22 / 46
19-1〈現在・孤視点〉
しおりを挟む
地下の書籍が並ぶ部屋で、エニシはテーブルにノート型パソコンを置き、操作を始めた。ソロの町の奇病と池の関連を調べるためだ。
「池の水質調査を、ユウセイ経由で、シャンディアに頼んである。急いでもらうよう伝えておいたが、結果は」
キーボードが軽やかに叩かれていく。
「まだ、来ていないか」
縁が溜息をついた。頭の回転に行動力がついてきてしまうのも、考えものだ。
「僕が休んでいる間に、濃厚な時間の使い方をされたんですね」
「お前だって、俺や孤を助けるために、無茶をしただろう」
嫌味の跳ね返し方に、驚いた。
エニシは縁のオーバーヒートぎりぎりの行いを、責めているようだったからだ。
「僕は生物ではないので、平気です。それに、動かなければ、二人を助けられなかった」
「お前の体だって、劣化や摩耗をする。起動停止するのは、生き物も機械も、変わらない」
「ですが」
二人を失いたくなかった。
エニシは、スクラップされそうになっていた縁を助けてくれた。孤は、そんなエニシのかけがえのない人だ。
二人がいなくなってしまったら、体が稼動しなくなってしまうのではないか。
この世界の希望が消えてしまうのだ。
大袈裟ではなく、その可能性はあった。
人が生まれる理由は、生きるためだろう。
しかし縁は、人に利益をもたらすために作られた機械だ。仕える者がいなければ、ガラクタも同然。稼動する意味など、ない。
人であるエニシと比較されること自体、間違っている。
エニシはチラッとこちらを目にし、すぐさまパソコンの画面へと移した。
「非難をしているわけじゃない。俺も、お前も、する必要があったから、行動したまでだという話だ。お前は俺と孤を救ってくれたが、俺はまだ誰も救えていない。ユウセイには交換条件を出されたしな。課題が終わった後も、手放しで祝杯をあげられない状況だ」
「交換、条件?」
孤が不安げに繰り返す。
エニシはキーボードから手をどけ、振り返った。
「旅で立ち寄った場所の記念品を強請られた。費用を負担すると言われたが、断った。それではプレゼントにならないってな」
孤は優しく笑み、相づちをうった。
「ユウセイ様と連絡をとっていたんだね」
「まあ。いちおう、血をもらっていた恩があるからな」
エニシの含みを帯びた言い方に、孤は微笑みながら頷いた。
「水の成分はわからないが、孤の作った立て札やルイの囲いは、効果がある。観光客も、ソロの連中も、今はまだ、素直に従っている」
エニシが耳の機械に人差し指で触れる。
外界の状況を、聞くために、機械を外さなかったのか。
自分の体調が悪いときでさえ。
どうして、そこまでするのだろう。
リヴォーグ国を出る前、火事に巻き込まれた家族を救おうとした。エニシは、自分は一般人だと言った。王族の地位を捨てたから、国民全員を幸せにする義務もないし、しようと思ってもできない。そう言った。
リヴォーグ国の住人でもない人達を幸せにする義務など、それこそない。彼は義務で動いているのではない。だったら、何が、突き動かすのだろう。
「安心していい」
エニシが微笑みかけてくる。
優しい笑みに、心臓が浮くような不安を覚えた。
まさか、俺のため?
