バスの車内

バスの車内

女1「おばあさん。こっちの席空いてますよ」

女2「いいの？　……って和子ちゃんじゃない。成人式以来だね。元気してた？」

女1「え！　もしかして幸子ちゃん！？　ごめんね。全然気づかなかった」

女2「それにしてもすごく綺麗。昔と全然変わらないね。ところで、どうして地元に帰って来たの？　何があってもあんなクソ田舎には帰らないって息巻いてたのに」

女1「実は……人魚の肉を食べちゃったみたいなの。最初はジョジョの荒木先生みたいに老けない体質なのかなぁと思ってたんだけど、80代でこの見た目はどう考えてもおかしいでしょ」

女2「そうね」

女1「その時に幸子ちゃんのことを思い出したの。幸子ちゃんちの神社って人魚のミイラ祀ってたでしょ。だから何か知らないかなぁと思って」

女2「知らない。それに、人魚のミイラはもううちの神社にはないよ」

女1「そっか。残念」

女2「和子ちゃんは綺麗だからずっとそのままの美しい姿でいればいいの」

女1「ん？　何か言った？」

女2「ううん。なんでもない」