異世界行って黒ネコに変身してしまった私の話。

しろっくま

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魔術師団編

42の2.ガッカリよ!

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「あーあ、無理しないで?   あなたはそこで寝ててくれたらいいわ。カシアスを片付けるのに丁度いいし。正直あなたの生死なんて私には関係ないの。私が必要なのはカシアスの命だけよ」
「なんでハルなの?   どこの国からの命令?   それともどこかの貴族の依頼?   この国の第三王子を殺して何の得になるのよ。殺すなら世継ぎの第一王子でしょうがっ!」

 ハルを守りたい一心で言った言葉だったが、本当に疑問に思っていた部分を問いかけた。

「どこの国?   貴族?   そんなもん関係ないわっ!   私はカシアスの存在が疎ましいだけなんだからっ!    私の全てを台無しにしたアンタをねっ!」

 政治が関係してない?   私はてっきり異端の魔術や呪術を使ってこの国の王家を潰そうと企む者の仕業だと思っていたのに。そうとわかればハル個人の話しになってくる。ハルに心当たりがないか尋ねてみた。

「ハル、アンタ何やらかしたのよ。アンタがそんな子だったなんて……お姉ちゃんガッカリです!」
「ちょ、ちょっと待ってよ、サーラ。俺、全く覚えがないから。だいたい若い女の子だよ?   話す機会があったら覚えてるさ」

 そうだった。ハルはこの前までずっと病院に居たんだった。まる二年意識のないまま眠り続け、あとの一年はリハビリのため、若い女の子がほとんどいない病院の中で暮らしていたはず。ミリィちゃんとの対面、という名の劇的な出会いはほぼ考えられない。

「ほんっとーに覚えがないの?   ハル、怒らないから言っちゃいな。むかーしは超モテモテで片っ端から女子とラブいことしちゃってたとかない?」
「はあ?   なんだよサーラっ!   俺、そんなに信用ないのかよっ!   いくらサーラだって俺怒るぞっ!」

 ハルとの話しがヒートアップしたせいで、完全にミリィちゃんへの警戒感が薄れていた。

「がっ!   ふ、い、打ちは、ひ、きょ……」

 赤毛の女の子が、私の顔に一発、拳を叩き込み、体勢が崩れたところで馬乗りになって首をギリギリと絞め上げてきた。

「アンタうるさいのよ。アンタが黙らないとカシアスを虐められないでしょ?   ドール、その女、喋れないくらいに絞めあげといて。殺したらダメよ、ソイツはもう一度、アレを仕込んで私のドールとして使うから」

 ミリィちゃんは冷たく言い放つと、ドールと呼ばれた赤毛の子に指示を出す。
 ドールは、ミリィちゃんに言われるがまま、無表情で私の首を締めてくる。この女の子のどこからこんな力がでてくるのか、と言わんばかりの怪力で締め上げてくるので、どんどん呼吸が苦しくなり、必死になって口をパクパクと動かすだけとなった。
 体の方もそれに応じて悲鳴をあげ始め、毒で頭がガンガンするのか、酸欠でガンガンするのか、もはやわかない。

 朦朧とする中、かろうじて意識を飛ばさずにいるが、抵抗するどころか、指一本動かすこともできなくなり、グッタリとした状態になった。

「ドール、もういいわ。そろそろカシアスを料理しましょう」

 私をドサッと無造作に放り投げると、ドールは、ハルの目の前まで来て対峙した。
 ハルも無抵抗のまま殺されるつもりもなく、腰から護身用に挿していた細身のサーベルを抜きはなち、迎撃態勢を整える。

「あら、さすがに剣に素手だとこちらが不利かしら?   まあいいわ、この子なら対等な勝負ができると思うし」
「おい、その前に聞かせてくれ。俺はアンタにいつ会った?   学校で会った時ではないんだな?   ならいつだ」

 ミリィちゃんはキョトンとしたような顔で話しを聞き、それからゆっくりと笑顔になった。ただしその目は昏く、復讐の炎が見え隠れしてるようだった。

「勘違いしないで、アンタに面識なんてないわ。あるのは恨みだけよ。そうねぇ、せっかくだから教えてあげる」

 そう言ってミリィちゃんはすぐ側にあったベンチに座って私たちをみると話しを始めた。
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