28 / 68
執着
しおりを挟む
何故、何故、何故!
一心に足を動かしながらも、ナナの頭の中にはそれしかなかった。
凌は彼女のことを特別に愛している筈だった。
何故なら、彼は彼女のことを特別に抱いてくれたから。
ナナは苛々と爪を噛む。キレイに伸ばしていたそれは、もうギザギザだった。
最初に彼女に触れたのが誰だったのかは、忘れた。小さい頃から、母親の元にはたくさんの男達が出入りしていたから。母親は、まるでナナのことが見えないかのようだったけれども、彼女の『恋人』のうちの何人かは、母親がいない時にはナナのことを構ってくれた。
「可愛いね。好きだよ」
そう言いながら、母親にするように、ナナに接してくれた。
彼らは母親を『アイして』いたのだから、きっと、ナナのことも『アイして』いたのだろう。
一人一人の顔は覚えていない。だけど、ナナは、彼女を抱く時の彼らの言葉は覚えている。
(みんな、アタシのことを大好きだって言ってくれるもの)
彼女の身体をまさぐり、舌を這わせながら、皆口を揃えて同じセリフを吐き出した。
受け身から始まって、やがて時に彼女の方から誘いをかけるようになっていった。狂ったように求めてくれるのが、嬉しくて。
家を出て、街中で相手を見つけるようになるとセックスは無言の行為になったけれど、抱き方は皆同じだった。
性急に、時に彼女が痛みを覚えるほどに、欲しがってくれる。
たとえ言葉を伴わなくても、行為が同じなのだから、気持ちも同じ筈だ。
抱かれることが、ナナにとっては愛情のバロメーターだった。
(欲しいって思うのは、愛してるっていうことだもの)
そんなふうに、思っていた。
凌と出会ったのは、一年ほど前のこと。
遊び仲間に連れられて覗いた賭け試合で、彼が戦っていた。
顔もいいし、身体もいいし。
試合が終わって、ナナはいつものように誘いをかけた。
「ねえ、アタシとシない?」
彼の腕に胸を押し付けるようにして抱き付いて、すくい上げるように見つめて。
それだけで、いつも男たちはその気になった。中には、路地裏にナナを引っ張り込んで、その場で終わらせてしまう者もいる。それほど彼女のことを欲しがってくれるのだ。
けれど、激しく戦った後だというのに凌は淡々としていて、ナナが笑みを向けても他の男達のように涎を垂らさんばかりの様子にはならなかった。
「しない」
短く答えて腕を引き抜こうとした彼に、一瞬呆気に取られた。
「ちょっと、いいじゃん、シようよ!」
もう一度誘うと、今度は肩を竦めてあっさりと頷いた。
(何だ、やっぱりその気なんじゃない)
単に、格好付けただけなのかと思った。
けれど、並んで歩いていてもやっぱり全然彼女のことを欲しがっているようには見えなくて、少し拍子抜けでホテルに行って。
涙が出そうになった。
彼があまりに優しく彼女に触れたから。
そんなふうにナナを抱く者は、それまでいなかった。
いつも、快楽の中に痛みと苦しさを伴っていた。そういうものだと、思っていた。
終わった後に、思わず涙をこぼしたナナを彼は戸惑ったように見て、そして頭を撫でてくれた。まるで幼い子どもにするかのように。
大きな手の温もりを感じながら、この人は『特別』なんだ、と思った。
凌を見つけるのは大変で、なかなか逢えなかったけれど、逢えた時には必ず誘った。抱いてくれるのは十回に一回くらいでも、彼の手はいつも優しかった。
