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6話 月下の癒し
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「もっと強くなりなさい、そしてその力で――」
見慣れた天井だ。ここは俺の部屋か? 確かナーゼル教の奴らと、戦って……
「あ! 目覚めた!」
「ナツ!よかった……」
ルーイとノアの声がする。二人がここまで運んできてくれたのだろうか。
「小僧起きたか」
あとガルフ。それにしてもなんだろうこの違和感。別におかしいことは何もない。そう何もおかしくないのだ。
「腕が付いてる……」
あの戦いで切断されたはずの左腕が再生している。鎖により切断されたせいで、かなりグロテスクなことになっていた気がするのだが。
「驚いた顔してるわね、坊や」
金色の髪を頭の上にまとめて留めて、青色の目した女性、一言で言うなればそうシスター。
アニメやマンガ、海外の映画なんかで見たことがある聖女。そんなシスターと言ったらこんな感じ! という女性が俺を見て微笑んでいる。
「本当にルーナ様がいなかったらどうなってたか」
どうやら俺の怪我を治してくれたのはこのルーナ様という方らしい。でも治せるとかそんなレベルだったけ?
おそらくその疑問が顔に出ていたのか、ルーナ様が丁寧に教えてくれた。
「私の恩恵はね、月の光の下ならどんな怪我でも治せるというものなの。それでね、ルーイちゃんが泣きそうな顔しながら、知り合いが瀕死だから急いで来てくださいって。あんな顔されたら断るわけにもいかないじゃない? 坊やどうやら王都には入れないようだしね」
「余計なことは言わないでください!」
是非ともあのルーイの泣きそうな顔というのを拝んでみたいものだが、触れたら殺すという顔でこちらを睨んでいるので、スルーすることにしよう。
「小僧にしては今回は頑張ったんじゃないか。ルーナも悪いな、こんな夜に王位第三位様は色々忙しいだろうに」
「あら、嫌味かしら?」
「王位第三位!?てかガルフ知り合いなの!?」
どうやらこの聖女様はとてつもなく偉い人らしい。しかしそんな人とガルフが知り合い?どういうこと?
「まぁ腐れ縁だな」
「おい、何でもそれで済まそうとしてるだろ」
異様なまでの強さなど普通の人じゃないとは思っていたが、どうやらガルフとかいう男、いよいよ只者じゃないらしい。
「とりあえず元気になってよかったわ、それじゃあ私は帰って寝るわね。夜更かしは美容の天敵なんだから」
「それじゃあ俺も色々後片付けやらがあるから行くぞ」
そういうとルーナ様とガルフは部屋を出て行った。そういえばあいつ、一度も俺の怪我について心配しなかったな。
気付けば夜もだいぶ深くなっていた。しかし、ルーイとノアはまだ心配なのか、部屋を出て行かない。やれやれ、モテる男は辛いな。
「その……今回はありがとう。あなたのおかげで助かったわ」
「お、どうした頭打ったのか?」
あのルーイが謝罪なんて、やはりナーゼル教の奴らに?
「茶化さないでもう! 私だって感謝ぐらいします! 全くもう」
「ナツとルーイ、なかよし」
翌日、俺は特に後遺症もなく生活をできていた。あの時が夜で月明かりがあったのが不幸中の幸いか。それにあの戦闘での成果も確かにあった。
まず一つ目が、恩恵の進化だ。あれから恩恵を使った訳ではないがこれには確信の近いものがある。何ができるようになったかは確かめないとわからないが、あれだけの血を扱ったのだ、それなりに成長してくれてないと困る。
そしてもう一つ、俺の怪我への耐性だ。腕が吹っ飛んだ時に、多少の痛みはあったが、痛くてのたうち回るみたいなことはなかった。今まで気づくことがなかったってことは、大きい怪我などは痛みを感じにくいものとかなのか?
これが恩恵による物なのか、元からの体質かは分からないが、できればあんな怪我はもうしたくないものだ。
「いやー儲けた儲けた!」
「ナツ、ケガ大丈夫?いたいとこない?」
どうやら元の賞金首にプラスで、第五位信徒だかを捕まえたからかそれなりの金額が払われたらしく今はドーゴンさんの酒場でガルフとノアと打ち上げをしている。
「呑気だなぁ、こっちは腕がなくなったっていうのに」
「治ったんだからいいだろうが。それより騎士団の団長様があんたにこれをって」
何やら手紙のような物を渡されだが……これは……
「招待状?」
――拝啓 カンザキナツ殿
貴殿のこの度の事件解決の活躍を称し、第60回ロイセ
ル王国剣技大会に招待する。
騎士団団長 バルクルド ルイーザ
「何だ剣技大会って?」
「剣技大会ってのは、この国の剣に自信がある奴らが、募って、戦い合うっていう大会だよ。どうやら、今回のお前の話を聞いてだな、団長様が是非ってな。ちなみに勝てば賞金が出るぞ、だから出ろ」
「って言ったってどうせ王都でやるんだろこういうの。俺
入れねーし」
「そこは団長様とルーナが説得したみたいでな、よかったな」
「ナツ強くなった。大丈夫」
正直あまり気が乗らないが、賞金が出るらしいし、何より今回のナーゼル教。俺の恩恵といいナーゼルとは縁があるらしい。これから先もああいう奴らが出てきてもおかしくない。そのために強くなっておく必要がある。
「成長しなきゃだな……」
それにはいい機会だ。実践経験を積み、ついでに賞金ゲットといこう。
見慣れた天井だ。ここは俺の部屋か? 確かナーゼル教の奴らと、戦って……
「あ! 目覚めた!」
「ナツ!よかった……」
ルーイとノアの声がする。二人がここまで運んできてくれたのだろうか。
「小僧起きたか」
あとガルフ。それにしてもなんだろうこの違和感。別におかしいことは何もない。そう何もおかしくないのだ。
「腕が付いてる……」
あの戦いで切断されたはずの左腕が再生している。鎖により切断されたせいで、かなりグロテスクなことになっていた気がするのだが。
「驚いた顔してるわね、坊や」
金色の髪を頭の上にまとめて留めて、青色の目した女性、一言で言うなればそうシスター。
アニメやマンガ、海外の映画なんかで見たことがある聖女。そんなシスターと言ったらこんな感じ! という女性が俺を見て微笑んでいる。
「本当にルーナ様がいなかったらどうなってたか」
どうやら俺の怪我を治してくれたのはこのルーナ様という方らしい。でも治せるとかそんなレベルだったけ?
