24 / 29
第三章 再挑戦
除霊その2
しおりを挟む
確かいつかの昼休みに近藤から聞いたことがある。
近藤は確か中学生の頃にも卓球部に入っていて、そこで活動しながら卓球教室にも通っていたらしい。
「最近気持ち悪い卓球してるやついてさ、本当にうざかった!なんなんだよマジで!」とかなんとか言ってた。
そして今、俺の目の前で例の”気持ち悪い卓球をしてるやつ”の正体が明かされたわけだ。
「なるほど。あの時の奴か」
ゴーストは納得した様子でうなずく。
「しかし、だから何だというんだ。相手の弱点を暴いて自分から名乗り上げるとか臭い真似しやがって。どのみちお前の勝ちはない。俺は今、お前のことならなんでも知っている。チキータ一を出してきたところでお前の戦型が大幅に変わることは無い。大人しくそのまま俺に喰われろ」
冷たい目を向け、ゴーストは近藤に指図した。もちろん近藤はこんなことを言われて引くやつではない。
「バカかお前は。俺はこの試合に勝って仲間に最後のバトンを繋ぐんだ。絶対に負けられないんだよ」
挑戦的な笑みを浮かべた近藤は決意を示し、ゴーストの命令を拒んだ。
「ふん。いいだろう。お前のその戦意をとことんまで削いでやるよ」
ゴーストは不敵な笑みを浮かべながらサーブの構をとる。
近藤は何も言わず、レシーブの体制をとった。
そしてゴーストはトスを上げ、右横下回転のサーブをフォア側に短く出す。
近藤は回り込んでチキータを打とうとする。が、チキータを打たずにバック側に深いツッツキを入れた。
チキータがやってくると思っていたのだろうゴーストは判断が遅れたせいか、後ろにのけぞりながらバックドライブをしようとする。ゴーストに振られたラケットが下回転の球を擦り上げるが、もともとの回転に負けてしまいボールはネットを超えることなく自陣コートで2バウンドしてしまった。
「ツーエイト!」
宮崎の声が段々と明るくなる。清水も、西村先輩も、木村も、強張っていた顔が徐々に緩んでいっているのが分かった。もちろん俺も一安心していた。これならいけるかも……!
近藤はチキータ以外にも今までに見たことのないプレーをし続け、時間が経つとともに近藤は点数を取り続けた。近藤は笑顔で球を打ち、ゴーストは焦ってさっきまでの正確な卓球が出来なくなっていた。
「ほら、どうした?さっきまでの威勢はなんだったんだ?俺を喰うんじゃなかったのか?」
「………チッ!」
そして近藤の優勢が続いたまま試合は進み、………遂に点数は8-8になった。点数が並んだ事実を確認したゴーストは顔を苦痛に歪め、対照的に近藤はいつものように自信に満ちた表情をするようになった。
俺たちはもちろん大歓喜。点数を取るたびに声を上げて近藤を応援していた。宮崎も最後まで審判を全うしようと真剣に仕事にあたっている。
「………クソどもが」
「試合中に人の悪口なんていうものじゃないぞ」
「ほざけ」
ゴーストは荒っぽくサーブを出す。それはYGサーブで俺には回転が分からない。
近藤はフォアに長めに来たそのサーブをいつもの試合みたいにフリックを対角線上に強打。ゴーストはそれをバックにフォアカウンターをした。
そのボールを近藤はブロック。ボールは相手のバック側に返った。ゴーストはバックに回り込み、フォアドライブで決めようとしたのが分かるほど全力で打っていた。
が、近藤はそれをあっさりとフォアでカウンター。相手のバック側に一直線に貫いた。
「……………」
ゴーストは打ち終わった体制からそのまま右に一回転するように後ろに落ちた球を確認した。後ろを向いている彼の顔は見えていないが呆然としていると俺はゴーストの後姿をみてそう思った。
「ナインエイト」
「――――――!」
