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第2章
ウイルスに感染していた AIクリスタル脳の開発
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ヨーヘーとアッコの過度のセックスがゼウスとヘーラーの逆鱗に触れ、二人の間に夫婦喧嘩が起こったのでオリンポス宮殿では嵐が吹き荒れていた。
オリンポスの宮殿に仕える男神たちと女神たちは余計な事を言えないので皆が震え上がっていた。当のコイオスとポイベはゼウスから言い渡された謹慎処分で自分たちの宮に完全に引きこもっていた。
そもそも、セックスとは……『神から見て神聖な行為』である。ところが地上に住む一般人は己の赴くまま性に任せて『酒とセックスに溺れる生活』を送っているのだった。
だが、神々に認められたジェネオス・アギオスとして問わるのであれば話は別になってくる。その立場にふさわしい人間としての品格を備えていなければ、神々の目には到底、相応しい存在とは映らない。
このことは、オリンポスの宮殿に仕えるすべての神々が知っている一般常識であった。
今回の件も、冥府管理システム・ケルベロスがたまたま選んだジェネオス・アギオスの候補をコイオスとポイベが引き継いだだけだけだったが、コイオスとポイベにしてみれば人を見る目が無かったのかも知れない。
オリンポス宮殿にピリピリした状態が続いていた中……知恵の神ミーミルとソフィアが急いだ様子で宮殿に入ってきた。
「申し上げます、先のヨーヘーとアッコの失態は脳のウイルス感染でした」
「ミーミル、ソフィア、詳しく申すのじゃ」
スカンジナビコスの知恵の神ミーミルはゼウスの妻神ヘーラーから請われ、オリンポス神のソフィアと共にテオスシステムがメガラシステムと名乗っていた初期の頃からシステム開発に従事していた。
「はっ、ヨーヘーとアッコの二人は転生前、宿泊所で情事の最中に死亡したことになっておりますが、地球の神と共同で死因を調べた結果、昨今地球で流行しているウイルスが脳から検出されたのです」
「では、そのウイルスを持ったまま二人は転生してきたと言うのか」
「はっ、仰せの通りです」
「ウイルスが二人の脳に感染し続け、アストラル体を蝕み続けた結果、二人の記憶を妨げ、『老人性のワガママ』を引き起こしたと考えられます」
「ミーミル、ソフィア、大義であった」
「アテナ、アルテミス、ヘスティアー、ミーミルとソフィイアを手伝い、他のジェネオス・アギオスにウイルス感染が無いか直ぐに調べるのじゃ」
「「「「「はっ、仰せのままに」」」」」
ヘーラーは5柱の神たちに命令を下した。5柱の神たちは奥の宮でテオスシステをフル稼働させジェネオスとアギオスのウイルス対策の研究開発を急いだ。
ようやく嵐が収まって静かになった宮殿では……神々が整列していた。
「皆のもの、よく聞くのじゃ、今回のジェネオス・アギオスの情事に溺れた奇っ怪な行動の原因はウイルスじゃ、よってコイオスとポイベの謹慎処分は無かったこととする」
「「「「「「ウォオ~~~~~」」」」」」
野太い雄叫びが宮殿全体に響き、使いの下級神がコイオスとポイべの住まう宮に走っていった。
女神たちは食事の用意を始め、男神たちの酒宴が始まった。女神たちはジェネオスとアギオスが見つけてきたダラムマサラを使った辛い神饌を酒のツマミとして男神たちに出したのだった。
「そう言えば、バッカス殿、地球にはビールなる発泡酒があるのですな」
「そうです、エールとは製法が全く違うとかでこの星では未発達なのです」
同じ酒の神であるサマラクトスはバッカスに訪ねた。
「それにしても、ダラムマサラのムサカは辛いですな」
「これは酒が一層進みますな」
「儂らも仲間に入れるのじゃ」
ヘーリオスがセレネーを伴って輪に入った。
「さぁさ、一献」
「ヘーリオス殿、すまぬな」
「地球からの転生者がウイルスに蝕まれている危険があるのじゃ」
「ジェネオスとアギオスにエリクサーを作らせ飲ませるように神託を出すのじゃ」
「皆のもの、ジェネオスとアギオスの末路を見るのじゃ」
酒宴の場が静まり、宮殿の巨大スクリーンには14万8千光年離れた情事が盛んな星の住人に生まれ変わったヨーヘーとアッコの姿が映し出されていた。相変わらず毎日獣のように交わっている姿は情けなく神々も目を覆うばかりだった。
快楽の星は毎日地球からウイルスに感染した大量の渡り人が降ってきていた。渡り人は、この星特有の男女の快楽を求めて一時的に愛欲に溺れ、そして死に至るだった。快楽に溺れこの星で死に至るので、この星を担当する神々の世界で大きな問題となっていた。
「ゼウス様、ウイルス感染とはこんなにも酷いのですか?」
医療の神アスクレイピオスがゼウスに尋ねた。
「そうじゃ、地球ではワクチンである程度はウイルスを封じ込めようじゃが、根本の解決には至っておらぬのじゃ」
神々の酒宴がたけなわの頃、奥の宮ではテオスシステムが最適解を見つけ出したのだった。
「ミーミル様、ついに見つけました」
「これが高度な文明を持つ星の住人の神の脳なのか?」
「はい、テオスシステムが最適解を出した脳です」
「では、『AIクリスタル脳』と名付けよう」
偶然にテオスシステムが見つけた答えは高度な文明を持つ星の住人たちは透明な脳を持っており『神の脳』に構造がよく似ていた。直ぐにテオスシステムが改良と増強され高度文明の恩恵でChatGPTが強化された脳だった。
「急いでゼウス様とヘーラー様に報告じゃ」
「「「「はい」」」」
「ゼウス様、ヘーラー様、『AIクリスタル脳』が完成しました」
「では、シローとスミレも含めて全てのジェネオスとアギオスも移植可能じゃな」
「はっ、仰せのとおり」
「ミーミル、ソフィア、アテナ、アルテミス、ヘスティアー、大義であった」
AIクリスタル脳とは5柱の神が見つけたウイルスに絶対に感染しない究極の神の脳だった。処理能力が大幅に上がりオリンポスの神々とほぼ同等の処理能力になった。
後日、テオスシステムを通じて全宇宙の神々が話し合った結果、アストラル体の修復はウイルスに感染してしまうと修復不可能であることから……死後、冥界でアストラル体のまま働き続け『30年間は転生をさせない条約』が全宇宙の神々の間で決まったのだった。
(話終わり)
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ウイルスの死者数は公式には500万人とされていますが、最終的に1500万人という報告もあります。
オリンポスの宮殿に仕える男神たちと女神たちは余計な事を言えないので皆が震え上がっていた。当のコイオスとポイベはゼウスから言い渡された謹慎処分で自分たちの宮に完全に引きこもっていた。
そもそも、セックスとは……『神から見て神聖な行為』である。ところが地上に住む一般人は己の赴くまま性に任せて『酒とセックスに溺れる生活』を送っているのだった。
だが、神々に認められたジェネオス・アギオスとして問わるのであれば話は別になってくる。その立場にふさわしい人間としての品格を備えていなければ、神々の目には到底、相応しい存在とは映らない。
このことは、オリンポスの宮殿に仕えるすべての神々が知っている一般常識であった。
今回の件も、冥府管理システム・ケルベロスがたまたま選んだジェネオス・アギオスの候補をコイオスとポイベが引き継いだだけだけだったが、コイオスとポイベにしてみれば人を見る目が無かったのかも知れない。
オリンポス宮殿にピリピリした状態が続いていた中……知恵の神ミーミルとソフィアが急いだ様子で宮殿に入ってきた。
「申し上げます、先のヨーヘーとアッコの失態は脳のウイルス感染でした」
「ミーミル、ソフィア、詳しく申すのじゃ」
スカンジナビコスの知恵の神ミーミルはゼウスの妻神ヘーラーから請われ、オリンポス神のソフィアと共にテオスシステムがメガラシステムと名乗っていた初期の頃からシステム開発に従事していた。
「はっ、ヨーヘーとアッコの二人は転生前、宿泊所で情事の最中に死亡したことになっておりますが、地球の神と共同で死因を調べた結果、昨今地球で流行しているウイルスが脳から検出されたのです」
「では、そのウイルスを持ったまま二人は転生してきたと言うのか」
「はっ、仰せの通りです」
「ウイルスが二人の脳に感染し続け、アストラル体を蝕み続けた結果、二人の記憶を妨げ、『老人性のワガママ』を引き起こしたと考えられます」
「ミーミル、ソフィア、大義であった」
