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10話 炎の騎士
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大会ももう終盤。あとは決勝を残すだけとなった。そしてその相手はルーイとなった。ルーイとは一度共にナーゼル教を相手に戦ったことがあるが実力は確かなものだ。
ちなみにガルフからの情報だと、今回の大会では観客は賭け事をして楽しんでいるようだが、その予想はちょうど五分五分だったと言う。
「もし怪我させても怒らないでね」
「あんたこそ切れて後日殺しにくるとかなしだからね?」
そんな冗談を言い合いながら俺らはステージに上がる。
「にいちゃん、やっちまえー!」
「女騎士負けんなよ!」
決勝戦、流石の盛り上がりだ。おそらく、誰も予想していなかった組み合わせになったことも、観客からすれば面白いのだろう。
「それではロイセル王国剣技大会決勝戦、遊び人ナツ対騎士見習いルーイの試合を始めます。両者構えて……始め!」
俺は開始の合図と共に地面を蹴る。今まで相手の出方を見てきた俺だが、だからこそ今回は自分から仕掛ける。しかしルーイも初めから詰めてきたので、お互いに加速途中でぶつかる。両者譲らない刀と剣の押し合いになるが、ここでルーイの剣から炎が巻き起こる。その暑さに思わず、後ろに下がる。
「その炎は他になんかできんの?」
「こんなことも出来るわよ!」
そういうとルーイは剣を横に振る。すると剣身から伸びた炎の刃が俺に迫る。なるほど、俺の血みたいなことができるのか、ってことは……
俺はそれを刀で受け止める。やっぱり、剣を通すことで炎に斬撃の属性を付与してるのだ。
「ならこっちだって」
俺は手のひらに小さな切り傷を作りそこから血液を出すイメージをする。そうしてその血を刀に纏わせルーイに飛ばす。
「そんなの私の炎の前では無意味よ!」
俺が作り出した血の斬撃はルーイに当たる前に炎に燃やされてしまった。
「血液って水分量多かった気するんですけど……」
「そんなやわなもの私の炎の敵じゃないわ」
なかなかに厄介な炎だ。どうしたものか……
「こっちからも行くわよ!」
そう言うとルーイは間合いを詰め、剣を振るってくる。なかなかに一撃が重いのと受け止めると炎が迫ってくるので受け流すしかない。と、
「うぐっ!」
ルーイの拳が俺の脇腹にフルヒットした。さらに、
「あっつ!」
ルーイはその手についている防具に炎を纏わせ俺の腹を襲わせる。
おいおい、火傷は跡残るぞバカ……審判がこちらを気にしている。今のを決定的な一撃か迷っているらしい。
「もういっちょ!」
試合を決めに来たルーイがトドメをキメに来る。
あと少し、あと少し……来た!
「喰らえ馬鹿力女!」
そういうと俺はずっと作り続けていたものを投げる。それは、血で作ったクナイだ。俺は俺は手のひらで素早く血を圧縮し、血を空気に多く触れさせ、血のクナイ作り出した。
「こんなもの……!」
そう言ってルーイは左手を出しそれを燃やそうとする。が俺が作り出したそれは硬い石ぐらいの強度はある。そう簡単には燃やしきれない。燃え切らなかったクナイがルーイの顔に迫る。しかしそれを寸前で交わすが、その隙を俺は逃さない。血で鎖をイメージし、ルーイの足に巻きつけ、引っ張る。ここで時間をかければ、炎で血は一瞬で燃やされる。足元を崩されたルーイに俺は一気に詰める。
「私の負けね」
首元におれの刀身が触れているのに気づくとルーイは笑いながらそう言った。
「いい試合だったよ」
そう言い、俺はルーイに手を差し出す。それを掴み返すが力が強い。
「誰が馬鹿力よ……」
あぁ、こいつもそう言われると傷つくんだ。
「ごめんて」
「優勝おめでとうカンザキ ナツ」
「ありがとうございます団長さん」
試合の後、簡単な表彰式が行われた。なんか装飾がすごい剣と金貨がたくさん入った袋をもらう。これでしばらくは金に困らなくてすみそうだ。
「どうですナツさん。騎士団に入るというのは?」
「ありがたいお言葉ですけど、遠慮させてもらいます。俺がいると色々大変だろうし、今の生活もそれなりに来なっているので」
最初はあまり気の乗らなかった遊び人生活も今ではすっかり慣れてしまった。
