改訂版 勇者と聖女の育成請け負います_みんなで育てれば怖くないね

にしのみつてる

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第1章

移動式ログハウスが完成した

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 王都ケトマスの冒険者ギルドで魔物を売ったシローとスミレさんはミカエルの提案で赤の魔女と青の魔導師がキャンプをしていたチアフィーロ市のピーラー山に瞬間移動してきた。この夜はケトマスの市場で買ってきたエビとホタテ貝の海鮮BBQで二人で盛り上がったのだった。

 翌朝……

 ピピピ、ピピピ、ピピピ、ミカエルは朝6時の定刻にアラームでシローとスミレさんを起こしてきた。

「スミレさん、おはよう」
「シローさん、おはよう」

「ミカエル、朝早くからアラームを鳴らして今朝はどうしたの?」

「シローさん、スミレさん、おはようございます」

「今日の予定は朝食後にお二人でログハウスを建てる準備に取り掛かっていただきたいと考えたからです」
「現在、テオスシステムの共有データーを元に先のジェネオスとアギオスたちが作ったログハウスのデーターが蓄積されております。シローさん、スミレさんの思考から読み取った『平屋建てのログハウスの間取り』はこちらになります」

 ミカエルはテオスシステムの共有データーからシローとスミレにふさわしいプランの間取りを選んだ。

「一応、ゲスト用の寝室を用意したプランにさせていただきました」
「スミレさん、どう?」
「ミカエル、もう一度やり直して」

 スミレさんは、いくら体が若返っても子育てをすることは絶対に無いと考えていた。ましてこの世界に友達は一人もいないので誰かを自宅に招いて泊める事は絶対に無いと考えていたのだった。

「ミカエル、ゲスト用の寝室は要らないと思うからから私たちのクローゼットに変更して」
「それと、トイレとお風呂の間取りをもう少し広くして」

「スミレさん、分かりました。改良いたします」
「スミレさん、こちらが新しい間取りプランになります」

 出来上がったログハウスは平屋建てでシンプルな片屋根タイプのログハウスだった。寝室はダブルベッドが充分に入る大きさに拡張されたし、隣のゲストルームだった部屋はスミレさん専用のウォークインクローゼットに変更されていた。バスルームも拡張されて大人二人がゆったりと入れる浴槽に変更されていた。最後にトイレだが男子トイレと女子トイレの2つに別れたのだった。

「シローさん、これならオッケーよ」

「では、お二人にはログハウスの材料を調達して頂きたいので飛翔フライでこの先の山奥に移動しましょう」
「ミカエル、キャンピングカーで飛ばないのか?」

「シローさん、伐採予定の森の上空まではキャンピングカーで移動できても着陸が出来ないからです。これからは飛翔魔法を使う場面も出てくるので慣れるためにも飛翔フライで飛びましょう」

「ミカエル、わかったよ」
「「飛翔フライ」」


「シローさん、自分で空を飛ぶってちょっと怖いわ」
「スミレさん、俺から絶対に手を離さないで」
 シローとスミレさんは飛翔フライで空に上った。ゆっくり5分ほど飛んで目的の森に到着したのだった。

「サーチ」
 シローは森周辺の魔物を探知した。幸いに大型の魔物は全くいないようで周りにいるのは数羽のホーンラビットだけだった。

「シローさん、スミレさん、直径30センチ以上の木を風刃エアーカッターで伐採しましょう」

風刃エアーカッター

「シローさん、私もやってみるわ」
風刃エアーカッター

 大木は次々と伐採され、シローは枝が付いたままの大木を収納していった。

「シローさん、スミレさん、材料は充分に集まったので転移ワープでキャンプ地まで戻りましょう」
「「了解、転移ワープ」」

「では、シローさんはスミレさんにペニスを握ってもらい魔力を循環させてログハウスを作って下さい」

「スミレさん、お願い」
「シローさん、おちんちんを握るよ」

「スミレさん、ログハウスを作るね」
「シローさん、頑張って」

 二人の体が金色に輝き魔力の循環が始まっていた。更に輝きが増したところで、ドドーンと大きな太鼓の音が鳴り目の前にログハウスが出現した。

「シローさん、素敵なログハウスが出来たね」
「スミレさん、良かったね」

 二人は玄関からログハウスに入ってキッチン、リビングの間取りを確かめたのだった。シローは大木だけしか材料を用意しなかったが、ガラスやユニットバス、システムキッチンなど現代の設備は何で作ったのか不思議だったが、言わないことにした。

(シローさん、木材以外は魔鉱石とこの世界にある自然素材から錬成をしています。窓ガラスは魔鉱石の抽出が終わった岩石から石灰成分を取り出し、近くの川砂を利用して作っています。同じく、鉄製品は魔鉱石からの抽出加工品なのです)

(ミカエル、詳しい解説をありがとう)
(どういたしまして)

「シローさん、想像以上だわ、ありがとう」
「スミレさん、良かったね」

「シローさん、今日のお昼はホタテのパスタを作るわね」
「スミレさん、お願いします」

 スミレさんはキッチンに備え付けの魔導IHコンロにパスタ鍋を置いた。パスタ鍋は昨日シローが具現化で作ったが、元の世界の調理道具を具現化で作成出来るのは少々驚いた。フライパンにバター、ホタテを入れ中火でさっと炒め茹でたパスタにソースをかけた。

「スミレさん、昼間だけどスパークリングワインを開けようか?」
「ええ、お任せするわ」

 シローはスパークリングワインをワイングラスに注いだのだった。柔らかい日差しが差し込み、新築のログハウスは針葉樹の木の香りが爽やかだった。

「スミレさん、ホタテのパスタ美味しいね」
「シローさん、エビを入れるのを忘れていたわ」

「スミレさん、デザートのショートケーキです」
「それと、コーヒーをどうぞ」
「シローさん、ありがとう」

 シローはミカエルのアドバイスを借りて具現化で元の世界の有名店のコーヒー豆とショートケーキを作ってみた。イポニアにもカッファ豆は入ってきているらしいが、ほとんどの人は飲まないので値段はどうしても高かった。

 ミカエルはこの世界でもショートケーキはナトホカまで飛べば転生してきたジェネオスとアギオスが作って販売しているので食べられると言っていたが、ショートケーキ1個の値段が銀貨2枚だと教えてくれたので二人は高級洋菓子だと思ったのだった。


(話終わり)
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