宮崎が点数を宣言する。ゴーストはその直後に肩をビクッと震わせ、そのままボールを取りに行った。
そして台に戻っりサーブを打とうと準備する時のゴーストの顔は、試合が始まった時とは違う虚ろな表情になっていた。
近藤はそんなゴーストを見て黙って前傾姿勢になり、レシーブの形になる。
ゴーストはトスを上げ、サーブを放つ。が、そのボールは相手のコートにワンバウントした後、ネットを超えてツーバウンドすることなく左に曲がって落ちていった。
「テンエイト」
宮崎が点数をつける。ゴーストはこの試合で初めてサーブミスをしたが、その表情は揺らぐことは無かった。
「もしかして――――――」
「わざとだね」
俺が言う前に、西村先輩がそう結論付けた。木村と清水はそれを聞いてうなずく。どうやら考えは同じらしい。
意識を再び卓球台に戻す。そこではもうすでに近藤がサーブをしようとしていた。ゴーストもレシーブをしようとしてる……のだが、構えている腰は若干浮いており、「点数をあげる」と言っているような構えだった。
そして近藤はバックに速いナックルサーブを出した。このままいけば勝てる、と俺は思っていたのだが。
「…………ふん!」
ゴーストは突然腰を落とし、鋭いバックドライブをバックミドルに打ち放った。
そこには最初に感じた威圧感もあり、突然何かが憑依したかのようにゴーストは復活した。
(近藤……!)
さすがの近藤もこれは予測できていなかっただろう。そう思い、俺は近藤に視線を向けた。
「………は?」
俺が近藤を捉えた時にはすでにカウンターで球は相手のフォア側の端に返っていた。
「はぁ。さっきと同じパターン。ゴーストの名が聞いて呆れるな」
近藤はそう言い――――――第四試合は近藤が勝利し、ゴーストの目論見は完全に破綻したのだった。
近藤は確か中学生の頃にも卓球部に入っていて、そこで活動しながら卓球教室にも通っていたらしい。
「最近気持ち悪い卓球してるやついてさ、本当にうざかった!なんなんだよマジで!」とかなんとか言ってた。
そして今、俺の目の前で例の”気持ち悪い卓球をしてるやつ”の正体が明かされたわけだ。
「なるほど。あの時の奴か」
ゴーストは納得した様子でうなずく。
「しかし、だから何だというんだ。相手の弱点を暴いて自分から名乗り上げるとか臭い真似しやがって。どのみちお前の勝ちはない。俺は今、お前のことならなんでも知っている。チキータ一を出してきたところでお前の戦型が大幅に変わることは無い。大人しくそのまま俺に喰われろ」
冷たい目を向け、ゴーストは近藤に指図した。もちろん近藤はこんなことを言われて引くやつではない。
「バカかお前は。俺はこの試合に勝って仲間に最後のバトンを繋ぐんだ。絶対に負けられないんだよ」
挑戦的な笑みを浮かべた近藤は決意を示し、ゴーストの命令を拒んだ。
「ふん。いいだろう。お前のその戦意をとことんまで削いでやるよ」
ゴーストは不敵な笑みを浮かべながらサーブの構をとる。
近藤は何も言わず、レシーブの体制をとった。
そしてゴーストはトスを上げ、右横下回転のサーブをフォア側に短く出す。
近藤は回り込んでチキータを打とうとする。が、チキータを打たずにバック側に深いツッツキを入れた。
チキータがやってくると思っていたのだろうゴーストは判断が遅れたせいか、後ろにのけぞりながらバックドライブをしようとする。ゴーストに振られたラケットが下回転の球を擦り上げるが、もともとの回転に負けてしまいボールはネットを超えることなく自陣コートで2バウンドしてしまった。
「ツーエイト!」
宮崎の声が段々と明るくなる。清水も、西村先輩も、木村も、強張っていた顔が徐々に緩んでいっているのが分かった。もちろん俺も一安心していた。これならいけるかも……!
