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二十一話 【なきむし】
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「あの、お互い自己紹介しませんか?」
「え、ああ、そうね、それが良いわね」
若干声が震えているのは、先ほどフェルの殺気を受けたからである。
だが、そんな事は知らないウルエは何かに怯えて居る様にも見えるが
それもきっと緊張しているのだろう程度に捉える。
(此処は俺から自己紹介すべきだよな)
「俺の名前はウルエ=ファルネルド!
世間知らずなので色々と迷惑を掛けると思いますが、
よろしくお願いします」
一応先輩にあたる存在なのだから
言葉遣いもそれっぽくしておく。
此方の自己紹介は終わったがお友達さんは
口を半開きにして少し驚いたという顔でボケーと此方を見て来ていた。
本当にこの世界の常識には疎いので
知らぬ間に失礼な事をしているかもしれない。
無言で見つめられてウルエは徐々に焦りだした。
(まさか、言葉遣いが駄目だったのかな……自己紹介すら、)
「……ぅ」
自己紹介すらまともに出来ない自分が情けなくなり、
徐々に涙がこみ上げてくる。
姿も精神も子供になってしまったのかもしれない。
涙が溢れだして止まらないが、必死に鳴き声を抑える。
「うぐ……うぅう」
「ちょ、ちょっと!ど、どうしたのよ?!
え、ええぇ、こういう時どうすれば良いのかしら?!!」
ウルエが泣いた事でやっと現実に帰ってきたお友達は
何故ウルエが泣いているのか分からず、解決策も分からずに
慌てだしあたふたとしていた。
「ごめ、うぅ、なさい……ぅぐ」
「えぇ?!どうすれば良いのかしら……うぅ、えいっ!」
混乱してまともな判断が出来なくなったのか
お友達さんはひしっとウルエに抱き着いて来た。
餓鬼の様に泣きわめいているウルエが言える事じゃないが、
この友達さんも世間知らずなのだ。
だが、体が子供の影響だからなのか、
抱き着かれていると物凄く心が落ち着く。
「ほら、良い子良い子、大丈夫ですわよ~」
片手を腰に手を回しもう片手でウルエの頭を撫でて
耳元でそう呟いて慰めてくれる。
お友達さんの母性が強いのは知らないが
まるで母親に抱き締められている様な気分になり
自然と涙が引いて行く。
「よし、よし、良い子良い子ですわよ~」
「うん、ぐすっ、ありがとう……」
「泣き止むまでよしよしして上げますわ
ところで、どうして謝ってきたのです?」
まだ若干泣きべそなウルエの頭を撫でてよしよしと
慰めてくれる友達さんに物凄く甘えたい気持ちなるが
必死に堪えて質問に答える。
「うっ、何か、失礼な事を、ひっく、しちゃったかもって……」
「え!何も失礼な事なんてありませんでしたわよ!
私は只、フェルとは全然性格が違うウルエに驚いてただけですわ」
どうやらウルエの勘違いだった様だ。
だが、それが分かった所で流した涙は簡単には止まらない。
まだ少し涙や鼻水が出て非常に情けない顔をしているが
取り敢えず失礼をしてないことが分かり一安心。
「もう大丈夫かしら?」
「うん、ありがとう!」
泣き顔を隠すために満面の笑みを浮かべ
誤魔化しきれないと分かっているが泣き顔を誤魔化す。
お友達さんが再び驚いた様な顔を浮かべたが、
直ぐに笑顔になって頭を撫でてくれた。
涙がやっと止まり、
距離を離して再び自己紹介を再開する。
「私の名前はアンア=ウレフア、フェルの唯一のお友達ですわ。
それとウルエ、貴方は敬語じゃなくて甘えた喋り方の方が似合いますわよ」
(確かに甘えたいと一瞬思ってしまった時はあったが、
甘えた喋り方をしていた訳ではないのだけれど……
でも、確かに俺には敬語なんて似合わないかも知れない。
此処は言葉に甘えて、いつも通りの喋りをしよう)
「うん、よろしくねアンアさん」
一応さん位は付けておく
流石にいきなり呼び捨ては印象も悪いだろから。
「アンアで良いですわよ、
それかフェルと同じようにお姉ちゃんと、
いえ、アンアお姉ちゃんと呼んで欲しいですわ」
真顔でそう言われ、ウルエは困惑した。
「え?それって俺が知らないだけで常識なの?」
お姉ちゃん以外の年上と自己紹介なんて
一度もしたことは無かったのでアンアが言っている事が
おかしいのか普通なのか判断出来かねない。
(それに表情を見る限り真剣に言ってるし……)
「え?ああ!そうだわ、その通りよ、常識なのよ」
(勢いで嘘を付いてしまいましたわ……
フェルの弟さんに嘘を教え込んだ事がバレたら
きっと私酷い目に合いますわね……
ですが、何でしょうかこの背徳感……癖になりそうですわね)
アンアは新たな扉を開こうとしているが、
そんな事もしらないウルエはアンアの事を
常識を教えてくれる良い人と認識してお礼を言う。
「やっぱり、そうなんだ。教えてくれてありがとう!
よろしくねアンアお姉ちゃん」
「はいですわ!」
飛びっきりの笑顔を向けられ思わず目を逸らしてしまうウルエ。
「あっ、そうだったわ!ウルエ、貴方、フェルに何か言いましたわね?
さっき物凄い形相で出て行ったのはウルエが原因ですわよね?」
「んー……」
風呂場での会話を思い出してみるが
それと言って思い当たる点が無い。
(唯一フェルの表情が暗くなったのは
俺がゴーレムの話を……ってそれか!?)
「えっとね、今日ダンジョンがおかしくて
ゴーレムに襲われたって話をした位しか心当たりないかな」
「なるほど、きっとそれの事ね。
でも、それだけであそこまで怒るなんて
よっぽどウルエの事が大切なんですわね!
私も少し分かる気がしますわ」
まさかそれだけでお姉ちゃんが怒るとは思わなかった。
これからは一言一句気を付けた方が良いと心に言い聞かせた。
それとゴーレムさん安らかに眠ってくださいとウルエは心の中で手を合わせた。
「フェルと違ってウルエは本当に可愛らしいわね、
あ、フェルは綺麗でいい子ですわよ?
ですけど、少し性格に違いがありすぎますわね」
「お姉ちゃんとは本当の家族じゃないからね、
俺は養子だからお姉ちゃんとは似てないのは当たり前だよ」
(本当はお姉ちゃんの性格は良いのだけれど……
多少ブラコンすぎて歪んじゃったんだよね)
「えぇ?!そうだったんですの?
見た目は物凄く似てますのに……驚きですわ」
「ははは、本当の家族じゃないけど、
お姉ちゃんの事は家族以上に大切な存在だよ」
さらりと言おうと思ってすらいなかったことが
口からポロリと零れ出て
何だかんだ言ってどうやらウルエはお姉ちゃんの事が大好きらしい。
「あ、ウルエ……頑張ってね?」
突然、アンアの表情が笑顔から苦笑いに変わり
少し申し訳なさそうにそう言ってきた。
「え?何の――っ!?」
「ウールーエ!!!」
背後から帰ってきた何者か――いや、フェルに抱き着かれてしまった。
驚きもしたがお姉ちゃんの匂いや温かさを感じ落ち着く。
やはりお姉ちゃんが一番なのかもしれない。
「可愛いなぁ、もう!お姉ちゃん、ちょっと砂埃ついちゃったからさ、
もう一度お風呂にはいるんだけど、一緒に入ろうね?」
「え、さっき入った――」
「さぁ、行こうね~」
「ちょ、待って、えぇえええ!」
ウルエは興奮気味のフェルに強制的に風呂場に
引きずり込まれてしまった。
そんなウルエの事を手を振って見送るアンア、
(助けてよ!!)