おそらくその疑問が顔に出ていたのか、ルーナ様が丁寧に教えてくれた。
「私の恩恵はね、月の光の下ならどんな怪我でも治せるというものなの。それでね、ルーイちゃんが泣きそうな顔しながら、知り合いが瀕死だから急いで来てくださいって。あんな顔されたら断るわけにもいかないじゃない? 坊やどうやら王都には入れないようだしね」
「余計なことは言わないでください!」
是非ともあのルーイの泣きそうな顔というのを拝んでみたいものだが、触れたら殺すという顔でこちらを睨んでいるので、スルーすることにしよう。
「小僧にしては今回は頑張ったんじゃないか。ルーナも悪いな、こんな夜に王位第三位様は色々忙しいだろうに」
「あら、嫌味かしら?」
「王位第三位!?てかガルフ知り合いなの!?」
どうやらこの聖女様はとてつもなく偉い人らしい。しかしそんな人とガルフが知り合い?どういうこと?
「まぁ腐れ縁だな」
「おい、何でもそれで済まそうとしてるだろ」
異様なまでの強さなど普通の人じゃないとは思っていたが、どうやらガルフとかいう男、いよいよ只者じゃないらしい。
「とりあえず元気になってよかったわ、それじゃあ私は帰って寝るわね。夜更かしは美容の天敵なんだから」
「それじゃあ俺も色々後片付けやらがあるから行くぞ」
そういうとルーナ様とガルフは部屋を出て行った。そういえばあいつ、一度も俺の怪我について心配しなかったな。
気付けば夜もだいぶ深くなっていた。しかし、ルーイとノアはまだ心配なのか、部屋を出て行かない。やれやれ、モテる男は辛いな。
「その……今回はありがとう。あなたのおかげで助かったわ」
「お、どうした頭打ったのか?」
あのルーイが謝罪なんて、やはりナーゼル教の奴らに?
「茶化さないでもう! 私だって感謝ぐらいします! 全くもう」
「ナツとルーイ、なかよし」
翌日、俺は特に後遺症もなく生活をできていた。あの時が夜で月明かりがあったのが不幸中の幸いか。それにあの戦闘での成果も確かにあった。
まず一つ目が、恩恵の進化だ。あれから恩恵を使った訳ではないがこれには確信の近いものがある。何ができるようになったかは確かめないとわからないが、あれだけの血を扱ったのだ、それなりに成長してくれてないと困る。
そしてもう一つ、俺の怪我への耐性だ。腕が吹っ飛んだ時に、多少の痛みはあったが、痛くてのたうち回るみたいなことはなかった。今まで気づくことがなかったってことは、大きい怪我などは痛みを感じにくいものとかなのか?
これが恩恵による物なのか、元からの体質かは分からないが、できればあんな怪我はもうしたくないものだ。
「いやー儲けた儲けた!」
「ナツ、ケガ大丈夫?いたいとこない?」
どうやら元の賞金首にプラスで、第五位信徒だかを捕まえたからかそれなりの金額が払われたらしく今はドーゴンさんの酒場でガルフとノアと打ち上げをしている。
「呑気だなぁ、こっちは腕がなくなったっていうのに」
「治ったんだからいいだろうが。それより騎士団の団長様があんたにこれをって」
何やら手紙のような物を渡されだが……これは……
「招待状?」
――拝啓 カンザキナツ殿
貴殿のこの度の事件解決の活躍を称し、第60回ロイセ
ル王国剣技大会に招待する。
騎士団団長 バルクルド ルイーザ
「何だ剣技大会って?」
「剣技大会ってのは、この国の剣に自信がある奴らが、募って、戦い合うっていう大会だよ。どうやら、今回のお前の話を聞いてだな、団長様が是非ってな。ちなみに勝てば賞金が出るぞ、だから出ろ」
「って言ったってどうせ王都でやるんだろこういうの。俺
入れねーし」
「そこは団長様とルーナが説得したみたいでな、よかったな」
「ナツ強くなった。大丈夫」
正直あまり気が乗らないが、賞金が出るらしいし、何より今回のナーゼル教。俺の恩恵といいナーゼルとは縁があるらしい。これから先もああいう奴らが出てきてもおかしくない。そのために強くなっておく必要がある。
「成長しなきゃだな……」
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