泡影の異世界勇者《アウトサイダー》

吉銅ガト

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第2章 王都フレンテと魔王の影

21話 マナーゼン

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 階段を下りて一階に向かうと、すでにテーブルには恐らく宿泊客が数人座って朝食を食べているのが見えた。途端に美味しそうな匂いが鼻先を掠め、腹が情けない声を上げて空腹感を訴えてくる。昨日夕食も食べずに眠ってしまったのだから当たり前だ。ひとまず受付の左側に続く食事用と思われるカウンターに向かうと、昨日の女将さんが笑顔で待ち構えていた。
「おはよう! 昨日は夕食の時下りてこなかったから夕食食べていないだろう。すごくお腹が空いているんじゃないかい?」
「おはようございます。そうですね、お腹ペコペコですね」
 しっかりと宿泊客の様子に気を配ってくれているところは宿の女将としてとても尊敬するが、こういうだらしないところまで把握されてしまうのは少し恥ずかしい。
 アハハ……と苦笑いしながらそう返すと、女将さんはカウンターの上の紙を引き寄せて俺の前に示した。紙に書いてあるのは……、どうやら朝食のメニューのようだ。上から”ぱえ”、”イアグのスープ”、”らーんとぅの香草焼き”、”野菜のサラダ”……。イアグというのはグレン村で村長たちの畑で育てていた果物だったはずだ。だが”ぱえ”というのと”らーんとぅ”というのは全く聞いたことがない。とんでもないゲテモノではないことを祈るしかない。それはともかく朝からなかなかにボリューミーなメニューだ。他に書いてあるのは代金は五十レカということくらいか。
「これが今日の朝食のメニューだよ。おかわりは無料だからお腹いっぱい食べなよ」
「ア、アハハ……。ありがとうございます……」
「じゃあ好きな席に座っておいておくれ。できたら運んでくるからね。……ああ、食事代は食べた後で良いよ」
 そういうと女将さんは奥のキッチンの方へ向かって行った。俺は空いた席を探してテーブルの方に目をやる。別段混んでいるというわけでもないのでわざわざ他人の隣に座る必要もないかと思い、とりあえず壁際の適当な席に腰を下ろした。

 しばらく座ってぼーっとしていると、厨房の方から女将さんがトレイに乗せて朝食を運んできてくれた。空腹感をさらに刺激するようないい香りを漂わせるメニューを俺の目の前に並べていき、ごゆっくり、という声とともに女将さんはまたキッチンの方へ戻っていった。
 俺の前に並ぶのは、楕円形のパンっぽいなにか、赤色透明のスープ、やたら大きな鱗が付いた切り身の焼き物、そして見たことのない植物のサラダ……。メニューを振り返ってみるに、恐らくパン的な物が”パエ”、赤いのが”イアグのスープ”、焼き物が”ラーントゥの香草焼き”であとはサラダか。
 そういえば昨日食べたのはパエーゼだったが、あれは”パエ”という部分がパン生地、”ーゼ”が包むとかそういった意味なのだろう。些末な発見だが、自力で法則性を見つけられたのが少し嬉しい。
 そして問題のラーントゥ。元の世界ならば鱗のついた食材はほとんどの場合は魚だと判断するところだが、ここは人よりも大きなトカゲも蔓延るような世界なのだ。まさしくそのトカゲであったとしても何ら不思議なことはない。だが俺も森で迷子になっていた時にトカゲの尻尾肉を干して食べていたので、今忌避したとてもう遅いという話ではあるが。
 空腹感を警戒心が邪魔してなかなかラーントゥに食指が伸びなかったので、ひとまず素性の知れたパエとイアグのスープを頂くことにした。パエを一口分だけちぎって口に放り込む。……、やはりパエは昨日のパエーゼの生地と同じもので合っているらしい。イアグのスープはコンソメっぽい味の中に確かな酸味を感じる。確かグレン村でフェルテルに頼まれて、ライさんのところまで採れたてのイアグの実を届けに行ったことがあったっけ。懐かしい味とともにもう昔のことに感じられるような記憶が湧き出てきて、心の隅にもう戻ることはできない悲しみが溢れてきた。……いや、いつまでもうじうじしていたらだめだ。そんなことをしていたらフェルテルに怒られてしまう。気を取り直して、問題のラーントゥに挑むとしよう。
 小さな香草が周りについた、暗緑色がかった鱗を見て俺は反射的に身を引いてしまう。鱗の下にある身の部分は肉というよりは魚に近い白色をしているが、果たしてどんな生物の肉なんだろうか。可食なのか分からないので一応ナイフとフォークで鱗を剥いで、恐る恐るドリップ滴るラーントゥ肉を口に運んだ。……? まずくない、というかむしろおいしい。スパイシーなハーブが鼻腔を抜け、その後タラとブリを足して二で割ったようなさっぱりかつ脂の乗った肉の味が口内に広がる。恐らくはラーントゥというのは魚の名前なのだろう。先ほどまでの警戒などどこへやら、ラーントゥの香草焼きはパエーゼと並んで俺のお気に入りの食べ物になってしまった。

 その後も朝食を夢中で貪り、あっという間に目の前の料理たちは姿を消した。パエとラーントゥを二度もおかわりしたのはさすがにやりすぎだった。満腹をなだめようと柑橘系の香り漂うお茶を啜りながら休んでいると、ほかのテーブルについて朝食を食べている男たちの会話が耳に入ってきた。
「……って話聞いたかい?」
「ああ、なんかうちの隣の肉屋のオヤジが客と話してんのを聞いた気がすんな。辺境の村に魔物の群れが来て滅んだとか言ってたな」
「そうそう、それだ。その村はここからは結構離れてるらしいんだけどもね、最近フレンテでもなんかきな臭い事件がちらほら起こってるじゃないかい。だからちょっと怖いなあ、てな」
「まさかお前魔王なんか信じてんじゃねえだろうな? あんな噂はどうせ王が俺たちを素直に従わせるためについた嘘に決まってらあ! 持ち物検査とか兵士の監視とか、面倒臭えったらありゃしねえよ!」
 少々尾ひれがついているものの、グレン村のオーク襲撃の噂はここフレンテにも届いているらしい。そして後半は魔王についての話か。確かグレン村でも俺のことを魔王の軍勢だと噂している村人がいた気がする。談話中の彼曰く魔王はフレントーラ王国の王が民衆を統率するための嘘とのことだが、実際のところは分からない。魔王絡みの何かが俺の元の世界への帰還の障害になりないことを祈りつつ、一応心に留めておくことにした。

 食器を片付け会計を済ませたところで、俺は女将さんに簡単に路銭を稼げる仕事がないか尋ねてみた。
「だったら”マナーゼン”がいいんじゃないかね。あれなら確か歩合制で日払いだから、旅人さんは長期間滞在するときにやっている人も多いそうだよ。まあそれなりに腕っぷしがなきゃできないがね。昨日剣を佩いていたし、ソウマさんならできるんじゃないかい?」
 本当にこの人は客をよく見ているなあと感動してしまう。昨日少し会っただけで俺の持ち物を記憶してそれに会った仕事を薦めてくれるとは、いやはやその観察眼には敵わない。それはともかく、”まなーぜん”とはいったいどんな仕事なのだろうか。ここまでの知識を総動員するならば、”まな”はそのまま魔法の源であるマナを、そして”ーぜ”はパエーゼのように包むことを示していると予想されるが、”ん”が分からないし、マナを包むとは一体どういうことだろうか。あるいはまったく異なる意味の可能性もあるが。
「そのまなーぜん? というのはどういう仕事なんですか?」
「ああ、マナーゼンというのは簡単に言えば魔物を狩って魔石を集める仕事だよ。この街はいろんなところで魔道具が使われているからね。だから積極的に魔石を集めないとすぐにこの街は機能が止まってしまうんだよ。だから国営の集積所を置いてお金を交換で魔石をかき集めているのさ。普通じゃ危ない魔物も、ここじゃあ生活を回してくれるありがたい存在なんだよ」
 魔物を狩って魔石を集める仕事か。元の世界のように電気や電化製品が利用されていないので、代替品として魔石と魔道具が広く使われているこの街では確かにコンスタントな魔石の供給が不可欠だろう。つまりマナーゼンたちは炭鉱夫と同じような立ち位置ということか。確かにこの仕事なら俺のような滞在期間が未定の旅人には適しているかもしれないが、先刻の懸念である身元証明の必要がある場合には残念ながらできない。
「あの、質問なのですが、そのマナーゼンという仕事は働くうえで身元の証明とかはあるんでしょうか……?」
 恐る恐る女将さんに尋ねると、女将さんはええっと……と首をかしげて記憶を探る仕草をしたが、すぐに思い出したようにああ、と言って答えた。
「マナーゼンの仕事は少し前までは身元証明なしでもできたんだけどねえ。最近何かと物騒な話が多いじゃないか。魔王がどうたらってさ……。だからなのか、国からお触れが出て、この国の人であることの証明になるものを提示しないと換金できなくなったんだよ」
 この国の人である証明が必要とは……。俺はこの国の人どころか恐らくこの世界の人間ではないので換金できないということになる。となると別の仕事を探すしかないが、女将さんのいうように国がお触れを出しているなら、他の働き口も、現在進行形身元不明不審者である俺を雇ってくれはしないのではないだろうか。
 参ったなという感情は予想外に俺の顔に出ていたらしい。しばらく俺の顔を不思議そうに見た女将さんだが、どうやら俺の懸念に気付いたようで、豪快に笑って俺の肩を叩いて言った。
「ああ、ソウマさんは異国の人なのかい? でも大丈夫だよ! このお触れには実は少し例外があってね……」