それなのに。
何故、もう抱かないなどというのだろう。
いいや、そんなのはウソだ。
(アタシには、リョウが必要なんだから。誰にも渡すもんか)
頭がそんなことを考えているうちに足は勝手に動いていて、気付ばナナは虎徹《こてつ》に教えられたコンビニの前に立っていた。
今の店内には、初老の男と金髪の若い男しかいない。
そういえば、虎徹が言っていた女のシフトがいつなのか、聞いていなかった。
ナナは店内に入り、中をぐるりと回ってペットボトルを一本選び、レジに向かう。やはり他に店員はいなくて、彼女はそれをカウンターに置いた。
「らっしゃいませぇ。百四十七円になります。袋入れますか?」
どことなく気怠そうな金髪の男が、ダラダラっと決まり文句のようにそう言う。目も上げない彼に、苛々とした口調でナナは問う。
「いらない。ねえ、ここって女の店員いないの?」
「はい?」
金髪男が怪訝そうに顔を上げた。初めて視線が合う。
「若い女って、ここでバイトしてないの?」
「や……いますよ、一人ですけど」
「いつ?」
「え?」
喰い付かんばかりの口調でのナナの問いに、金髪男が戸惑いを露わにする。更に問い詰めようとしたナナに、横合いからのんびりした声が割り込んだ。『店長』と名札にある初老の男だ。
「ああ、すいません、お客さん。あんまり個人的なことはお答えできないんですよね。何か彼女と問題でもありましたか?」
男はニコニコと愛想はいいが、譲りそうもない。
「別に……」
ムッツリと答え、ナナはペットボトルを掴んで出口に向かう。店は出たが、すごすごと諦めるつもりはなかった。
時計を見ると、もうじき二十時になろうとしている。
ナナは通りを渡って道の反対側に行くと、ガードレールに寄り掛かった。そこでペットボトルの蓋を捻って開ける。
今日が出勤の日なのかどうかすら知らない。けれど、その女が現れるまで、彼女はいくらでも待つつもりだった。
やがて一時間が過ぎ、二時間が経つ。
そうしている間にも、人の波は流れ続ける。こんなにもたくさんの人がいるのに、ナナに目を留める者はいない。まるで彼女が存在していないかのように通り過ぎていく。
まだ残暑の熱が残る時期で、寒いわけではない。
けれど、ナナの両手は無意識のうちに自分の身体を抱き締めていた。
誰でもいいから、抱いて欲しい。
身体中のどこよりも、胸が疼いた。
一度気付くと、その気持ちはどんどん膨れ上がっていく。焦燥と不安が込み上げてきて、喉から溢れそうだった。
ジッと待つことに耐えられなくなって、ナナが立ち上がったその時だった。
人混みの中、ずば抜けて大きな彼の姿は、すぐにナナの目に飛び込んでくる。
「リョウ……」
嬉しさのあまり思わず通りを横切って駆け寄ろうとして、立ちすくんだ。
いつも無表情な凌の顔。
それが柔らかく緩んで、その視線は、彼の傍らを歩く女だけに向けられている。
(あんな顔、知らない)
彼にとって、自分は特別なのだと思っていた。あんなふうに抱くのは、自分だけなのだと。
でも、あの顔は、何?
瞬きもできずにナナが見つめる中で、凌は手を上げ、女の頭を撫でる。
今の凌は彼女に背を向けていてどんな顔をしているのか判らなかったけれど、彼を見上げる女の表情から、それを察することは簡単なことだった。
(あの手は、アタシのモノなのに!)
