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第2章
25話
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「ニコルお嬢様、何してんですか?」
「……サーラ、もしかして私が見えるの?」
壁にピタリと張り付いたまま極力動かないようにしてたのに、部屋に入ってきた侍女のサーラは、ぽやん、として私を見つめる。
「何をアホなこと抜かしちゃってるんですかい、しっかりバッチリ見えてますよ。ま、さ、か『透明人間』なんて、くだらないこと考えたとか?」
「い、いいえ、そ、んなこと、これっぽっちも考えるワケないでしょ? 馬鹿らしい」
動揺が声に出ないように、なるべく平静を装ってサーラに向き直った。
何だ、お母様のように、念じれば、魔法が使えると思ったんだけどなぁ。やっぱお母様ったら特殊な何かを持ってるのかしら?
どこで訓練を受ければいいのかしらね。私も訓練次第では特殊技能持ちになれたりして……あとでお母様に相談してみようかな。
「ニコラスの様子はどう?」
「それですが、捻挫と打撲は一週間くらいでほぼ回復するらしいです。脳しんとうは目覚めれば問題ないと。頭から落ちてあの程度の怪我で済んだのはラッキーな方らしいです、はい」
ほう、と安心して胸を撫で下ろすと同時に、聞きなれた叫び声が耳に届いた。
「ニコラーーーーーーーースっ!」
来ちゃったよ、ごめんお父様。また頭の上が薄くなるかも……
意を決して、しずしずと階段を降りていった。
玄関にいるお父様は、全身汗まみれ、前髪がベッタリと額に張り付いている。
うえっ、その汗拭おうよ……チラッとサーラをみると、すかさすかさず後ろに手を回してサッと分厚いタオルを差し出してきた。
サーラ、グッジョブ!
私はお父様にそれを渡し、お父様はそれで髪の毛をゴシゴシ。結果、何本かまた抜け落ち、その毛を確認して一言「……グッバイ、私の毛髪」
タオルを握りしめ、遠い目をしてしばらく佇んでいる。そしてハッと気づくと私の両肩を掴み、睨むように聞いてきた。
「ニコラスが階段から落ちて瀕死の重傷だと聞いた。容態は? アイツは今どこに?」
「心配いりません、全身打撲と捻挫は一週間くらいでほぼ回復、脳しんとうを起こしてるので、少し寝かせて目覚めれば問題なしです」
先ほどサーラから聞いた情報をそのままそっくり伝えた。
「そうか、なら良かった……って良くないぞっ。お前が何かやらかしてニコラスが犠牲になったんだろ? さあ、素直に吐きなさいっ」
お父様に両肩を掴まれ、ガクガクと揺さぶられる。
お父様ったらひどいっ。最初から私を犯人扱いしちゃって。まあ、だいたい予想が的中してるあたり、お父様の勘もまだまだ捨てたモンじゃないわね。
しかーし、ここで素直に認めるワケにはいかない。何とかして誤魔化さないと。
「私が可愛い弟を犠牲にするなんて……お父様ったら私のこと、そんな目で見ていたんですか? ニコル悲しい。いっそ出家でもして誠意を示せば良いのかしら……」
しょんぼりさん、といった顔をつくって、悲劇のヒロインになりきってみましたっ!
「い、いや、そこまで言ってないから。まあ、ニコラスが目覚めれば話しも聞けるし、問題ないか、ハハハ」
やっぶぁいっス……ニコラスが目覚めたら、私が仕出かしたこと筒抜けじゃん。どうするかな。
「お父様、ニコラスが階段を踏み外したのは一瞬の出来事だったんです。目覚めても記憶が曖昧な可能性もありますので、あまり詮索せずに回復に力を入れるよう、励ましてやった方がよろしいと思いますよ?」
「うむ、それもそうだな。詮索することによって、ニコラスを咎めるようなことにもなりかねんな。わかった、ニコルのいう通りにしておこう」
やっりぃ、これでこの件は片付くな。
あとは、明日からの護衛の辞退をお願いしないとね。それと例の書類。なになに?
「……サーラ、もしかして私が見えるの?」
壁にピタリと張り付いたまま極力動かないようにしてたのに、部屋に入ってきた侍女のサーラは、ぽやん、として私を見つめる。
「何をアホなこと抜かしちゃってるんですかい、しっかりバッチリ見えてますよ。ま、さ、か『透明人間』なんて、くだらないこと考えたとか?」
「い、いいえ、そ、んなこと、これっぽっちも考えるワケないでしょ? 馬鹿らしい」
動揺が声に出ないように、なるべく平静を装ってサーラに向き直った。
何だ、お母様のように、念じれば、魔法が使えると思ったんだけどなぁ。やっぱお母様ったら特殊な何かを持ってるのかしら?
どこで訓練を受ければいいのかしらね。私も訓練次第では特殊技能持ちになれたりして……あとでお母様に相談してみようかな。
「ニコラスの様子はどう?」
「それですが、捻挫と打撲は一週間くらいでほぼ回復するらしいです。脳しんとうは目覚めれば問題ないと。頭から落ちてあの程度の怪我で済んだのはラッキーな方らしいです、はい」
ほう、と安心して胸を撫で下ろすと同時に、聞きなれた叫び声が耳に届いた。
「ニコラーーーーーーーースっ!」
来ちゃったよ、ごめんお父様。また頭の上が薄くなるかも……
意を決して、しずしずと階段を降りていった。
玄関にいるお父様は、全身汗まみれ、前髪がベッタリと額に張り付いている。
うえっ、その汗拭おうよ……チラッとサーラをみると、すかさすかさず後ろに手を回してサッと分厚いタオルを差し出してきた。
サーラ、グッジョブ!
私はお父様にそれを渡し、お父様はそれで髪の毛をゴシゴシ。結果、何本かまた抜け落ち、その毛を確認して一言「……グッバイ、私の毛髪」
タオルを握りしめ、遠い目をしてしばらく佇んでいる。そしてハッと気づくと私の両肩を掴み、睨むように聞いてきた。
「ニコラスが階段から落ちて瀕死の重傷だと聞いた。容態は? アイツは今どこに?」
「心配いりません、全身打撲と捻挫は一週間くらいでほぼ回復、脳しんとうを起こしてるので、少し寝かせて目覚めれば問題なしです」
先ほどサーラから聞いた情報をそのままそっくり伝えた。
「そうか、なら良かった……って良くないぞっ。お前が何かやらかしてニコラスが犠牲になったんだろ? さあ、素直に吐きなさいっ」
お父様に両肩を掴まれ、ガクガクと揺さぶられる。
お父様ったらひどいっ。最初から私を犯人扱いしちゃって。まあ、だいたい予想が的中してるあたり、お父様の勘もまだまだ捨てたモンじゃないわね。
しかーし、ここで素直に認めるワケにはいかない。何とかして誤魔化さないと。
「私が可愛い弟を犠牲にするなんて……お父様ったら私のこと、そんな目で見ていたんですか? ニコル悲しい。いっそ出家でもして誠意を示せば良いのかしら……」
しょんぼりさん、といった顔をつくって、悲劇のヒロインになりきってみましたっ!
「い、いや、そこまで言ってないから。まあ、ニコラスが目覚めれば話しも聞けるし、問題ないか、ハハハ」
やっぶぁいっス……ニコラスが目覚めたら、私が仕出かしたこと筒抜けじゃん。どうするかな。
「お父様、ニコラスが階段を踏み外したのは一瞬の出来事だったんです。目覚めても記憶が曖昧な可能性もありますので、あまり詮索せずに回復に力を入れるよう、励ましてやった方がよろしいと思いますよ?」
「うむ、それもそうだな。詮索することによって、ニコラスを咎めるようなことにもなりかねんな。わかった、ニコルのいう通りにしておこう」
やっりぃ、これでこの件は片付くな。
あとは、明日からの護衛の辞退をお願いしないとね。それと例の書類。なになに?
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