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1章
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邸の中は綺麗に清掃されていた。
春夜と冬夜はふたりだけであの子らの世話をし、それに加え屋敷の掃除や庭園の手入れなどの仕事もあるため、ふたりの負担が大きいならば使用人を増やすことも考えていたが、この様子ならば大丈夫そうだ。
それにしても本当に待ち遠しい。
今、あの子らのもとへ移動しているこの時間でさえ鬱陶しく感じる程だ。
身長はどのくらい伸びて、大きくなったのだろうか。
体調は悪化せずに元気に過ごせているだろうか。
あの子らは私のことを覚えているだろうか。
1年前に会った時は体調が悪かったのか、話さずに寝ている時にちょっと顔を見るだけだった。
あの月の光を反射し、輝く白銀の髪。
そして1年前には見れなかった、あの1度目にすれば忘れない、美しい青と黄のオッドアイ。
あぁ、本当に待ち遠しい。
───────────────
これは一体、どこに向かっているのだろうか。
今、私たちは庭園を歩いている。
1年前に来た時は、最上階である4階のあの子らの自室に案内されたはずだ。
まあ、あの子らに会えるのならばどこでもよいか。
私はあの子らには両手で数えられる程しか、会ったことがない。
生まれてから数週間は王宮に住んでいたのだ。
しかし、月日が経つにつれどんどん体調は悪くなっていきこの離宮で療養することになった。
離宮で生活が始まると、一気に暗殺者が増えた。
戦闘に長けた執事やメイドをそばにつけようとしたが、これをあの子らはとても嫌がった。
そしてちょうどその頃、私と美希は美希の故郷である東の国へ公務で行くことになった。
そこで、美希の公務に付き合うため孤児院に行ったのだ。
そこで出会ったのが、春夜と冬夜だった。
春夜と冬夜はある日突然、神の像の前に並んで置いてあったそうだ。
誰がなぜこんなことをしたのかもわからないし、どのようにして誰にも気付かれずに置いたのかもわからない。
でも…
運命だと思った。
なぜなら、春夜と冬夜はあの子らと同じ白銀の髪と、オッドアイではなかったが春夜が黄の瞳、冬夜が青の瞳を持っていたからだ。
あの子らが生まれたとき、私たちは驚愕した。
あの子らの髪と瞳は私と美希、どちらも持っていない色合いだったからだ。
しかし、その後に美希から東の国には稀に白銀の髪を持った子が生まれるという伝承があると聞いた。
美希の出身である東の国。
領土はそんなに大きくなく、周りを海に囲まれているせいか鎖国的で歴史がある国だ。
その影響で国独自の文化が発展した。
そして東の国はなぜか空気中の魔素と呼ばれるものが濃く、自然災害や魔物たちによる災害が多発しているため、国自体が危険区域に指定されている。
国自体が危険区域に指定されているとなると、国民全体の戦闘能力が高くなった。
例えば、私の国では魔法は貴族しか使えないが、東の国では全員が使える。
しかも高水準で魔法を扱うことができるのだ。
しかし、国民のほとんどが温厚な性格をしていて、争いを好まない。
それに、負けるとわかっていて戦争を仕掛ける頭の悪い国も少ないため、世界で一番平和な国だと言われている。
そんな東の国に伝わる伝承。
白銀というのは東の国の人々にとって、特別な意味を持つらしい。
どんな意味を持つのか、私はまだ知らないし、美希も伝えようとしない。
私は美希を信頼している。
美希が私に伝えようとしないならば、私も聞くつもりはない。
少し気にはなるが、今はそれでいい。
あの1度目にすれば忘れない
月の光を反射し、儚くも神秘的な
月の輝きの秘密を知るのは
まだ、はやい
春夜と冬夜はふたりだけであの子らの世話をし、それに加え屋敷の掃除や庭園の手入れなどの仕事もあるため、ふたりの負担が大きいならば使用人を増やすことも考えていたが、この様子ならば大丈夫そうだ。
それにしても本当に待ち遠しい。
今、あの子らのもとへ移動しているこの時間でさえ鬱陶しく感じる程だ。
身長はどのくらい伸びて、大きくなったのだろうか。
体調は悪化せずに元気に過ごせているだろうか。
あの子らは私のことを覚えているだろうか。
1年前に会った時は体調が悪かったのか、話さずに寝ている時にちょっと顔を見るだけだった。
あの月の光を反射し、輝く白銀の髪。
そして1年前には見れなかった、あの1度目にすれば忘れない、美しい青と黄のオッドアイ。
あぁ、本当に待ち遠しい。
───────────────
これは一体、どこに向かっているのだろうか。
今、私たちは庭園を歩いている。
1年前に来た時は、最上階である4階のあの子らの自室に案内されたはずだ。
まあ、あの子らに会えるのならばどこでもよいか。
私はあの子らには両手で数えられる程しか、会ったことがない。
生まれてから数週間は王宮に住んでいたのだ。
しかし、月日が経つにつれどんどん体調は悪くなっていきこの離宮で療養することになった。
離宮で生活が始まると、一気に暗殺者が増えた。
戦闘に長けた執事やメイドをそばにつけようとしたが、これをあの子らはとても嫌がった。
そしてちょうどその頃、私と美希は美希の故郷である東の国へ公務で行くことになった。
そこで、美希の公務に付き合うため孤児院に行ったのだ。
そこで出会ったのが、春夜と冬夜だった。
春夜と冬夜はある日突然、神の像の前に並んで置いてあったそうだ。
誰がなぜこんなことをしたのかもわからないし、どのようにして誰にも気付かれずに置いたのかもわからない。
でも…
運命だと思った。
なぜなら、春夜と冬夜はあの子らと同じ白銀の髪と、オッドアイではなかったが春夜が黄の瞳、冬夜が青の瞳を持っていたからだ。
あの子らが生まれたとき、私たちは驚愕した。
あの子らの髪と瞳は私と美希、どちらも持っていない色合いだったからだ。
しかし、その後に美希から東の国には稀に白銀の髪を持った子が生まれるという伝承があると聞いた。
美希の出身である東の国。
領土はそんなに大きくなく、周りを海に囲まれているせいか鎖国的で歴史がある国だ。
その影響で国独自の文化が発展した。
そして東の国はなぜか空気中の魔素と呼ばれるものが濃く、自然災害や魔物たちによる災害が多発しているため、国自体が危険区域に指定されている。
国自体が危険区域に指定されているとなると、国民全体の戦闘能力が高くなった。
例えば、私の国では魔法は貴族しか使えないが、東の国では全員が使える。
しかも高水準で魔法を扱うことができるのだ。
しかし、国民のほとんどが温厚な性格をしていて、争いを好まない。
それに、負けるとわかっていて戦争を仕掛ける頭の悪い国も少ないため、世界で一番平和な国だと言われている。
そんな東の国に伝わる伝承。
白銀というのは東の国の人々にとって、特別な意味を持つらしい。
どんな意味を持つのか、私はまだ知らないし、美希も伝えようとしない。
私は美希を信頼している。
美希が私に伝えようとしないならば、私も聞くつもりはない。
少し気にはなるが、今はそれでいい。
あの1度目にすれば忘れない
月の光を反射し、儚くも神秘的な
月の輝きの秘密を知るのは
まだ、はやい
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