ナナは唇をきつく噛み締める。鉄の味が口の中に広がっても、まるで気にならなかった。
二人はやがて別れ、女が店の裏手に消えていく。
両方の姿が完全に消えるまで、ナナは自分が息を止めていたことに気付かなかった。
ややして店のユニフォームを身に着けて女がカウンターに現れる。その姿を見据えながら、ナナは通りを横切った。
一心に足を動かしながらも、ナナの頭の中にはそれしかなかった。
凌は彼女のことを特別に愛している筈だった。
何故なら、彼は彼女のことを特別に抱いてくれたから。
ナナは苛々と爪を噛む。キレイに伸ばしていたそれは、もうギザギザだった。
最初に彼女に触れたのが誰だったのかは、忘れた。小さい頃から、母親の元にはたくさんの男達が出入りしていたから。母親は、まるでナナのことが見えないかのようだったけれども、彼女の『恋人』のうちの何人かは、母親がいない時にはナナのことを構ってくれた。
「可愛いね。好きだよ」
そう言いながら、母親にするように、ナナに接してくれた。
彼らは母親を『アイして』いたのだから、きっと、ナナのことも『アイして』いたのだろう。
一人一人の顔は覚えていない。だけど、ナナは、彼女を抱く時の彼らの言葉は覚えている。
(みんな、アタシのことを大好きだって言ってくれるもの)
彼女の身体をまさぐり、舌を這わせながら、皆口を揃えて同じセリフを吐き出した。
受け身から始まって、やがて時に彼女の方から誘いをかけるようになっていった。狂ったように求めてくれるのが、嬉しくて。
家を出て、街中で相手を見つけるようになるとセックスは無言の行為になったけれど、抱き方は皆同じだった。
性急に、時に彼女が痛みを覚えるほどに、欲しがってくれる。
たとえ言葉を伴わなくても、行為が同じなのだから、気持ちも同じ筈だ。
抱かれることが、ナナにとっては愛情のバロメーターだった。
(欲しいって思うのは、愛してるっていうことだもの)
そんなふうに、思っていた。
凌と出会ったのは、一年ほど前のこと。
遊び仲間に連れられて覗いた賭け試合で、彼が戦っていた。
顔もいいし、身体もいいし。
試合が終わって、ナナはいつものように誘いをかけた。
「ねえ、アタシとシない?」
彼の腕に胸を押し付けるようにして抱き付いて、すくい上げるように見つめて。
それだけで、いつも男たちはその気になった。中には、路地裏にナナを引っ張り込んで、その場で終わらせてしまう者もいる。それほど彼女のことを欲しがってくれるのだ。
けれど、激しく戦った後だというのに凌は淡々としていて、ナナが笑みを向けても他の男達のように涎を垂らさんばかりの様子にはならなかった。
「しない」
短く答えて腕を引き抜こうとした彼に、一瞬呆気に取られた。
「ちょっと、いいじゃん、シようよ!」
もう一度誘うと、今度は肩を竦めてあっさりと頷いた。
(何だ、やっぱりその気なんじゃない)
単に、格好付けただけなのかと思った。
けれど、並んで歩いていてもやっぱり全然彼女のことを欲しがっているようには見えなくて、少し拍子抜けでホテルに行って。
涙が出そうになった。
彼があまりに優しく彼女に触れたから。
そんなふうにナナを抱く者は、それまでいなかった。
いつも、快楽の中に痛みと苦しさを伴っていた。そういうものだと、思っていた。
終わった後に、思わず涙をこぼしたナナを彼は戸惑ったように見て、そして頭を撫でてくれた。まるで幼い子どもにするかのように。
大きな手の温もりを感じながら、この人は『特別』なんだ、と思った。
凌を見つけるのは大変で、なかなか逢えなかったけれど、逢えた時には必ず誘った。抱いてくれるのは十回に一回くらいでも、彼の手はいつも優しかった。
それなのに。
何故、もう抱かないなどというのだろう。
いいや、そんなのはウソだ。
(アタシには、リョウが必要なんだから。誰にも渡すもんか)
頭がそんなことを考えているうちに足は勝手に動いていて、気付ばナナは虎徹《こてつ》に教えられたコンビニの前に立っていた。
今の店内には、初老の男と金髪の若い男しかいない。
そういえば、虎徹が言っていた女のシフトがいつなのか、聞いていなかった。
ナナは店内に入り、中をぐるりと回ってペットボトルを一本選び、レジに向かう。やはり他に店員はいなくて、彼女はそれをカウンターに置いた。
「らっしゃいませぇ。百四十七円になります。袋入れますか?」
どことなく気怠そうな金髪の男が、ダラダラっと決まり文句のようにそう言う。目も上げない彼に、苛々とした口調でナナは問う。
「いらない。ねえ、ここって女の店員いないの?」
「はい?」
金髪男が怪訝そうに顔を上げた。初めて視線が合う。
