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番外編 とある試練
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大会終わり、俺はルーイとノアとガルフと共に祝賀会に来ていた。ガルフが遊び歩いている時に美味しい店を見つけたらしくそこに来ていた。
「全く監視役も面倒な役割ね」
相変わらず素直じゃないルーイだが、まぁ彼女も準優勝なので労われるべきだろう。
王都は貴族や王家の人々が多く住んでいるため、中々一般人が入りにくい雰囲気の店が多いが、ガルフが連れてきた店はドーゴンさんの店と似た雰囲気の店だった。
席に着くとすぐにガルフが注文し始めたが、あいつ金のこと考えているのだろうか。優勝賞金は1ロイも出す気ないからな。
「そういえば、この前聞いた話なんだけどな、騎士団には出るらしいぞ幽霊が」
それからしばらくして、完全に酔ったガルフが急に怪談話を始めた。
「ある男がな、夜遅くに騎士団の近くを通った時にな、聞いたらしいんだ。誰かが呻く声を」
しかも全然怖くない。そんなの空耳か酔った誰かの声だろう。どうせ話すならもっと面白い怪談話をしてほしいものだ。
「このお肉美味しいわね」
ルーイに至っては聞いてない。もうガルフの立場はルーイの中ではダメ男ぐらいにはなっているだろう。
「にしてもよく食べるなお前」
「何? 別にいいでしょ。女がご飯をいっぱい食べちゃダメなの?」
「いやいやそういう意味じゃないから。むしろよく食べる人は素敵だと思うぞ。もっと素直にだな……ん?」
何故だかルーイは驚いた顔をして顔を赤くしている。
「お前なんで顔赤いの? 酒飲んだ?」
「別に……! なんでもないから……!」
急にきれ気味になったルーイはそういうとそっぽを向いてしまった。やっぱり、決勝勝ったことを憎んでいるのだろうか。
「別に……そういうのじゃないから……!絶対ない……!」
ルーイの小声が聞こえてくるのだが、そんなに怒らせてしまったのか俺?
それからしばらくして、祝賀会はお開きとなった。どうやらガルフはまだ酒を飲むらしく夜の街に消えていった。
「じゃあ俺らも戻るか」
「そうね、流石の私も今日は疲れたわ」
騎士団に戻ろうと思ったのだが、ノアが俯いている。そういえばいつもそんな喋るわけではないが、さっきは一段と静かだった。
「ノア? 大丈夫か? 腹痛いのか?」
「別に、大丈夫。速く帰ろう」
そっけなくそういうとノアはそそくさと歩き出してしまった。
「何、あんた嫌われてるの?」
いや、それなりの友好関係は築けていたはずなんだが、何か嫌われることをしてしまったのだろうか?
それからは何もなく騎士団についた俺たちは、それぞれの部屋に戻った。俺も風呂に入って早々にベッドに入る。
「今日は戦う相手が相手で疲れたな」
ベッドに入ってすぐに睡魔が襲いかかってくる。俺はそれに抗わずに……
と誰が部屋のドアを叩いている気がする。しかし一度ベッドに入ってしまったら出ることは難しい、どうしたものか……
―ドンドンドンドンドンドンドンドン!
考えていたら寝ちゃった大作戦をしようとしたが流石になんか大変そうなので俺はベッドから出ることにする。
「ノア?」
ドアを開けるとそこにはノアがいた。青いワンピースのパジャマを着て枕を抱えてこちらを見つめる姿は中々に…中々だ。
「こんな時間にどうした?」
「その、あの、い、一緒に寝て欲しい……」
ん? ん? なんて言った?
「え? 寝るっていうのは……?」
「そのままの意味。ガルフのせいで怖くて寝れない……」
ああなるほど、びっくりさせないでほしい。同い年ぐらいだろう女性から、そんなことを言われると流石にびっくりしてしまう。いや、添い寝も中々にまずくないか?
