重なり合う旋律

ちく

文字の大きさ
5 / 6
本編

灼熱の道 アポロ討伐クエスト編

しおりを挟む
強さを求める太陽の化身。

彼がその力でこの国に与えた恩恵は大きい。全ての生命いのちを強く育て、時には優しい光で人々に安心感を与えてきた。

しかし、赤く輝く太陽は日に日にその色を濃くし、徐々に地上から安息の地を奪っていった。


酒場ギルドロビー

「あー!暑いー!暑すぎだよね」

パタパタと団扇うちわで顔に向けて風を送りながら、辛そうな表情のちく。

「これだけ酒場ギルドロビーに氷のバケツを置いても、すぐ溶けてしまうほどですからね」

オケアノスは氷が溶け、水だけになってしまったバケツを見つめていた。口を開けて、ベロを出し、酒場ギルドロビーの隅にある植木の影に隠れている子狼たちを指さして、汗だくのエアは嘆く。

「もう子狼たちこの子たちも限界だよ」

「最近の暑さはこの紫に変色した太陽が原因?確か、太陽神アポロの討伐クエストが貼り出されてたな」

ノアは槍の手入れをしながら、チラリとユキチの方を見る。ユキチはその言葉を待っていたかのように、目を輝かせ声をあげた。

「暑いぞ!って文句を言いにいこう(笑)」



灼熱の大地 入口

地鳴りとともに、地面は割れ、その割れ目からは炎が吹き出す。天まで届くかの様な炎の柱は、見えるだけで数百本、いやそれ以上か。入口からまるで炎の柱を避けるように一本の細い道が伸びている。その道は白く輝いているように見えるが、近くで見ると今までに散っていった冒険者の亡骸であることが分かる。赤に染まったこの大地に踏み入った者で、生還した人間はいたのだろうか。

ノア「アポロ討伐クエストなんていう高難易度のクエスト受けて、大丈夫なんでしょうか?」

ユキチ「~♪」
ちく「~♪」

オケアノス「この二人はいつもこの調子ですから!なんとかなりますよ」

オケアノスの言葉を聞いてもノアの困惑する表情は変わらなかった。冒険者の亡骸を投げあって遊ぶ二人を見ていると、まるで自分の亡骸を投げあっているかの錯覚に陥り、頭を抱えた。

「うごぉォぉーーふがァーー」

炎に包まれたたてがみを顔の周りに纏い、大木のような棍棒を軽々と操る鋼の肉体。怒号を上げてセイテンの群れが襲ってきた。警戒しながら進んでいたノアは、すぐさま先を歩くちくとユキチの前に立ち、戦闘態勢をとった。それを見て、ユキチは笑みを浮かべながら、ノアの横に立つ。二人の殺気
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

ある、義妹にすべてを奪われて魔獣の生贄になった令嬢のその後

オレンジ方解石
ファンタジー
 異母妹セリアに虐げられた挙げ句、婚約者のルイ王太子まで奪われて世を儚み、魔獣の生贄となったはずの侯爵令嬢レナエル。  ある夜、王宮にレナエルと魔獣が現れて…………。  

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...