「若い女って、ここでバイトしてないの?」
「や……いますよ、一人ですけど」
「いつ?」
「え?」
喰い付かんばかりの口調でのナナの問いに、金髪男が戸惑いを露わにする。更に問い詰めようとしたナナに、横合いからのんびりした声が割り込んだ。『店長』と名札にある初老の男だ。
「ああ、すいません、お客さん。あんまり個人的なことはお答えできないんですよね。何か彼女と問題でもありましたか?」
男はニコニコと愛想はいいが、譲りそうもない。
「別に……」
ムッツリと答え、ナナはペットボトルを掴んで出口に向かう。店は出たが、すごすごと諦めるつもりはなかった。
時計を見ると、もうじき二十時になろうとしている。
ナナは通りを渡って道の反対側に行くと、ガードレールに寄り掛かった。そこでペットボトルの蓋を捻って開ける。
今日が出勤の日なのかどうかすら知らない。けれど、その女が現れるまで、彼女はいくらでも待つつもりだった。
やがて一時間が過ぎ、二時間が経つ。
そうしている間にも、人の波は流れ続ける。こんなにもたくさんの人がいるのに、ナナに目を留める者はいない。まるで彼女が存在していないかのように通り過ぎていく。
まだ残暑の熱が残る時期で、寒いわけではない。
けれど、ナナの両手は無意識のうちに自分の身体を抱き締めていた。
誰でもいいから、抱いて欲しい。
身体中のどこよりも、胸が疼いた。
一度気付くと、その気持ちはどんどん膨れ上がっていく。焦燥と不安が込み上げてきて、喉から溢れそうだった。
ジッと待つことに耐えられなくなって、ナナが立ち上がったその時だった。
人混みの中、ずば抜けて大きな彼の姿は、すぐにナナの目に飛び込んでくる。
「リョウ……」
嬉しさのあまり思わず通りを横切って駆け寄ろうとして、立ちすくんだ。
いつも無表情な凌の顔。
それが柔らかく緩んで、その視線は、彼の傍らを歩く女だけに向けられている。
(あんな顔、知らない)
彼にとって、自分は特別なのだと思っていた。あんなふうに抱くのは、自分だけなのだと。
でも、あの顔は、何?
瞬きもできずにナナが見つめる中で、凌は手を上げ、女の頭を撫でる。
今の凌は彼女に背を向けていてどんな顔をしているのか判らなかったけれど、彼を見上げる女の表情から、それを察することは簡単なことだった。
(あの手は、アタシのモノなのに!)
ナナは唇をきつく噛み締める。鉄の味が口の中に広がっても、まるで気にならなかった。
二人はやがて別れ、女が店の裏手に消えていく。
両方の姿が完全に消えるまで、ナナは自分が息を止めていたことに気付かなかった。
ややして店のユニフォームを身に着けて女がカウンターに現れる。その姿を見据えながら、ナナは通りを横切った。
0
あなたにおすすめの小説
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~
馬村 はくあ
ライト文芸
「久しぶりだね、ちとせちゃん」
入社した会社の社長に
息子と結婚するように言われて
「ま、なぶくん……」
指示された家で出迎えてくれたのは
ずっとずっと好きだった初恋相手だった。
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
ちょっぴり照れ屋な新人保険師
鈴野 ちとせ -Chitose Suzuno-
×
俺様なイケメン副社長
遊佐 学 -Manabu Yusa-
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
「これからよろくね、ちとせ」
ずっと人生を諦めてたちとせにとって
これは好きな人と幸せになれる
大大大チャンス到来!
「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」
この先には幸せな未来しかないと思っていたのに。
「感謝してるよ、ちとせのおかげで俺の将来も安泰だ」
自分の立場しか考えてなくて
いつだってそこに愛はないんだと
覚悟して臨んだ結婚生活
「お前の頭にあいつがいるのが、ムカつく」
「あいつと仲良くするのはやめろ」
「違わねぇんだよ。俺のことだけ見てろよ」
好きじゃないって言うくせに
いつだって、強引で、惑わせてくる。
「かわいい、ちとせ」
溺れる日はすぐそこかもしれない
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
俺様なイケメン副社長と
そんな彼がずっとすきなウブな女の子
愛が本物になる日は……
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる