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味がしない
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こんな風に虚しい気持ちを味わうのはいつぶりだろうか。
上手く誤魔化せていたのか、そもそも目を逸らしていたのか。いや、多分向き合いすぎた。
何をやっていても、どんなに楽しくても、感情の裏には必ず死が待機しているみたいな。無になる空間に引きずり込まれる。
"これ、もう終わりじゃん。"
そう言ってみたかった。だけど言葉にすると軽くなってしまう。勿体ないとすら思う。
言葉に出来ないから、重い感情のまま抱き締めていられるような、その重さにつけこめる甘さがある。気がする。
「死にたいな~。」
ほら、まだ生きてるんだよ。言葉も生きてるし、自分も生きてる。
未来は眩しくて見えないの。とか言ってみても、本当はお先真っ暗だから見えないの。
死にたいよりも衝動的な不安は、死神よりもっと怖い。死神は神だけど、不安は神じゃない。そして、不安を予期してはくれない。
唐突ながら、私は今死の一歩手前にいる。
どうすれば良いかはとにかく人任せ。
前に一歩踏み出そうか、それとも大きく羽ばたいてやろうか。いっそここで、一眠りしてしまうのもありだ。
「自然の産物、人たるものや自然に逝ってしまうが吉。」
つまり、化学物質等で一歩先に進むのは少々拒まれる。無駄なポリシーには従っておきたいタイプ。
人としてここまで生きてきたが、こんなにも素早く実行一歩手前まで漕ぎ着けたのは初だ。
何かと理由をつけては拒み、恐怖や不安に飼い慣らされては、背中の羽もいつの間にかボロボロに折れてしまった。
それは私が、天使だったらの話。
人である。人なんだ。人間なの。人間。
最後の理性は、周りに人が居ない場所を選択できたという事。
後悔。悲しみ。恐怖。今は何も無い。虚しさもいつの間にか去っていった。
ついに、この時が来たみたいだ。
どういう訳か死神は見当たらないが、地面に行けば逢えるはず。
兎に角、また変な感情に飼い慣らされる前にいきたいと思う。
最後に背中を押したのは、紛れもなく自分自身だ。
「それでは、またどこかで逢いましょう。」
人生で一番最高なシーン。もう二度と見ることも出来ないらしい。
風を斬れば、擽ったいと笑う背中。腰から太ももに掛けて電気が走るように、身体中が宙を舞っている。
既に知っていたけれど、この世界はやっぱり馬鹿みたいに綺麗だ。
近づく大地に目を閉じる。脳が感じる地球との距離にドーパミンは止まる事を知らない。それでいいし、それが良い。
フワッと浮いた身体が、衝撃を吸収するかのように着地した。
あれ。なんだか、また虚しい。
そっか、私。天使なんだった。
死ねないんだ、だから死にたいんだね。
「これ、もう終わりじゃん。」
上手く誤魔化せていたのか、そもそも目を逸らしていたのか。いや、多分向き合いすぎた。
何をやっていても、どんなに楽しくても、感情の裏には必ず死が待機しているみたいな。無になる空間に引きずり込まれる。
"これ、もう終わりじゃん。"
そう言ってみたかった。だけど言葉にすると軽くなってしまう。勿体ないとすら思う。
言葉に出来ないから、重い感情のまま抱き締めていられるような、その重さにつけこめる甘さがある。気がする。
「死にたいな~。」
ほら、まだ生きてるんだよ。言葉も生きてるし、自分も生きてる。
未来は眩しくて見えないの。とか言ってみても、本当はお先真っ暗だから見えないの。
死にたいよりも衝動的な不安は、死神よりもっと怖い。死神は神だけど、不安は神じゃない。そして、不安を予期してはくれない。
唐突ながら、私は今死の一歩手前にいる。
どうすれば良いかはとにかく人任せ。
前に一歩踏み出そうか、それとも大きく羽ばたいてやろうか。いっそここで、一眠りしてしまうのもありだ。
「自然の産物、人たるものや自然に逝ってしまうが吉。」
つまり、化学物質等で一歩先に進むのは少々拒まれる。無駄なポリシーには従っておきたいタイプ。
人としてここまで生きてきたが、こんなにも素早く実行一歩手前まで漕ぎ着けたのは初だ。
何かと理由をつけては拒み、恐怖や不安に飼い慣らされては、背中の羽もいつの間にかボロボロに折れてしまった。
それは私が、天使だったらの話。
人である。人なんだ。人間なの。人間。
最後の理性は、周りに人が居ない場所を選択できたという事。
後悔。悲しみ。恐怖。今は何も無い。虚しさもいつの間にか去っていった。
ついに、この時が来たみたいだ。
どういう訳か死神は見当たらないが、地面に行けば逢えるはず。
兎に角、また変な感情に飼い慣らされる前にいきたいと思う。
最後に背中を押したのは、紛れもなく自分自身だ。
「それでは、またどこかで逢いましょう。」
人生で一番最高なシーン。もう二度と見ることも出来ないらしい。
風を斬れば、擽ったいと笑う背中。腰から太ももに掛けて電気が走るように、身体中が宙を舞っている。
既に知っていたけれど、この世界はやっぱり馬鹿みたいに綺麗だ。
近づく大地に目を閉じる。脳が感じる地球との距離にドーパミンは止まる事を知らない。それでいいし、それが良い。
フワッと浮いた身体が、衝撃を吸収するかのように着地した。
あれ。なんだか、また虚しい。
そっか、私。天使なんだった。
死ねないんだ、だから死にたいんだね。
「これ、もう終わりじゃん。」
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