まさかの初めての寮にして二度風呂……
風呂は嫌いじゃないけど興奮気味のお姉ちゃんと入るのは
少し身の危険を感じてしまう。
どうか、何事も起きませんように……
そんな願いを込めてウルエは再び風呂に足を踏み入れた。
「え、ああ、そうね、それが良いわね」
若干声が震えているのは、先ほどフェルの殺気を受けたからである。
だが、そんな事は知らないウルエは何かに怯えて居る様にも見えるが
それもきっと緊張しているのだろう程度に捉える。
(此処は俺から自己紹介すべきだよな)
「俺の名前はウルエ=ファルネルド!
世間知らずなので色々と迷惑を掛けると思いますが、
よろしくお願いします」
一応先輩にあたる存在なのだから
言葉遣いもそれっぽくしておく。
此方の自己紹介は終わったがお友達さんは
口を半開きにして少し驚いたという顔でボケーと此方を見て来ていた。
本当にこの世界の常識には疎いので
知らぬ間に失礼な事をしているかもしれない。
無言で見つめられてウルエは徐々に焦りだした。
(まさか、言葉遣いが駄目だったのかな……自己紹介すら、)
「……ぅ」
自己紹介すらまともに出来ない自分が情けなくなり、
徐々に涙がこみ上げてくる。
姿も精神も子供になってしまったのかもしれない。
涙が溢れだして止まらないが、必死に鳴き声を抑える。
「うぐ……うぅう」
「ちょ、ちょっと!ど、どうしたのよ?!
え、ええぇ、こういう時どうすれば良いのかしら?!!」
ウルエが泣いた事でやっと現実に帰ってきたお友達は
何故ウルエが泣いているのか分からず、解決策も分からずに
慌てだしあたふたとしていた。
「ごめ、うぅ、なさい……ぅぐ」
「えぇ?!どうすれば良いのかしら……うぅ、えいっ!」
混乱してまともな判断が出来なくなったのか
お友達さんはひしっとウルエに抱き着いて来た。
餓鬼の様に泣きわめいているウルエが言える事じゃないが、
この友達さんも世間知らずなのだ。
だが、体が子供の影響だからなのか、
抱き着かれていると物凄く心が落ち着く。
「ほら、良い子良い子、大丈夫ですわよ~」
片手を腰に手を回しもう片手でウルエの頭を撫でて
耳元でそう呟いて慰めてくれる。
お友達さんの母性が強いのは知らないが
まるで母親に抱き締められている様な気分になり
自然と涙が引いて行く。
「よし、よし、良い子良い子ですわよ~」
「うん、ぐすっ、ありがとう……」
「泣き止むまでよしよしして上げますわ
ところで、どうして謝ってきたのです?」
まだ若干泣きべそなウルエの頭を撫でてよしよしと
慰めてくれる友達さんに物凄く甘えたい気持ちなるが
必死に堪えて質問に答える。
「うっ、何か、失礼な事を、ひっく、しちゃったかもって……」
「え!何も失礼な事なんてありませんでしたわよ!
私は只、フェルとは全然性格が違うウルエに驚いてただけですわ」
どうやらウルエの勘違いだった様だ。
だが、それが分かった所で流した涙は簡単には止まらない。
まだ少し涙や鼻水が出て非常に情けない顔をしているが
取り敢えず失礼をしてないことが分かり一安心。
「もう大丈夫かしら?」
「うん、ありがとう!」
泣き顔を隠すために満面の笑みを浮かべ
誤魔化しきれないと分かっているが泣き顔を誤魔化す。
お友達さんが再び驚いた様な顔を浮かべたが、
直ぐに笑顔になって頭を撫でてくれた。
涙がやっと止まり、
距離を離して再び自己紹介を再開する。
「私の名前はアンア=ウレフア、フェルの唯一のお友達ですわ。
それとウルエ、貴方は敬語じゃなくて甘えた喋り方の方が似合いますわよ」
(確かに甘えたいと一瞬思ってしまった時はあったが、
甘えた喋り方をしていた訳ではないのだけれど……
でも、確かに俺には敬語なんて似合わないかも知れない。
此処は言葉に甘えて、いつも通りの喋りをしよう)
「うん、よろしくねアンアさん」
一応さん位は付けておく
流石にいきなり呼び捨ては印象も悪いだろから。
「アンアで良いですわよ、
それかフェルと同じようにお姉ちゃんと、
いえ、アンアお姉ちゃんと呼んで欲しいですわ」
真顔でそう言われ、ウルエは困惑した。
「え?それって俺が知らないだけで常識なの?」
お姉ちゃん以外の年上と自己紹介なんて
一度もしたことは無かったのでアンアが言っている事が
おかしいのか普通なのか判断出来かねない。
(それに表情を見る限り真剣に言ってるし……)
「え?ああ!そうだわ、その通りよ、常識なのよ」
(勢いで嘘を付いてしまいましたわ……
フェルの弟さんに嘘を教え込んだ事がバレたら
きっと私酷い目に合いますわね……
ですが、何でしょうかこの背徳感……癖になりそうですわね)
アンアは新たな扉を開こうとしているが、
そんな事もしらないウルエはアンアの事を
常識を教えてくれる良い人と認識してお礼を言う。
「やっぱり、そうなんだ。教えてくれてありがとう!