そんなことを考えていたらノアは強引に部屋に入ってきて、そそくさとベッドに入り目をつぶってしまった。震えているのを見ると本当に怖いのだろう。しかしあんな怪談話でこんなになるなんてよほど怖がりらしい。
「まぁ……流石にノアが可哀想か……」
ここまで怖がっているのを放っておくのも可哀想だし、ここは俺の男の本能を全力で消すことにした。それにそもそも年こそ近いようだが、普段からノアのことは妹みたいだと思っているのでもしもなんてことは起こさないだろう俺が。
「隣失礼するぞ」
そう言い俺はノアの隣に横たわる。そしてすぐさま反対を向く。よしこれで睡魔を待とう。
「ガルフ嫌い。怖い話嫌いなの知ってるはずなのに」
なるほどなんで急に怪談話をとは思ったがそういうことだったのか。
「やっぱりナツいい匂い。安心する」
そういうとノアは俺に抱きついてきた。俺のうなじあたりに顔を埋めてくる。それにノアの決して小さくないものが当たっている。
「ノア流石に……」
近いと言おうと思ったが、ノアはまだ震えている。これほどまでに、怖がっているノアを振り払うことなどできない。俺は、事の発端である男を呪いながら、心を無にする。
「ありがとうナツ。おかげでねれそう……」
しばらくしてノアの寝息が聞こえてくるようになった。
それが俺のうなじにあたり続けるせいで俺は全く寝れなかった。
「全く監視役も面倒な役割ね」
相変わらず素直じゃないルーイだが、まぁ彼女も準優勝なので労われるべきだろう。
王都は貴族や王家の人々が多く住んでいるため、中々一般人が入りにくい雰囲気の店が多いが、ガルフが連れてきた店はドーゴンさんの店と似た雰囲気の店だった。
席に着くとすぐにガルフが注文し始めたが、あいつ金のこと考えているのだろうか。優勝賞金は1ロイも出す気ないからな。
「そういえば、この前聞いた話なんだけどな、騎士団には出るらしいぞ幽霊が」
それからしばらくして、完全に酔ったガルフが急に怪談話を始めた。
「ある男がな、夜遅くに騎士団の近くを通った時にな、聞いたらしいんだ。誰かが呻く声を」
しかも全然怖くない。そんなの空耳か酔った誰かの声だろう。どうせ話すならもっと面白い怪談話をしてほしいものだ。
「このお肉美味しいわね」
ルーイに至っては聞いてない。もうガルフの立場はルーイの中ではダメ男ぐらいにはなっているだろう。
「にしてもよく食べるなお前」
「何? 別にいいでしょ。女がご飯をいっぱい食べちゃダメなの?」
「いやいやそういう意味じゃないから。むしろよく食べる人は素敵だと思うぞ。もっと素直にだな……ん?」
何故だかルーイは驚いた顔をして顔を赤くしている。
「お前なんで顔赤いの? 酒飲んだ?」
「別に……! なんでもないから……!」
急にきれ気味になったルーイはそういうとそっぽを向いてしまった。やっぱり、決勝勝ったことを憎んでいるのだろうか。
「別に……そういうのじゃないから……!絶対ない……!」
ルーイの小声が聞こえてくるのだが、そんなに怒らせてしまったのか俺?
それからしばらくして、祝賀会はお開きとなった。どうやらガルフはまだ酒を飲むらしく夜の街に消えていった。
「じゃあ俺らも戻るか」
「そうね、流石の私も今日は疲れたわ」
騎士団に戻ろうと思ったのだが、ノアが俯いている。そういえばいつもそんな喋るわけではないが、さっきは一段と静かだった。
「ノア? 大丈夫か? 腹痛いのか?」
「別に、大丈夫。速く帰ろう」
そっけなくそういうとノアはそそくさと歩き出してしまった。
「何、あんた嫌われてるの?」
いや、それなりの友好関係は築けていたはずなんだが、何か嫌われることをしてしまったのだろうか?
それからは何もなく騎士団についた俺たちは、それぞれの部屋に戻った。俺も風呂に入って早々にベッドに入る。
「今日は戦う相手が相手で疲れたな」
ベッドに入ってすぐに睡魔が襲いかかってくる。俺はそれに抗わずに……
と誰が部屋のドアを叩いている気がする。しかし一度ベッドに入ってしまったら出ることは難しい、どうしたものか……
―ドンドンドンドンドンドンドンドン!
考えていたら寝ちゃった大作戦をしようとしたが流石になんか大変そうなので俺はベッドから出ることにする。
「ノア?」
ドアを開けるとそこにはノアがいた。青いワンピースのパジャマを着て枕を抱えてこちらを見つめる姿は中々に…中々だ。
「こんな時間にどうした?」
「その、あの、い、一緒に寝て欲しい……」
ん? ん? なんて言った?
「え? 寝るっていうのは……?」
「そのままの意味。ガルフのせいで怖くて寝れない……」
ああなるほど、びっくりさせないでほしい。同い年ぐらいだろう女性から、そんなことを言われると流石にびっくりしてしまう。いや、添い寝も中々にまずくないか?
そんなことを考えていたらノアは強引に部屋に入ってきて、そそくさとベッドに入り目をつぶってしまった。震えているのを見ると本当に怖いのだろう。しかしあんな怪談話でこんなになるなんてよほど怖がりらしい。
「まぁ……流石にノアが可哀想か……」
ここまで怖がっているのを放っておくのも可哀想だし、ここは俺の男の本能を全力で消すことにした。それにそもそも年こそ近いようだが、普段からノアのことは妹みたいだと思っているのでもしもなんてことは起こさないだろう俺が。
「隣失礼するぞ」
そう言い俺はノアの隣に横たわる。そしてすぐさま反対を向く。よしこれで睡魔を待とう。
「ガルフ嫌い。怖い話嫌いなの知ってるはずなのに」
なるほどなんで急に怪談話をとは思ったがそういうことだったのか。
「やっぱりナツいい匂い。安心する」
そういうとノアは俺に抱きついてきた。俺のうなじあたりに顔を埋めてくる。それにノアの決して小さくないものが当たっている。
「ノア流石に……」
近いと言おうと思ったが、ノアはまだ震えている。これほどまでに、怖がっているノアを振り払うことなどできない。俺は、事の発端である男を呪いながら、心を無にする。
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しばらくしてノアの寝息が聞こえてくるようになった。
それが俺のうなじにあたり続けるせいで俺は全く寝れなかった。
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