですね」

「ああ、イグラにはゴーレムの核が付けてあるからドラゴンを自動追尾するんだ」
「そうなんですね」

「それと、俺も初めてエンチャントをしたけど爆裂魔法エクスプロージョンを付与してあるからね」
「付与するだけで魔力を半分持っていかれたよ」

「ヒロシさん、それって大魔導師が使う究極の火炎魔法のことですよね」
「ダリナ、よく知っているな」

「初級魔法便覧にエクスプロージョンの名前だけ出ていました」
「そうなのか」
 
 ヒロシは中二病のような名前の爆裂魔法エクスプロージョンの事を全く知らなかったが、ラファエルの解説で大魔導師が使う究極の火炎魔法だと理解した。


 レッサードラゴンを迎え撃つためにヒロシとミサエさん、ダリナとサブローは城壁から3キロ程度離れた草原で待機をしていた。

「ダリナ、土魔法で塹壕を作りましょう」
「ミサエさん、はい」

 ミサエさんとダリナは土魔法を使ってドラゴンのブレス攻撃から身を守るために塹壕を作ってくれた。

「まもなくレッサードラゴンが来ます」
 ズシン、ズシン、ズシン、ズシン、ズシン、ズシン、さながらヒロシが子ども時代に見た怪獣映画のように地響きがしてきた。

「サブロー、攻撃準備」
 ヒロシとサブローはレッサー・ドラゴンに照準を合わせた。

「ヨーイ、撃てー」
 バシューン、バシューン、ゴーレムの核を装着したイグラはレッサードラゴンの腹にめがけて真っ直ぐに飛んでいき大爆発を起こした。

 チュドーン、チュドーン、大きな爆発音が2回響いたので城壁の冒険者たちは腰を抜かしそうになった。

「サブロー、レッサー・ドラゴンをやっつけたな」
「ヒロシさん、2発とも命中です」
 ヒロシは珍しくとサブローとハイタッチをしたのだった。

「ミサエさん、私感激しました」
「ダリナ、私もよ」
 ミサエさんとダリナは感激で抱き合っていた。


「やったー、レッサードラゴンが爆発したぞ」
「神の奇跡じゃ、サジタリアスの矢がレッサードラゴンに当たったのだ」

「聖女様と獣耳姫様、錬金術師の大勝利じゃ」
「「「「「「うぉ~~~~」」」」」」

 ギルドは一瞬、歓喜の声が上がったが近隣の村々で負傷者が多数出てポーションの緊急配給要請が来ていたのだった。

(話終わり)
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