そんなわけない。
思い上がるな。
パソコンが音を出す。
エニシが振り返り、操作する。
彼はキーボードを叩きながら、口を開いた。
「シャンディアから調査結果が来た」
リヴォーグの文字ではないそれを、エニシは読めるようだった。
「縁、悪い。書くものと紙をくれ」
手を差しだしたエニシに、縁が二つをそっと渡す。
エニシはさらさらとリヴォーグの文字を書いていく。
薬剤なのか、孤には馴染みのない言葉と、それぞれに数字が書かれている。
「調合を頼む」
縁は紙を手渡され、頷いた。
「臨床試験は俺が受ける」
「池の水を飲んだんですか?」
縁が青ざめた。
「ダラクナイトの解毒を優先させたから、まだだ」
「では、ソロの村の人にお願いすればいいじゃないですか。苦しみがなくなるなら、協力してくれるはずです」
エニシは首を傾げ、口角を上げた。
「奴らを説得している間に、被害者が死亡する可能性だってある。俺達は成り行きで池の水の件を知り、対策を立てたが、相手は別の道筋を考えるかもしれない」
「別の道筋……?」
ルイが眉根を寄せた。
「ああ。俺達とルイが初めから仲間だったとか。最悪、俺達がブロサムを転覆させるために、池に毒を仕込んだと思うかもな」
「え……?!」
孤が声を出すと、エニシが視線をくれた。
「話すならソロではなく、ブロサムの王族だろうが、話を聞くかはわからん。苦しんでいる人を救うことを目的にするなら、俺達の存在など知られなくてもいい。それなら、自然に問題が解決していることがベストだ」
「だからって、エニシが苦しむのは違うだろ?」
「僕が飲みます!」
ルイが一歩、前に出た。
エニシはじっとルイを見つめ、一言。
「ダメだ」
「僕は一度、死んでいます。光りがなければ、甦っていなかった。そうだ、きっと、あの大きな鳥は神様で、池の水で苦しむ人達を救うために、僕を生き返らせたのかもしれない」
エニシの眉がピクリと動いた。
「大きな光る鳥?」
ルイは頷き、自分が生き返った経緯を話した。
エニシは唇に触れ、俯いた。
「ここには羽咋伝説がある。俺達は、だから、羽咋の手がかりを探しに、ここへ立ち寄った」
ルイが僅かに口を開ける。
エニシは深く息をつき、立ち上がるとパソコンの画面を、皆に見えるようにし、キーを一つ押した。一瞬で、シャンディアの文字がリヴォーグの文字に翻訳される。
「水質調査の結果は、ほぼ不明?」
孤は声を震わせた。
「じゃあ、さっきの解毒剤って?」
「俺の見立てだ」
縁が紙を握りつぶした。
「効かなかったら、どうするつもりだったんですか?」
縁は怒っていた。いや、悲しんでいる?
孤は質問攻めにしてしまいそうな心を、宥め、エニシの出方を待った。
「浮島に血液を貯蔵してある。それを飲めば、死ぬことはない。完全に回復しなければ、笑われようがユウセイに頭を下げて、吸血させてもらう」
俺じゃなく、ユウセイ様に?
孤は戸惑うほどの痛みを胸に感じた。
エニシが唇を伸ばし、見つめてくる。
「俺は死なない。孤を幸せにしたいからな」
孤は上手く返事ができなかった。
幸せにして欲しいと、エニシが幸せじゃなければ、俺は幸せじゃないと伝えた。エニシは俺が幸せなら、自分は満足だと言った。
エニシはきっと、自分が生きて俺の傍にいることで、俺を幸せにしようとしてくれている。俺が幸せなら、エニシは幸せで、エニシが幸せなら俺は幸せで……。
俺が出発点なんだ。
エニシの幸せも、俺が。
生きて欲しくて、幸せになって欲しくて、縛りつけることを承知で、かけた言葉の重さに奥歯を噛んだ。
「池の水質調査を、ユウセイ経由で、シャンディアに頼んである。急いでもらうよう伝えておいたが、結果は」
キーボードが軽やかに叩かれていく。
「まだ、来ていないか」
縁が溜息をついた。頭の回転に行動力がついてきてしまうのも、考えものだ。
「僕が休んでいる間に、濃厚な時間の使い方をされたんですね」
「お前だって、俺や孤を助けるために、無茶をしただろう」
嫌味の跳ね返し方に、驚いた。
エニシは縁のオーバーヒートぎりぎりの行いを、責めているようだったからだ。
「僕は生物ではないので、平気です。それに、動かなければ、二人を助けられなかった」
「お前の体だって、劣化や摩耗をする。起動停止するのは、生き物も機械も、変わらない」
「ですが」
二人を失いたくなかった。
エニシは、スクラップされそうになっていた縁を助けてくれた。孤は、そんなエニシのかけがえのない人だ。
二人がいなくなってしまったら、体が稼動しなくなってしまうのではないか。
この世界の希望が消えてしまうのだ。
