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第2章
27話
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「サーラ、もうちょっと緩めに巻いてくれてもいいと思うんだけど……っうぐっ」
「お嬢様は少しお太りになられましたでしょ? 丸みが出てきた部分をカバーしないとバレバレになっちゃいますよ。ガッツリいきますからね。お覚悟!」
「みぎゃあーーーーーーーーっ!」
少しお太りって、あのさぁ、傷つくじゃん。
確かに最近ちょっと食べ過ぎ感あるわよ? でもジェイクのせいだからねっ。
あの人が美味しいものばかり食べさせるんだもん。ニコニコしながら見つめられるのと、美味しいもの目の前に出されることのダブル攻撃に抵抗できるワケないから。
それにサーラもサーラよ。
お覚悟、と言われたから覚悟したけどさ、何も私の背中に足を掛けて引っ張らなくてもいいじゃない……
おかげさまで、ニコラスヘア二号と最新のミイラボディ装着済みの偽ニコラスが完成したけど。
鏡を見てみると、ホント似てるよね。ちょっとアゴのラインがニコラスより丸みがかってるけどさ、あとはちょちょちょいっと眉毛描きたして、精悍さを少し盛ったら……はい、完成ですっ。
むむ? 何か私の方が全体的に小ぢんまりしてない? ニコラスに差をつけられたみたいでちょっとショック……
ま、気を取り直して行くわよ。
よし、いざ出陣じゃあーーっ!
あっ……ごめーん、ニコラスのこと忘れてた。まだ目が覚めないのかしら? ちょっとお、このまま覚めないってことないでしょうね?
「サーラ? ニコラスの様子はどう? 頭打ってまだ目覚めないってことあるの?」
「たぶん平気でしょう。最近ニコラス様は睡眠時間が激減してましたので、疲れが溜まってたのもあるかと思います」
「そっか。ならゆっくり休ませといてね、じゃ、私頑張ってくるからねぇ~」
チョーご機嫌で、スキップしたい気分をグッと抑えて家を出た。
******
「……とのことです。以上が申し送り内容です。それではよろしくお願いします、テイラード殿」
「はっ、承知しました。お疲れ様です」
ふうっ、緊張したぁ。今から特別しなきゃいけないこともなかったし、あとは扉に引っ付いて、王子が来たら後ろからちょこちょこ付いて行けばいいよね。もう一人の護衛を真似とけば問題ないだろし。
そう言えば、もう一人の護衛、遅いよなぁ、ガッツリ遅刻じゃないの? それとも何か別な動きしてる人かなぁ。
そんなこと考えながら、ボーッと立っていたら、向こうから近衛の制服着た、護衛らしき人がやって来た。
「悪い、少し遅くな……」
「いえ、申し送りは私が先に受け……」
二人で同時に固まってしまった。
何だってこのタイミングで彼がいるんだ。
とりあえず何か喋って誤魔化さなければっ。
「お、おひさ、しぶりです、ラングダウン様」
対面したのは、何とスレイ君だった。
何でここにいるのかわからんが、バレないようにニコラスになり切らねば。大丈夫、平常心よ、ニコラス。私はニコラスだから。堂々としていなさいな。
しかし、徐々に座っていく彼の目は、誤魔化せているのか、いないのか……
……負けたっ!
