とあるお隣のお姉さん(仮)と普通?の少年の話

天道 一真

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第3節 最終課題

交差する思い

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時刻は午後6時25分。俺は自転車で約1時間半かけて宇野宮さんが出発する駅に着いた。
 とにかく宇野宮さんが出発する時間までに合わなければならない。そう思った俺は自転車を止めてすぐに改札を目指して全力で走った。
 そしてーーー
 「宇野宮さん!!!!!!!!!!!!!」
 ーーーその人はいた。
 そして宇野宮さんは確かめるようにこちらに振り返った。
「睦月・・・くん?」
 「はい。睦月です。あなたのお隣さんです」
 「きて、くれたんだね」
 そう微笑みながら宇野宮さんは言った。
 「それで、宿題はできたの?」
 「できましたよ。じゃなきゃ来てません」
 「だよね。じゃあ……答えを聞かせて」
 宇野宮さんにそう言われた俺は、荒くなった呼吸を抑えながら決意を固めた。
 「僕は……宇野宮さんの言われたとうり、宇野宮さんに母さんを重ねていました」
 俺は母さんを重ねてから今までのことを思い出しながら続ける。
 「母さんが亡くなったのは僕が小三の時だって言いましたよね。あの頃はあまり母さんと喋ったり遊んだりしたことがありませんでした。家計が苦しくなってパートで働いていたので」
 原因は父さんが務めていた会社が倒産したからだ。そこから中途採用で別の会社に入った。今では会社の上司なんだから本当に凄いと思う。
 「周りに友達も全然いなかったので友達遊ぶこともなかったので……すごい寂しかったです。クラスで家族で出かけたってことも小耳にはさんだりして、嫉妬してましたね」
 過去に話した内容もかぶっているのにもかかわらず、宇野宮さんは俺の話を真剣に聞いてくれている。なんて優しいのだろうと思う。
 「いつか落ち着いたら遊びに行こうって言うつもりでいたのですが………突然母さんは亡くなってしまいました。それからは父さんが家のことをほとんどやってくれるようになりました。ですがこの頃は身内のショックが僕を含めて大きかったので、喋ったりしてもみんな笑顔が暗かったです」
 こうして俺と父さんの距離は少しずつ離れていった。それがピークになろうとした時に父さんの単身赴任が決まった。気持ちを整理するにはちょうど良かったのかもしれない。
 「それで今年になって父さんが家を出た時に―――宇野宮さんと出会いました。その日からは、本当に楽しかったです。ですが知れば知るほど宇野宮さんと母さんは似ていて…………それで知らぬ間にいままで溜まっていた何かが爆発して―――今に至るって感じです」
 こうして俺は宇野宮さんに俺の過去のすべてを話し終えた。そしてここから本題に入る。
 「いままで誰にも甘えられず、何もされてこなったからといって宇野宮さんを利用するようなことをしたこと。そして宇野宮さんときちんと向き合えなかったことを謝らせてください。」
 そうして俺はきちんと姿勢を作った。
 「本当に―――すみませんでした」
 そう言って俺は宇野宮さんとに頭を下げた。
 「顔上げて。睦月君」
 そう宇野宮さんに言われ、顔を上げた。
 「…………何も謝ることないのに」
 「いや……申し訳ないと思ったので。僕のために今までいろんなことしてくれたのに………」
 「気にしなくていいよ。ありがとう。私のわががまに答えてくれて」
 そう言った宇野宮さんは涙目になっていた。
 とりあえず終わったと思いホッとしていると、宇野宮さんはにやけながらこっちを見ていた。
 「ど、どうしたんですか?そんなににやけて」
 「いや~?ほっとするのは早いと思って。私のわががま、まだ終わってないから」
 「え!?それって―――」
 どういうこと、と言おうとしたその時。宇野宮さんは俺の首にネックレスをかけてきた。そして少し距離をおいてこう言った。
 「好きです。付き合ってください」
 ―――え?
 俺は今、何を言われた?
 そう思ってもらったネックレスを見ると”愛してる”と書かれていた。
 「いいんですか?………僕みたいな最低な男で」
 宇野宮さんは幸せそうな笑顔を浮かべた。
 「そんな最低な睦月君、だからだよ。本当は告白するつもりじゃなかったんだけど、このまま”お母さんに似ている人”で終わらせたくなかったしね」
 それを聞いた俺は涙がでそうになった。
 「それで―――私と付き合ってくれますか?」
 そんなの………答えはとうに決まっている。
 俺は今まで一番の笑顔でこう言った。
 「もちろん。当たり前じゃないですか!」
 

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