それじゃあ、屋台が閉まる前にトリカラを食べに行こう。
「カンザキナツ……ね。君もあの世界から……。しかしその力……君には勿体無いものだ。あれはナーゼル様の力。君が穢していいものではないよ」
ちなみにガルフからの情報だと、今回の大会では観客は賭け事をして楽しんでいるようだが、その予想はちょうど五分五分だったと言う。
「もし怪我させても怒らないでね」
「あんたこそ切れて後日殺しにくるとかなしだからね?」
そんな冗談を言い合いながら俺らはステージに上がる。
「にいちゃん、やっちまえー!」
「女騎士負けんなよ!」
決勝戦、流石の盛り上がりだ。おそらく、誰も予想していなかった組み合わせになったことも、観客からすれば面白いのだろう。
「それではロイセル王国剣技大会決勝戦、遊び人ナツ対騎士見習いルーイの試合を始めます。両者構えて……始め!」
俺は開始の合図と共に地面を蹴る。今まで相手の出方を見てきた俺だが、だからこそ今回は自分から仕掛ける。しかしルーイも初めから詰めてきたので、お互いに加速途中でぶつかる。両者譲らない刀と剣の押し合いになるが、ここでルーイの剣から炎が巻き起こる。その暑さに思わず、後ろに下がる。
「その炎は他になんかできんの?」
「こんなことも出来るわよ!」
そういうとルーイは剣を横に振る。すると剣身から伸びた炎の刃が俺に迫る。なるほど、俺の血みたいなことができるのか、ってことは……
俺はそれを刀で受け止める。やっぱり、剣を通すことで炎に斬撃の属性を付与してるのだ。
「ならこっちだって」
俺は手のひらに小さな切り傷を作りそこから血液を出すイメージをする。そうしてその血を刀に纏わせルーイに飛ばす。
「そんなの私の炎の前では無意味よ!」
俺が作り出した血の斬撃はルーイに当たる前に炎に燃やされてしまった。
「血液って水分量多かった気するんですけど……」
「そんなやわなもの私の炎の敵じゃないわ」
なかなかに厄介な炎だ。どうしたものか……
「こっちからも行くわよ!」
そう言うとルーイは間合いを詰め、剣を振るってくる。なかなかに一撃が重いのと受け止めると炎が迫ってくるので受け流すしかない。と、
「うぐっ!」
ルーイの拳が俺の脇腹にフルヒットした。さらに、
「あっつ!」
ルーイはその手についている防具に炎を纏わせ俺の腹を襲わせる。
おいおい、火傷は跡残るぞバカ……審判がこちらを気にしている。今のを決定的な一撃か迷っているらしい。
「もういっちょ!」
試合を決めに来たルーイがトドメをキメに来る。
あと少し、あと少し……来た!
「喰らえ馬鹿力女!」
そういうと俺はずっと作り続けていたものを投げる。それは、血で作ったクナイだ。俺は俺は手のひらで素早く血を圧縮し、血を空気に多く触れさせ、血のクナイ作り出した。
「こんなもの……!」
そう言ってルーイは左手を出しそれを燃やそうとする。が俺が作り出したそれは硬い石ぐらいの強度はある。そう簡単には燃やしきれない。燃え切らなかったクナイがルーイの顔に迫る。しかしそれを寸前で交わすが、その隙を俺は逃さない。血で鎖をイメージし、ルーイの足に巻きつけ、引っ張る。ここで時間をかければ、炎で血は一瞬で燃やされる。足元を崩されたルーイに俺は一気に詰める。
「私の負けね」
首元におれの刀身が触れているのに気づくとルーイは笑いながらそう言った。
「いい試合だったよ」
そう言い、俺はルーイに手を差し出す。それを掴み返すが力が強い。
「誰が馬鹿力よ……」
あぁ、こいつもそう言われると傷つくんだ。
「ごめんて」
「優勝おめでとうカンザキ ナツ」
「ありがとうございます団長さん」
試合の後、簡単な表彰式が行われた。なんか装飾がすごい剣と金貨がたくさん入った袋をもらう。これでしばらくは金に困らなくてすみそうだ。
「どうですナツさん。騎士団に入るというのは?」
「ありがたいお言葉ですけど、遠慮させてもらいます。俺がいると色々大変だろうし、今の生活もそれなりに来なっているので」
最初はあまり気の乗らなかった遊び人生活も今ではすっかり慣れてしまった。
それじゃあ、屋台が閉まる前にトリカラを食べに行こう。
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