大袈裟ではなく、その可能性はあった。
人が生まれる理由は、生きるためだろう。
しかし縁は、人に利益をもたらすために作られた機械だ。仕える者がいなければ、ガラクタも同然。稼動する意味など、ない。
人であるエニシと比較されること自体、間違っている。
エニシはチラッとこちらを目にし、すぐさまパソコンの画面へと移した。
「非難をしているわけじゃない。俺も、お前も、する必要があったから、行動したまでだという話だ。お前は俺と孤を救ってくれたが、俺はまだ誰も救えていない。ユウセイには交換条件を出されたしな。課題が終わった後も、手放しで祝杯をあげられない状況だ」
「交換、条件?」
孤が不安げに繰り返す。
エニシはキーボードから手をどけ、振り返った。
「旅で立ち寄った場所の記念品を強請られた。費用を負担すると言われたが、断った。それではプレゼントにならないってな」
孤は優しく笑み、相づちをうった。
「ユウセイ様と連絡をとっていたんだね」
「まあ。いちおう、血をもらっていた恩があるからな」
エニシの含みを帯びた言い方に、孤は微笑みながら頷いた。
「水の成分はわからないが、孤の作った立て札やルイの囲いは、効果がある。観光客も、ソロの連中も、今はまだ、素直に従っている」
エニシが耳の機械に人差し指で触れる。
外界の状況を、聞くために、機械を外さなかったのか。
自分の体調が悪いときでさえ。
どうして、そこまでするのだろう。
リヴォーグ国を出る前、火事に巻き込まれた家族を救おうとした。エニシは、自分は一般人だと言った。王族の地位を捨てたから、国民全員を幸せにする義務もないし、しようと思ってもできない。そう言った。
リヴォーグ国の住人でもない人達を幸せにする義務など、それこそない。彼は義務で動いているのではない。だったら、何が、突き動かすのだろう。
「安心していい」
エニシが微笑みかけてくる。
優しい笑みに、心臓が浮くような不安を覚えた。
まさか、俺のため?
そんなわけない。
思い上がるな。
パソコンが音を出す。
エニシが振り返り、操作する。
彼はキーボードを叩きながら、口を開いた。
「シャンディアから調査結果が来た」
リヴォーグの文字ではないそれを、エニシは読めるようだった。
「縁、悪い。書くものと紙をくれ」
手を差しだしたエニシに、縁が二つをそっと渡す。
エニシはさらさらとリヴォーグの文字を書いていく。
薬剤なのか、孤には馴染みのない言葉と、それぞれに数字が書かれている。
「調合を頼む」
縁は紙を手渡され、頷いた。
「臨床試験は俺が受ける」
「池の水を飲んだんですか?」
縁が青ざめた。
「ダラクナイトの解毒を優先させたから、まだだ」
「では、ソロの村の人にお願いすればいいじゃないですか。苦しみがなくなるなら、協力してくれるはずです」
エニシは首を傾げ、口角を上げた。
「奴らを説得している間に、被害者が死亡する可能性だってある。俺達は成り行きで池の水の件を知り、対策を立てたが、相手は別の道筋を考えるかもしれない」
「別の道筋……?」
ルイが眉根を寄せた。
「ああ。俺達とルイが初めから仲間だったとか。最悪、俺達がブロサムを転覆させるために、池に毒を仕込んだと思うかもな」
「え……?!」
孤が声を出すと、エニシが視線をくれた。
「話すならソロではなく、ブロサムの王族だろうが、話を聞くかはわからん。苦しんでいる人を救うことを目的にするなら、俺達の存在など知られなくてもいい。それなら、自然に問題が解決していることがベストだ」
「だからって、エニシが苦しむのは違うだろ?」
「僕が飲みます!」
ルイが一歩、前に出た。
エニシはじっとルイを見つめ、一言。
「ダメだ」
「僕は一度、死んでいます。光りがなければ、甦っていなかった。そうだ、きっと、あの大きな鳥は神様で、池の水で苦しむ人達を救うために、僕を生き返らせたのかもしれない」
エニシの眉がピクリと動いた。
「大きな光る鳥?」
ルイは頷き、自分が生き返った経緯を話した。
エニシは唇に触れ、俯いた。
「ここには羽咋伝説がある。俺達は、だから、羽咋の手がかりを探しに、ここへ立ち寄った」
ルイが僅かに口を開ける。
エニシは深く息をつき、立ち上がるとパソコンの画面を、皆に見えるようにし、キーを一つ押した。一瞬で、シャンディアの文字がリヴォーグの文字に翻訳される。
「水質調査の結果は、ほぼ不明?」
孤は声を震わせた。
「じゃあ、さっきの解毒剤って?」
「俺の見立てだ」
縁が紙を握りつぶした。
「効かなかったら、どうするつもりだったんですか?」
縁は怒っていた。いや、悲しんでいる?