よろしくねアンアお姉ちゃん」
「はいですわ!」
飛びっきりの笑顔を向けられ思わず目を逸らしてしまうウルエ。
「あっ、そうだったわ!ウルエ、貴方、フェルに何か言いましたわね?
さっき物凄い形相で出て行ったのはウルエが原因ですわよね?」
「んー……」
風呂場での会話を思い出してみるが
それと言って思い当たる点が無い。
(唯一フェルの表情が暗くなったのは
俺がゴーレムの話を……ってそれか!?)
「えっとね、今日ダンジョンがおかしくて
ゴーレムに襲われたって話をした位しか心当たりないかな」
「なるほど、きっとそれの事ね。
でも、それだけであそこまで怒るなんて
よっぽどウルエの事が大切なんですわね!
私も少し分かる気がしますわ」
まさかそれだけでお姉ちゃんが怒るとは思わなかった。
これからは一言一句気を付けた方が良いと心に言い聞かせた。
それとゴーレムさん安らかに眠ってくださいとウルエは心の中で手を合わせた。
「フェルと違ってウルエは本当に可愛らしいわね、
あ、フェルは綺麗でいい子ですわよ?
ですけど、少し性格に違いがありすぎますわね」
「お姉ちゃんとは本当の家族じゃないからね、
俺は養子だからお姉ちゃんとは似てないのは当たり前だよ」
(本当はお姉ちゃんの性格は良いのだけれど……
多少ブラコンすぎて歪んじゃったんだよね)
「えぇ?!そうだったんですの?
見た目は物凄く似てますのに……驚きですわ」
「ははは、本当の家族じゃないけど、
お姉ちゃんの事は家族以上に大切な存在だよ」
さらりと言おうと思ってすらいなかったことが
口からポロリと零れ出て
何だかんだ言ってどうやらウルエはお姉ちゃんの事が大好きらしい。
「あ、ウルエ……頑張ってね?」
突然、アンアの表情が笑顔から苦笑いに変わり
少し申し訳なさそうにそう言ってきた。
「え?何の――っ!?」
「ウールーエ!!!」
背後から帰ってきた何者か――いや、フェルに抱き着かれてしまった。
驚きもしたがお姉ちゃんの匂いや温かさを感じ落ち着く。
やはりお姉ちゃんが一番なのかもしれない。
「可愛いなぁ、もう!お姉ちゃん、ちょっと砂埃ついちゃったからさ、
もう一度お風呂にはいるんだけど、一緒に入ろうね?」
「え、さっき入った――」
「さぁ、行こうね~」
「ちょ、待って、えぇえええ!」
ウルエは興奮気味のフェルに強制的に風呂場に
引きずり込まれてしまった。
そんなウルエの事を手を振って見送るアンア、
(助けてよ!!)
まさかの初めての寮にして二度風呂……
風呂は嫌いじゃないけど興奮気味のお姉ちゃんと入るのは
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