6 / 10
1章
渚の屋台、貴族の庭にて
しおりを挟む
港町ナギノハマの朝。
潮風が吹き抜ける中、カメ吉は屋台の前で甲羅を回転させながら踊っていた。
「アアア、アン、アアア、アン ああ渚のタートルなの~」
ミナはリズムを聞き取り、即座に振り付けを考案する。
「カメ吉さん、朝から何を楽しそうに踊っているのですか?」
リサも負けじと参戦。
「ミナさん、私も踊る!」
肘鉄のフォームでターンを決めるリサ。
屋台の前は、朝から祭りのような賑わいを見せていた。
その頃、屋台では新メニューが誕生していた。
「俺が考えたのはこの粉モンだ」
魔蛸の足を使った、異世界たこ焼き風の料理――オクタ焼き。
中にはダンジョン産の削り節が香り、客の舌を魅了する。
「ナニコレ……ホヒハヒ、美味しい」
「ハヒ、アッチィ、フーフー、美味しい」
そして、屋台の横ではグラスからシュワシュワと音が響いていた。
「そして~、この飲み物だ」
炭酸の爽快感が口の中で弾ける魔導ソーダ。
その製法は商業ギルドに登録済みの魔導技術であり、甲羅AIが自動展開する“ソーダ水生成魔導具”によって完成されていた。
――《炭酸濃度:爽快度MAX。泡立ち指数:100》
こうして、港町ナギノハマは連日、新しい食文化が人気を独占していた。
踊るタートルズ、オクタ焼き、魔導ソーダ――屋台は朝から祭り状態に。
「カメ吉さん、踊ってる場合じゃないですよ!屋台が行列です!」
「踊る傭兵は、売れる傭兵だ」
「ウーフォ音頭、全国展開しましょう♡」
――《屋台ギルドに“踊るタートル”商標申請中》
---
### 【中編】伯爵邸からの招待
港町の屋台騒ぎは、ついにこの地域を治めるナギノ伯爵の耳にも届いていた。
伯爵邸の書斎。
ナギノ伯爵は、香ばしいソースの香りが漂う報告書を手にしていた。
「トーマス、屋台ギルドが焼きそばフォーとオクタ焼きのレシピを管理しているのだな?」
「はい、そうです。旦那様」
「それと、マヨネーズの器具と調味料、ソーダ水生成魔導具の登録か」
「はい、そうです。旦那様」
伯爵は顎に手を当て、渋くうなった。
「これだけの発明ならば、ナギノ家にも何らかの利益があるはずじゃ」
「相手は冒険者ですので、はした金で釣れるかと」
「トーマス、それは悪手だ。ここは素直に教えを請うたほうが良い」
「誠意と、当地の特産ウイスキーですね」
「そうじゃ。甲羅の中で飲むらしいからな」
その頃、屋台ではカメ吉が甲羅の中でくつろいでいた。
――《伯爵邸からの招待状を検知。香り:高級紙とソース》
「……貴族か。俺の甲羅に入れるかどうか、試してみるか」
「まさか貴族の屋敷で踊る気じゃないでしょうね?」
「ウーフォ音頭、貴族バージョン作りましょう♡」
---
### 【後編】貴族の庭で踊るタートルズ
翌日の昼、カメ吉の屋台は伯爵邸の庭園へと移動された。
甲羅AIが「貴族モード」に切り替わり、屋台の天幕は金縁にアップグレードされていた。
ミナとリサは、大人しめのドレスに着替え、伯爵の前で踊りを披露する。
タンタンタン、タンタンタン 「ウーフォ」……
「私の恋はマヨ光線よ~」
そして――
「アアア、アン、アアア、アン ああ渚のタートルなの~」
伯爵は目を細め、グラスを傾けながらうなった。
「これは美味じゃ。それに踊りも見事じゃ」
「浜の住民たちが夢中になったのも頷けます」
「これは文化じゃ」
リサが銀盆に乗せたグラスを差し出す。
「ナギノ伯爵、こちらは特産ウイスキーをソーダ水で割ったものです。“ハイボール”と呼ばれています」
伯爵は一口飲み、目を見開いた。
「ズキンドキン……これは飲みやすい。恋の味じゃな」
「レモンを加えると、さらに爽やかになります」
「アンジェリーナ、オクタ焼きにはソーダ水じゃな」
「はい、お父様」
「では、“ハイボール”のレシピをくれるのじゃな」
「もちろんです」
伯爵は立ち上がり、カメ吉の前に歩み寄る。
「トーマス、カメ吉に許可証を与えるのじゃ」
「はっ、こちらにございます」
差し出されたのは『屋台ギルド・貴族認定証』。
これにより、カメ吉の屋台はナギノ領内での特別営業許可を得た。
――《営業許可取得。泡立ち指数:MAX。踊り認定:貴族級》
カメ吉は静かにグラスを傾けながら、ぽつりとつぶやいた。
「……俺の甲羅、また一つ伝説を刻んだな」
「カメ吉さん、踊ってる場合じゃないですよ!次は王都で営業です!」
「ウーフォ音頭、王都バージョン作りましょう♡」
続く──
----------------------------------