孤は質問攻めにしてしまいそうな心を、宥め、エニシの出方を待った。
「浮島に血液を貯蔵してある。それを飲めば、死ぬことはない。完全に回復しなければ、笑われようがユウセイに頭を下げて、吸血させてもらう」
俺じゃなく、ユウセイ様に?
孤は戸惑うほどの痛みを胸に感じた。
エニシが唇を伸ばし、見つめてくる。
「俺は死なない。孤を幸せにしたいからな」
孤は上手く返事ができなかった。
幸せにして欲しいと、エニシが幸せじゃなければ、俺は幸せじゃないと伝えた。エニシは俺が幸せなら、自分は満足だと言った。
エニシはきっと、自分が生きて俺の傍にいることで、俺を幸せにしようとしてくれている。俺が幸せなら、エニシは幸せで、エニシが幸せなら俺は幸せで……。
俺が出発点なんだ。
エニシの幸せも、俺が。
生きて欲しくて、幸せになって欲しくて、縛りつけることを承知で、かけた言葉の重さに奥歯を噛んだ。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
仮面の王子と優雅な従者
emanon
BL
国土は小さいながらも豊かな国、ライデン王国。
平和なこの国の第一王子は、人前に出る時は必ず仮面を付けている。
おまけに病弱で無能、醜男と専らの噂だ。
しかしそれは世を忍ぶ仮の姿だった──。
これは仮面の王子とその従者が暗躍する物語。
カフェ・コン・レーチェ
こうらい ゆあ
BL
小さな喫茶店 音雫には、今日も静かなオルゴール調のの曲が流れている。
背が高すぎるせいか、いつも肩をすぼめている常連の彼が来てくれるのを、僕は密かに楽しみにしていた。
苦いブラックが苦手なのに、毎日変わらずブラックを頼む彼が気になる。
今日はいつもより温度を下げてみようかな?香りだけ甘いものは苦手かな?どうすれば、喜んでくれる?
「君の淹れる珈琲が一番美味しい」
苦手なくせに、いつも僕が淹れた珈琲を褒めてくれる彼。
照れ臭そうに顔を赤ながらも褒めてくれる彼ともっと仲良くなりたい。
そんな、ささやかな想いを込めて、今日も丁寧に豆を挽く。
甘く、切なく、でも愛しくてたまらない――
珈琲の香りに包まれた、静かで優しい記憶の物語。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
鈴木さんちの家政夫
ユキヤナギ
BL
「もし家事全般を請け負ってくれるなら、家賃はいらないよ」そう言われて鈴木家の住み込み家政夫になった智樹は、雇い主の彩葉に心惹かれていく。だが彼には、一途に想い続けている相手がいた。彩葉の恋を見守るうちに、智樹は心に芽生えた大切な気持ちに気付いていく。
龍の無垢、狼の執心~跡取り美少年は侠客の愛を知らない〜
中岡 始
BL
「辰巳会の次期跡取りは、俺の息子――辰巳悠真や」
大阪を拠点とする巨大極道組織・辰巳会。その跡取りとして名を告げられたのは、一見するとただの天然ボンボンにしか見えない、超絶美貌の若き御曹司だった。
しかも、現役大学生である。
「え、あの子で大丈夫なんか……?」
幹部たちの不安をよそに、悠真は「ふわふわ天然」な言動を繰り返しながらも、確実に辰巳会を掌握していく。
――誰もが気づかないうちに。
専属護衛として選ばれたのは、寡黙な武闘派No.1・久我陣。
「命に代えても、お守りします」
そう誓った陣だったが、悠真の"ただの跡取り"とは思えない鋭さに次第に気づき始める。
そして辰巳会の跡目争いが激化する中、敵対組織・六波羅会が悠真の命を狙い、抗争の火種が燻り始める――
「僕、舐められるの得意やねん」
敵の思惑をすべて見透かし、逆に追い詰める悠真の冷徹な手腕。
その圧倒的な"跡取り"としての覚醒を、誰よりも近くで見届けた陣は、次第に自分の心が揺れ動くのを感じていた。
それは忠誠か、それとも――
そして、悠真自身もまた「陣の存在が自分にとって何なのか」を考え始める。
「僕、陣さんおらんと困る。それって、好きってことちゃう?」
最強の天然跡取り × 一途な忠誠心を貫く武闘派護衛。
極道の世界で交差する、戦いと策謀、そして"特別"な感情。
これは、跡取りが"覚醒"し、そして"恋を知る"物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる