異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト

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七十九話 【す~】

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「ねぇ、お姉ちゃん」

「なぁに?」

「この蛇ペットにしても良いかな?」

 召喚した骨の蛇に愛着がわいてしまい、ペットとして飼いたい事をフェルに伝える。
 今もウルエの身体に軽く巻き付いて物凄く懐いているようだ。

「ウルエの好きにすれば良いんじゃない?私は反対しないわよ」

 フェルとしては別にどちらでも良いのだ。
 飼いたければ飼えば良いし、捨てたければ捨てれば良い。
 どちらにしろフェルは全力で協力するつもりだ。
 それに、今回反対しない理由は、この蛇がウルエに言寄る事が出来る人型ではないからだ。
 これなら放っておいてもウルエが取られるような事は起きない。
 だが、この骨がウルエに被害を及ぼそうならば粉々にされるのは言うまでもないだろう。

「うん!じゃあ飼う!!名前は後で決めるとして、
 一応ベアデにこの魔物の情報を聞かないとね!」

「っ!……そうね、そうしましょうか」

 ベアデの下に行こうとするウルエに、自然とベアデに対して殺気が生じるが必死で抑える。
 フェル自身でも知らない魔物の為、今回ばかりは仕方のない事だと自分に言い聞かせる。
 魔王城に戻ってくると周りの悪魔たちからの目が痛い。
 それも仕方のない事で、蛇の姿があまりにも異質過ぎるからだ。
 それを見かねたフェルが軽く舌打ちをしただけで、周りの悪魔たちは形相を変え急いで持ち場に戻った。
 
「べーアーデ!!」

 酒場に行くとウルエの予想通りにエデルと飲んでいるベアデの姿があった。
 また飲んでるよと呆れつつも声を掛ける。
 
「んあ、ソラ君だぁ~ソレトフェルサマ」

「よっ!」

 何時も通りかと思ったのだが、フェルの姿を捉えた瞬間物凄いカタコトになってしまった。
 その理由は、主にウルエの身体に巻き付いている魔物で、
 変なものを渡したなと叱られると思ったからだ。
 エデルはフェルがいても別に態度を変えたりはしていなかった。

「ベアデ、この蛇さん何かわかる?」

「え、エット……」

「私も知りたいわ、そんな魔物見た事ない」

「!」

 フェルも知りたいと言う事を聞き、これは叱られるわけではなさそうだと理解し
 気持ちが楽になったベアデは改めてウルエが連れていた魔物を観察する。
 暫く観察をして首を傾げ始めた。

「ウルエぇ、この魔物は私が上げた玉から出てきたのかいぃ?」

「うん、そうだよ。割ったらこの子が出てきたんだよ」

「んんんん~」

 思わずうなり声を上げてしまうベアデ。
 今ウルエに巻き付いている魔物は召喚玉を渡した本人でさえ知らない魔物なのだ。
 だが、それだと非常に不可思議だ。
 彼女がウルエに渡したのは過去に従えペットにした魔物を封じ込めた玉なのだ。
 それなのにも関わらず今回出てきたのはベアデが全く知らない魔物。

 暫く頭を悩まし出てきた結論がこれだ。

 魔物同士で争いあいその厳しい環境下で進化した魔物。
 玉の中では彼女がペットにした数千もの魔物が存在しており、
 その魔物同士が争いあった結果が今目の前にいる骸骨の蛇なのだろう。
 そう考えたベアデはウルエたちに正直に伝える。

「ちょっと分からないなぁ、これは予想だけどぉ、
 突然変異した魔物かなぁ、見た感じ危害を加えるような子ではないから安心して良いと思うよぉ」

「ええ!ベアデでも分からないんだ。凄いんだね、この子」

「そう、使えないわね。行きましょウルエ」

 きっぱりと言われてしまい若干落ち込むベアデだったが、
 次のウルエの言葉でそれは消し飛ぶ。

「え、うん。ベアデありがとね!また明日!!」

「ばいばいぃ~」

 そんな簡単な言葉だが、それだけでも嬉しいのだ。
 ウルエ達は地下へと向かうと、早速部屋に籠り蛇の名前を付けることにした。
 軽く二時間ほど悩んだ結果妥当だと判断した名前がこれだ。

「す~」

「どうしたのかしら?深呼吸ならお外に行きましょう?」

「違うよ!この蛇さんの名前だよ!!」

 蛇、スネークから頭を取ってスで可愛らしく~を付けたのだ。
 今のところこの蛇の性別は分かっていないため、
 どちらでも良いようにと、す~にした。
 す~くん、す~ちゃん。ほら、なかなか良い。

 だが、フェルはそれを呼吸音だと勘違いしてしまい、
 若干ウルエを傷つけてしまった。

「ごめんなさい!私、酷い事を!あああああああああ、どうしようどうしよう
 ウルエを傷つけてしまったわ……私私私……」

「お、お姉ちゃん!大丈夫だから、落ち着いて!!
 全然傷ついてないし、俺の言い方が悪かっただけだから!!」

 このままの勢いでは自殺でもしかねないのでウルエは慌てて止めに入る。
 
「本当?」

「うん、全然気にしてないよ!」

「良かった!!」

 相変わらずの姉だ。
 骨の蛇の名前はす~に決定し、それをす~に伝えると
 ウルエの周りをグルグルと周り嬉しがっている様だ。
 そして時間があっと言う間に過ぎ、寝る時間になったのだが、

「ん~」

 す~がウルエの身体に巻き付いたまま離れてくれないのだ。
 無理やり引き離すなんてかわいそうな事は出来ないウルエは
 自分から離れて行ってくれるのを只々待っていた。

「す~そろそろ寝るから離れてよ~」

 言葉にだして言ってみると、今までウルエに絡みついていた身体がすっと消えたのだ。
 す~だけにすっと。

「す~!?」
 
 驚いたウルエは身体中をぺたぺた触り、す~がどこに行ったのか探す。
 すると、今度は急にす~の身体がウルエに巻き付いた状態で現れた。

「透明になれるみたいね。これで邪魔にはならないわ」

「おお、凄い!」

 寝るときや人前に出るときは透明になってもらおうと決め、
 ウルエは今宵も気持ちよく眠りに着くのであった。
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