潮風が吹き抜ける中、カメ吉は屋台の前で甲羅を回転させながら踊っていた。
「アアア、アン、アアア、アン ああ渚のタートルなの~」
ミナはリズムを聞き取り、即座に振り付けを考案する。
「カメ吉さん、朝から何を楽しそうに踊っているのですか?」
リサも負けじと参戦。
「ミナさん、私も踊る!」
肘鉄のフォームでターンを決めるリサ。
屋台の前は、朝から祭りのような賑わいを見せていた。
その頃、屋台では新メニューが誕生していた。
「俺が考えたのはこの粉モンだ」
魔蛸の足を使った、異世界たこ焼き風の料理――オクタ焼き。
中にはダンジョン産の削り節が香り、客の舌を魅了する。
「ナニコレ……ホヒハヒ、美味しい」
「ハヒ、アッチィ、フーフー、美味しい」
そして、屋台の横ではグラスからシュワシュワと音が響いていた。
「そして~、この飲み物だ」
炭酸の爽快感が口の中で弾ける魔導ソーダ。
その製法は商業ギルドに登録済みの魔導技術であり、甲羅AIが自動展開する“ソーダ水生成魔導具”によって完成されていた。
――《炭酸濃度:爽快度MAX。泡立ち指数:100》
こうして、港町ナギノハマは連日、新しい食文化が人気を独占していた。
踊るタートルズ、オクタ焼き、魔導ソーダ――屋台は朝から祭り状態に。
「カメ吉さん、踊ってる場合じゃないですよ!屋台が行列です!」
「踊る傭兵は、売れる傭兵だ」
「ウーフォ音頭、全国展開しましょう♡」
――《屋台ギルドに“踊るタートル”商標申請中》
---
### 【中編】伯爵邸からの招待
港町の屋台騒ぎは、ついにこの地域を治めるナギノ伯爵の耳にも届いていた。
伯爵邸の書斎。
ナギノ伯爵は、香ばしいソースの香りが漂う報告書を手にしていた。
「トーマス、屋台ギルドが焼きそばフォーとオクタ焼きのレシピを管理しているのだな?」
「はい、そうです。旦那様」
「それと、マヨネーズの器具と調味料、ソーダ水生成魔導具の登録か」
「はい、そうです。旦那様」
伯爵は顎に手を当て、渋くうなった。
「これだけの発明ならば、ナギノ家にも何らかの利益があるはずじゃ」
「相手は冒険者ですので、はした金で釣れるかと」
「トーマス、それは悪手だ。ここは素直に教えを請うたほうが良い」
「誠意と、当地の特産ウイスキーですね」
「そうじゃ。甲羅の中で飲むらしいからな」
その頃、屋台ではカメ吉が甲羅の中でくつろいでいた。
――《伯爵邸からの招待状を検知。香り:高級紙とソース》
「……貴族か。俺の甲羅に入れるかどうか、試してみるか」
「まさか貴族の屋敷で踊る気じゃないでしょうね?」
「ウーフォ音頭、貴族バージョン作りましょう♡」
---
### 【後編】貴族の庭で踊るタートルズ
翌日の昼、カメ吉の屋台は伯爵邸の庭園へと移動された。
甲羅AIが「貴族モード」に切り替わり、屋台の天幕は金縁にアップグレードされていた。
ミナとリサは、大人しめのドレスに着替え、伯爵の前で踊りを披露する。
タンタンタン、タンタンタン 「ウーフォ」……
「私の恋はマヨ光線よ~」
そして――
「アアア、アン、アアア、アン ああ渚のタートルなの~」
伯爵は目を細め、グラスを傾けながらうなった。
「これは美味じゃ。それに踊りも見事じゃ」
「浜の住民たちが夢中になったのも頷けます」
「これは文化じゃ」
リサが銀盆に乗せたグラスを差し出す。
「ナギノ伯爵、こちらは特産ウイスキーをソーダ水で割ったものです。“ハイボール”と呼ばれています」
伯爵は一口飲み、目を見開いた。
「ズキンドキン……これは飲みやすい。恋の味じゃな」
「レモンを加えると、さらに爽やかになります」
「アンジェリーナ、オクタ焼きにはソーダ水じゃな」
「はい、お父様」
「では、“ハイボール”のレシピをくれるのじゃな」
「もちろんです」
伯爵は立ち上がり、カメ吉の前に歩み寄る。
「トーマス、カメ吉に許可証を与えるのじゃ」
「はっ、こちらにございます」
差し出されたのは『屋台ギルド・貴族認定証』。
これにより、カメ吉の屋台はナギノ領内での特別営業許可を得た。
――《営業許可取得。泡立ち指数:MAX。踊り認定:貴族級》
カメ吉は静かにグラスを傾けながら、ぽつりとつぶやいた。
「……俺の甲羅、また一つ伝説を刻んだな」
「カメ吉さん、踊ってる場合じゃないですよ!次は王都で営業です!」
「ウーフォ音頭、王都バージョン作りましょう♡」
続く──
----------------------------------
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
