転生したら亀だった 亀の甲羅を背負った元傭兵のオッサン

にしのみつてる

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1章

王都進出と踊るえびふりゃーの夜明け

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 カメ吉は鼻歌を口ずさみながら、屋台用ソースの在庫を確認していた。

「カメ吉~ カメ吉~ 強いぞリナとミナ~」

「カメ吉さん、私たちの歌を作ったのですか?」

「王都に行くって言ってたからな。鼻歌のつもりだ」

 リナが微笑み、ミナが頷く。

「変わってるけど、そこがいいところなのよね」

 実はこの鼻歌、師匠が鉄板を磨きながら歌っていた特撮映画のマーチをアレンジしたものだった。  
 真相は言えなかった。

 ――《ソースの在庫が0です。香味の迷宮を提案》

 甲羅AIの冷静な声に、カメ吉は眉間にシワを寄せる。

「香味の迷宮か……あそこはソースの聖地だ」

「王都に向かう途中ですよ」

「私も行く~!」

 ――《オートパイロット起動。目的地:香味の迷宮》

 甲羅の中では、AIが勝手に作ったベッドルームで二人が準備を進めていた。

 - リナの部屋:「戦乙女の花園」  
 - ミナの部屋:「踊る双丘」

 ネーミングには疑問が残ったが、宿代が浮くので文句は出なかった。

 香味の迷宮――そこは調味料の聖域。  
 壁からはソースのしずくが滴り、空気は濃厚な香味に満ちていた。

「この香り……香味ソースだ。間違いねぇ」

 ――《ソース濃度:MAX。回収ボトル設置完了。えびふりゃー反応:高》

 迷宮の奥では、魔物たちがえびふりゃーを守っていた。  
 衣はカリカリ、目はソース色。踊りながら襲いかかってくる。

「ズビズバー!えびふりゃーは渡さんがね!」

「やめてけれ──!君たちパパイヤ、サンゴ──!」

「俺の甲羅、踊るだけじゃねぇ。焼くぞゴラー」

 ――《鉄板展開。オクタ焼きモード起動。雑魚キャラ:衣炒め》

 香味ソースとマヨ光線のコンボで、敵は次々に炒められていった。

「ズビズバー……どえりゃうみゃーがや~……」

「やめてけれ……でも美味いがや~……」

「衣が……サクサクだがや……」

 こうして、香味の迷宮の守護者たちは三人のお腹の中に収まり、余った食材は甲羅が自動収納。  
 屋台の食材として再利用された。

「よし、香味ソースの確保完了。次は王都で揚げるぞ」

 ――《えびふりゃー在庫:30000尾。雑魚在庫:100000。幸福指数:MAX》


 朝焼けの中、甲羅は王都へ向かって爆走していた。  
 門前でカメ吉は貴族認定の屋台許可証を掲げる。

「ナギノ伯爵の印……通ってよし!」

 王都の広場に、朝焼けの鉄板がきらめく。  
「踊るえびふりゃー」屋台、ついに開店。

「君たちパパイヤ、サンゴだね~♡」

 ミナはえびふりゃーを片手に、昭和のリズムで踊る。  
 振り付けは“ソースをかけて、衣をサクッ、ズレてターン”の三拍子。

「踊りながら揚げるのは危ないですってば!」

「でもリズムに乗ると、えびふりゃーが勝手に揚がる気がするの~!」

「俺のタルラルソース、踊りと揚げの融合だ。昭和魂、焼き上げるぞ」

 ――《鉄板温度:昭和設定。BGM:昭和フルーツ・カルテット》

 ジュワッ、パチパチパチ……  
 えびふりゃーが踊るように揚がり、タルラルソースが黄金の輝きを放つ。

「オラニエとゆで卵、マヨの三重奏……これが王都仕様だ」

「ソースの香りで人が集まってきてます!」

「ズビズバー!この香り、罪深いがや~!」

「やめてけれ~!でも食べたいがや~!」

 ――《幸福指数:限界突破。踊るえびふりゃー:完売モード突入》

「次は“雑魚ふりゃー”踊り大会、開催しようよ!」

「えびふりゃーで王都を制する気ですか!?」

「俺の甲羅、王都フェスも焼き尽くすぞ」

 ――《次イベント:王都えびふりゃー盆踊り大会。賞品:金の鉄板》


 えびふりゃーの香りは王城の高き塔にまで届いていた。

「最近の王都はえびふりゃーで騒がしいようだな」

「香味の迷宮を突破し、踊りながら揚げる屋台が民の心を掴んでおります」

「踊るえびふりゃー、見てみたいものだ」

 カメ吉たちは王城に招かれ、中庭で屋台を展開。  
 上級貴族たちが集まり、えびふりゃーを前にざわめく。

「下賤な食べ物など、我が口には合わぬわ!」

 そう言いながら、ゼノ伯爵はタルラルソースの香りに吸い寄せられ、一口頬張る。

 目が淡い黄金色に染まり、衣のサクサク音に陶酔。

「このソース……この衣……この罪深さ……!すべて我が物に!」

「俺の甲羅、独占は焼き尽くすぞ」

 ――《粛清モード起動。ゼノ伯爵:ソース中毒》

「ゼノ、王の前で欲に溺れるとは……粛清だ」

「タルラルソースは王家預かりとし、レシピは金貨300枚で買い上げます」

「……300枚!?俺の甲羅、焼きすぎたか?」

「これって国家認定ですよ!」

「えびふりゃーで国を動かすなんて、すごすぎる~♡」

 ――《国家認定屋台許可証発行。国内第1号。国外でも誰も屋台に手を出させない》

 こうして、タルラルソースは王家の宝として保管され、香味の迷宮は王家管轄の聖域となった。  
 数カ月後、「踊るえびふりゃー」は近隣諸国でも伝説級の高級食として語り継がれることになる。


 続く──
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