近藤はチキータ以外にも今までに見たことのないプレーをし続け、時間が経つとともに近藤は点数を取り続けた。近藤は笑顔で球を打ち、ゴーストは焦ってさっきまでの正確な卓球が出来なくなっていた。
「ほら、どうした?さっきまでの威勢はなんだったんだ?俺を喰うんじゃなかったのか?」
「………チッ!」
そして近藤の優勢が続いたまま試合は進み、………遂に点数は8-8になった。点数が並んだ事実を確認したゴーストは顔を苦痛に歪め、対照的に近藤はいつものように自信に満ちた表情をするようになった。
俺たちはもちろん大歓喜。点数を取るたびに声を上げて近藤を応援していた。宮崎も最後まで審判を全うしようと真剣に仕事にあたっている。
「………クソどもが」
「試合中に人の悪口なんていうものじゃないぞ」
「ほざけ」
ゴーストは荒っぽくサーブを出す。それはYGサーブで俺には回転が分からない。
近藤はフォアに長めに来たそのサーブをいつもの試合みたいにフリックを対角線上に強打。ゴーストはそれをバックにフォアカウンターをした。
そのボールを近藤はブロック。ボールは相手のバック側に返った。ゴーストはバックに回り込み、フォアドライブで決めようとしたのが分かるほど全力で打っていた。
が、近藤はそれをあっさりとフォアでカウンター。相手のバック側に一直線に貫いた。
「……………」
ゴーストは打ち終わった体制からそのまま右に一回転するように後ろに落ちた球を確認した。後ろを向いている彼の顔は見えていないが呆然としていると俺はゴーストの後姿をみてそう思った。
「ナインエイト」
「――――――!」
宮崎が点数を宣言する。ゴーストはその直後に肩をビクッと震わせ、そのままボールを取りに行った。
そして台に戻っりサーブを打とうと準備する時のゴーストの顔は、試合が始まった時とは違う虚ろな表情になっていた。
近藤はそんなゴーストを見て黙って前傾姿勢になり、レシーブの形になる。
ゴーストはトスを上げ、サーブを放つ。が、そのボールは相手のコートにワンバウントした後、ネットを超えてツーバウンドすることなく左に曲がって落ちていった。
「テンエイト」
宮崎が点数をつける。ゴーストはこの試合で初めてサーブミスをしたが、その表情は揺らぐことは無かった。
「もしかして――――――」
「わざとだね」
俺が言う前に、西村先輩がそう結論付けた。木村と清水はそれを聞いてうなずく。どうやら考えは同じらしい。
意識を再び卓球台に戻す。そこではもうすでに近藤がサーブをしようとしていた。ゴーストもレシーブをしようとしてる……のだが、構えている腰は若干浮いており、「点数をあげる」と言っているような構えだった。
そして近藤はバックに速いナックルサーブを出した。このままいけば勝てる、と俺は思っていたのだが。
「…………ふん!」
ゴーストは突然腰を落とし、鋭いバックドライブをバックミドルに打ち放った。
そこには最初に感じた威圧感もあり、突然何かが憑依したかのようにゴーストは復活した。
(近藤……!)
さすがの近藤もこれは予測できていなかっただろう。そう思い、俺は近藤に視線を向けた。
「………は?」
俺が近藤を捉えた時にはすでにカウンターで球は相手のフォア側の端に返っていた。
「はぁ。さっきと同じパターン。ゴーストの名が聞いて呆れるな」
近藤はそう言い――――――第四試合は近藤が勝利し、ゴーストの目論見は完全に破綻したのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
現実とサキュバスのあいだで ――夢で告白した相手が、同居を始めた話
そう
青春
ある日家に突然現れた謎のサキュバスのホルさん!
好感度はMAXなようで流されるがまま主人公はホルさんと日常を過ごします。
ほのぼのラブコメというか日常系小説
オチなどはなく、ただひたすらにまったりします
挿絵や文章にもAIを使用しております。
苦手な方はご注意ください。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる