改訂版 勇者と聖女の育成請け負います_みんなで育てれば怖くないね

にしのみつてる

文字の大きさ
3 / 78
第1章

初めての依頼 粘土を練ろう

しおりを挟む
 翌朝……

(LV15確認、MP15000を確認、世界辞書インストール完了、全魔法使用可能)
「ナビ子さん朝から何を言っているの?」

(おはようございます。お二人に世界辞書のインストールが完了したのとレベルが上ったので今日から全魔法が使えるようになりました)

 シローとスミレさんは猫のあくび亭で朝食を食べた後で冒険者ギルドへ行って冒険者登録をすることにした。冒険者ギルドには数人のいかにも柄が悪そうな感じの冒険者はいたが、テンプレのと称したはなかった。

 シローとスミレさんは受付で申し込み用紙に名前を記入して、陶芸工房の仕事を二人で受けることにした。冒険者初級講習を朝から受けるように勧めれれたが、仕事を最優先させたいので” 指定ランク無し:陶土の練り作業 ” の依頼を受けるにした。

「では、仕事の依頼期間は10日間になります」
「陶芸工房へは、この依頼書を持ってハインツ工房に直接行ってください」

「「はい」」

「「冒険者ギルドから来たシローとスミレです」
「「今日からお世話になります。よろしくお願いします」」

「ああ、よく来てくれたね。歓迎するよ」

 工房主のハインツさんは奥さんのタニヤさんと忙しそうに働いていた。

「モニカ、ここを代わっておくれ」
「は~い」

「大口の注文が入って、今はてんてこ舞いなのよ」

 タニヤさんは娘のモニカさん代わってもらい二人に説明をしてくれた。二人は挨拶も早々に陶土を作る粘土を練る作業を教えてもらった。

「この大きなかめに粘土を2種類均等に入れておくれ」
「粘土はこの大きなスコップですくうといいよ」
「粘土を入れ終わったら、最初に『ウオーターボール』と唱えてバケツに水を満たしておくれ」
「1回で水が満たせなかったら、2回唱えておくれ」

かめに水を入れ終わったら『ニディング』と唱えるんだ」

「タニヤさん、やってみますね」

「「ウオーターボール」」
 バケツ一杯に水が満たされた。

「「ニディング」」

「シロー、スミレ、あんたち上出来だよ」
「今まで何処かで土魔法を習ったのかい?」

「いいえ、土魔法は今日が初めてです」
「へえ~、それにしても大したものだ」

「陶土が練れたら、今度は『クレイ・ボール✕個数』だよ」
「出来上がった粘土ボールは板の上に並べておくれ」

「クレイボール✕10」
「驚いた、あんた達一度で10個も粘土ボールが出来るのかい?」
「はい、何となく個数を10個にしました」

「初心者は粘土ボールを2個作ると魔力切れが起きそうになってめまいを起こすから普通は1個づつ唱えるんだよ」

「そうなのですか?」

「シローさん、疲れていないの?」
「スミレさん、何ともないよ」

「私も疲れていないよ」

(シローさん、スミレさん、世界辞書のインストールと魔力量が上がったから魔力切れは起きにくくなっています)
(ナビ子さん、ありがとう)

「じゃあ、昼まで二人で頑張って粘土ボールを作っておくれ」
「この20個の粘土ボールはもらっていくよ」

「は~い、頑張ります」

「シローさん、瓶の粘土が無くなったね」
「そうだね」

「ナビ子さん、粘土を効率よく瓶に入れる方法は無いの?」
(ハイ、魔法とはイメージの世界なので、粘土を効率よく切り取るのは『クレイ・カット』です)

「クレイ・カット」
「クレイ・カット」
「スミレさん、出来たね」

「本当だね、私もやってみるわ」
「クレイ・カット」
「クレイ・カット」

「スミレさん、瓶は10個有るけど、全部使っていいのかな?」
「多分大丈夫だと思うわ」

「クレイ・カット」
「クレイ・カット」
 …… しばらくして粘土は10個の瓶に均等に入れられた。

 次は『ウオーター』だったね」
「そうよ」

「「ウオーター」」
「「ウオーター」」
 …… しばらくして水が10個の瓶に満たされた。

「スミレさん、練る作業ニディングを一度に出来ないかな?」

「粘土ボールが✕個数で出来たからニデングも✕個数で出来ると思うわ」

「ニディング✕10」
 10個の瓶の粘土は一度に練られたのだった。


「スミレさん、粘土ボールは50個づつ作ろうよ」
「ええ、そうね」
「「クレイボール✕50」」
 粘土ボールは10個づつ板に綺麗に並べられたのだった。

「出来たね、スミレさん、疲れていないの?」
「ええ、何とも無いわよ」

「スミレさん、1時間ほどで二人で1日分以上働いたと思うよ」
「そうよね、普通の人は1日10個が限度じゃないの」
「そうかも知れないね」

「二人でタニヤさんを呼びに行こうよ」
「そうね」

 シローとスミレはタニヤさんを呼びに行った。

「驚いた、二人とも、もう終わったのかい?」
「それにしてもこの個数だよ」

「普通は二人でも10日以上かかると思っていたよ」
「本当に助かったよ、これで窯の方に回して今日中に焼き上がるよ」

「二人の仕事はこれで終わりだよ」
「依頼書にサインをしておいたのでギルドに持っていくといいよ」

「「タニヤさん、ありがとうございました」」
「シローさん、スミレさん、本当に助かったよ、ありがとう」

「スミレさん、冒険者ギルドに行こうよ」
「そうね」

「すみません、ハインツ工房の依頼が終わりました」
「えっ、もう終わったのですか?」

「はい、タニヤさんから終了のサインをもらっています」

「本当ですね、あの依頼は1人で20日以上かかる依頼だったのです」
「それと初心者は魔力切れを起こすので不人気な依頼だったのです」

 受付嬢は依頼書に依頼完了印コンプリートを押すと精算してくれた。

「依頼達成おめでとうございます。報酬の銀貨2枚です」
「ありがとうございます」

「それから、午後から冒険者初級講習を受けられませんか?」
「受講料は無料ですし、受講後にお二人はEランク冒険者として正式に登録されます」

「わかりました。冒険者初級講習は受けます」

◇ ◇ ◇ ◇

 シローとスミレさんは冒険者ギルド職員に対して口には出さなかったが……20日働いて報酬が銀貨2枚って、宿代の2泊分にしかならないので余りにも報酬が安すぎると思ったのだった。

 報酬が極端に安かった訳は冒険者ギルドの受付嬢が日数計算のミスを1日分と勘違いして、そして手数料として報酬の9割が中抜きをされたのだが……二人には全く知るよしも無かった。

続く──
----------------------------------

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

なほ
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模るな子。新入社員として入った会社でるなを待ち受ける運命とは....。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

金髪女騎士の♥♥♥な舞台裏

AIに♥♥♥な質問
ファンタジー
高貴な金髪女騎士、身体強化魔法、ふたなり化。何も起きないはずがなく…。

友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった

海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····? 友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))

処理中です...