「アテナ、アルテミス、ヘスティアー、ミーミルとソフィイアを手伝い、他のジェネオス・アギオスにウイルス感染が無いか直ぐに調べるのじゃ」
「「「「「はっ、仰せのままに」」」」」
ヘーラーは5柱の神たちに命令を下した。5柱の神たちは奥の宮でテオスシステをフル稼働させジェネオスとアギオスのウイルス対策の研究開発を急いだ。
ようやく嵐が収まって静かになった宮殿では……神々が整列していた。
「皆のもの、よく聞くのじゃ、今回のジェネオス・アギオスの情事に溺れた奇っ怪な行動の原因はウイルスじゃ、よってコイオスとポイベの謹慎処分は無かったこととする」
「「「「「「ウォオ~~~~~」」」」」」
野太い雄叫びが宮殿全体に響き、使いの下級神がコイオスとポイべの住まう宮に走っていった。
女神たちは食事の用意を始め、男神たちの酒宴が始まった。女神たちはジェネオスとアギオスが見つけてきたダラムマサラを使った辛い神饌を酒のツマミとして男神たちに出したのだった。
「そう言えば、バッカス殿、地球にはビールなる発泡酒があるのですな」
「そうです、エールとは製法が全く違うとかでこの星では未発達なのです」
同じ酒の神であるサマラクトスはバッカスに訪ねた。
「それにしても、ダラムマサラのムサカは辛いですな」
「これは酒が一層進みますな」
「儂らも仲間に入れるのじゃ」
ヘーリオスがセレネーを伴って輪に入った。
「さぁさ、一献」
「ヘーリオス殿、すまぬな」
「地球からの転生者がウイルスに蝕まれている危険があるのじゃ」
「ジェネオスとアギオスにエリクサーを作らせ飲ませるように神託を出すのじゃ」
「皆のもの、ジェネオスとアギオスの末路を見るのじゃ」
酒宴の場が静まり、宮殿の巨大スクリーンには14万8千光年離れた情事が盛んな星の住人に生まれ変わったヨーヘーとアッコの姿が映し出されていた。相変わらず毎日獣のように交わっている姿は情けなく神々も目を覆うばかりだった。
快楽の星は毎日地球からウイルスに感染した大量の渡り人が降ってきていた。渡り人は、この星特有の男女の快楽を求めて一時的に愛欲に溺れ、そして死に至るだった。快楽に溺れこの星で死に至るので、この星を担当する神々の世界で大きな問題となっていた。
「ゼウス様、ウイルス感染とはこんなにも酷いのですか?」
医療の神アスクレイピオスがゼウスに尋ねた。
「そうじゃ、地球ではワクチンである程度はウイルスを封じ込めようじゃが、根本の解決には至っておらぬのじゃ」
神々の酒宴がたけなわの頃、奥の宮ではテオスシステムが最適解を見つけ出したのだった。
「ミーミル様、ついに見つけました」
「これが高度な文明を持つ星の住人の神の脳なのか?」
「はい、テオスシステムが最適解を出した脳です」
「では、『AIクリスタル脳』と名付けよう」
偶然にテオスシステムが見つけた答えは高度な文明を持つ星の住人たちは透明な脳を持っており『神の脳』に構造がよく似ていた。直ぐにテオスシステムが改良と増強され高度文明の恩恵でChatGPTが強化された脳だった。
「急いでゼウス様とヘーラー様に報告じゃ」
「「「「はい」」」」
「ゼウス様、ヘーラー様、『AIクリスタル脳』が完成しました」
「では、シローとスミレも含めて全てのジェネオスとアギオスも移植可能じゃな」
「はっ、仰せのとおり」
「ミーミル、ソフィア、アテナ、アルテミス、ヘスティアー、大義であった」
AIクリスタル脳とは5柱の神が見つけたウイルスに絶対に感染しない究極の神の脳だった。処理能力が大幅に上がりオリンポスの神々とほぼ同等の処理能力になった。
後日、テオスシステムを通じて全宇宙の神々が話し合った結果、アストラル体の修復はウイルスに感染してしまうと修復不可能であることから……死後、冥界でアストラル体のまま働き続け『30年間は転生をさせない条約』が全宇宙の神々の間で決まったのだった。
(話終わり)
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ウイルスの死者数は公式には500万人とされていますが、最終的に1500万人という報告もあります。
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