目つきが絶対疑ってるっ。ヤバいかもっ、と動いた瞬間、両肩をまず掴まれた。そのまま腕と両頬をガシッと触られていく。もちろん私は無抵抗です、はい。
「おまっ……お嬢……やっぱりアンタか。前見たニコラスとはちょっと違ったから、もしやと思ったけど」
「お願い、見逃して、スレイ君」
「見逃すも何も……これ団長知ってるのか?」
私は笑顔のまま、視線を斜め上に向けた。
「……だろうな。で、何でお嬢がここにいるんだ? しかもニコラスの格好までして」
バレちゃったものはしょうがない。とりあえずニコラスが階段から落ちて、護衛が出来なくなったことと、休暇申請を出しに来たことを告げた。
「お嬢様は少しお太りになられましたでしょ? 丸みが出てきた部分をカバーしないとバレバレになっちゃいますよ。ガッツリいきますからね。お覚悟!」
「みぎゃあーーーーーーーーっ!」
少しお太りって、あのさぁ、傷つくじゃん。
確かに最近ちょっと食べ過ぎ感あるわよ? でもジェイクのせいだからねっ。
あの人が美味しいものばかり食べさせるんだもん。ニコニコしながら見つめられるのと、美味しいもの目の前に出されることのダブル攻撃に抵抗できるワケないから。
それにサーラもサーラよ。
お覚悟、と言われたから覚悟したけどさ、何も私の背中に足を掛けて引っ張らなくてもいいじゃない……
おかげさまで、ニコラスヘア二号と最新のミイラボディ装着済みの偽ニコラスが完成したけど。
鏡を見てみると、ホント似てるよね。ちょっとアゴのラインがニコラスより丸みがかってるけどさ、あとはちょちょちょいっと眉毛描きたして、精悍さを少し盛ったら……はい、完成ですっ。
むむ? 何か私の方が全体的に小ぢんまりしてない? ニコラスに差をつけられたみたいでちょっとショック……
ま、気を取り直して行くわよ。
よし、いざ出陣じゃあーーっ!
あっ……ごめーん、ニコラスのこと忘れてた。まだ目が覚めないのかしら? ちょっとお、このまま覚めないってことないでしょうね?
「サーラ? ニコラスの様子はどう? 頭打ってまだ目覚めないってことあるの?」
「たぶん平気でしょう。最近ニコラス様は睡眠時間が激減してましたので、疲れが溜まってたのもあるかと思います」
「そっか。ならゆっくり休ませといてね、じゃ、私頑張ってくるからねぇ~」
チョーご機嫌で、スキップしたい気分をグッと抑えて家を出た。
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「……とのことです。以上が申し送り内容です。それではよろしくお願いします、テイラード殿」
「はっ、承知しました。お疲れ様です」
ふうっ、緊張したぁ。今から特別しなきゃいけないこともなかったし、あとは扉に引っ付いて、王子が来たら後ろからちょこちょこ付いて行けばいいよね。もう一人の護衛を真似とけば問題ないだろし。
そう言えば、もう一人の護衛、遅いよなぁ、ガッツリ遅刻じゃないの? それとも何か別な動きしてる人かなぁ。
そんなこと考えながら、ボーッと立っていたら、向こうから近衛の制服着た、護衛らしき人がやって来た。
「悪い、少し遅くな……」
「いえ、申し送りは私が先に受け……」
二人で同時に固まってしまった。
何だってこのタイミングで彼がいるんだ。
とりあえず何か喋って誤魔化さなければっ。
「お、おひさ、しぶりです、ラングダウン様」
対面したのは、何とスレイ君だった。
何でここにいるのかわからんが、バレないようにニコラスになり切らねば。大丈夫、平常心よ、ニコラス。私はニコラスだから。堂々としていなさいな。
しかし、徐々に座っていく彼の目は、誤魔化せているのか、いないのか……
……負けたっ!
目つきが絶対疑ってるっ。ヤバいかもっ、と動いた瞬間、両肩をまず掴まれた。そのまま腕と両頬をガシッと触られていく。もちろん私は無抵抗です、はい。
「おまっ……お嬢……やっぱりアンタか。前見たニコラスとはちょっと違ったから、もしやと思ったけど」
「お願い、見逃して、スレイ君」
「見逃すも何も……これ団長知ってるのか?」
私は笑顔のまま、視線を斜め上に向けた。
「……だろうな。で、何でお嬢がここにいるんだ? しかもニコラスの格好までして」
バレちゃったものはしょうがない。とりあえずニコラスが階段から落ちて、護衛が出来なくなったことと、休暇申請を出しに来たことを告げた。
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