「ふへえ~……」
 場所は変わってここは街の大浴場。俺は情けない声を上げながら温かいお湯に肩まで浸かっていた。グレン村では基本的に入浴と言えばキンキンに冷えた井戸水を使った行水だったので、こんなに快適な入浴は元の世界での入浴以来だろう。白い石造りの風呂に溜まったお湯の水面は、壁に取り付けられた魔石灯の淡い光を受けてきらきらと輝いている。名残惜しいがそろそろ出るかと、俺はお湯から出て脱衣所へ向かった。
 話は数時間前にさかのぼる。宿の女将さんの話を聞いて、とりあえず今持っている魔石を交換しようと件の換金所を目指すことにした俺は、自室に戻って準備しているときにあることに気が付いた。昨日から、というかグレン村を出てから風呂に入っていないではないか。俺は別段きれい好きというわけではないが普通に風呂は入りたい性分なので、グレン村からここまでの旅の間、特に初めのころは不潔なまま寝るのはかなり抵抗感があった。しかし、日が経つにつれていつしかそんな状態にも慣れてしまっていたのだ。
 このままでは人間的にどうかと思われるので、俺は換金所に行く前に風呂屋か何かに行こうと今日の予定をリスケジュールして今に至るというわけだ。
 女将さんにお勧めしてもらった大浴場は街の南西部にある老舗の風呂屋らしく、午前中にも関わらず多くの人々がこの浴場を訪れていた。恐らく番台的な老婦人に料金を支払うと、彼女は俺にタオルに相当する布と、何やら薄っぺらい布に紐を縫い付けたものをよこしてきた。はて、これはなんだと番台の老婦人に尋ねると、フレントーラでは公衆浴場では腰布を巻いて隠すものを隠してから入るのが正しい作法だと教えてくれた。知らない文化とは言えどもまあ分からなくはないようなマナーなので、とりあえずそれに従ってぺらぺらで防御できているのか怪しい腰布を巻いて浴場に入った。
 そんなこんなで風呂を出て番台に行ってタオルと腰布を返却したところで、そばに備え付けてある大きめの箱に気が付いた。床から俺のへそくらいの高さのそれは堅い木材でできており、正面に観音開きの扉が付いている。俺が不思議そうな顔で箱を眺めているのに気づいて老婦人は説明を入れてくれた。
「これを知らないのかい。これは魔冷箱と言ってね、中に入れたものを冷やしておける魔道具なんだよ。冷やし牛乳が一瓶十レカだけど、いるかい?」
 なるほど、元の世界でいう冷蔵庫に相当するものか。この世界では電機が使われていない分、このように魔石を使った魔道具が普及しているのだろう。興味をそそられた上に風呂上がりでのどが渇いていた俺は一瓶買ってみようと老婦人に注文を投げた。
「じゃあ、一瓶ください!」
「はいよ、瓶はそこに返しといておくれ」
 荷物から十レカ硬貨を一枚取り出して渡すと、俺はしゃがみこんで箱の扉を開いた。途端にひんやりとした空気が火照った肌を撫でる。箱の中は三段に区切られており、それぞれの段に分厚い瓶に詰められた白い液体が置かれている。やけに箱の外観に対して中の容積が小さいが、恐らくは箱の壁部分に魔法陣やらが埋め込まれているのだろう。驚くほど冷たい牛乳を一瓶取り出して番台を離れると、木製の栓を抜いて中身を呷った。元の世界で飲んでいた牛乳よりもいささか濃厚なそれがのどを通り、途端に清涼感が押し寄せてくる。そのまま夢中で飲み干してしまった。やはり風呂上りの牛乳が格別だというのは、どんな時空間だろうと共通認識なのだろう。
 老婦人にごちそうさまでしたと言ってから瓶を返すと、俺は風呂屋を後にした。単に風呂に入りに来ただけだったが、いろいろと知れることがあったのでなんだか得をしたようだ。俺はいくらか軽い足取りで、本来の目的であった魔石の換金所へと向かった。

 それからおよそに三十分ほどで件の換金所にたどり着いた。せっかく大浴場で汗を流したのに、この暑さのせいでまた汗をかいてしまった。それはともかく、換金所は中世的な造りの大きめな建物で、意を決して扉をくぐって中に入ると、がやがやという声とともに、長いカウンターとそこに並ぶ屈強な男たちの姿が目に入ってきた。右手にあるカウンターとは反対には休憩用であろうテーブルが置かれており、そこに座った男たちからの視線にすぐにでも帰りたくなってしまうが、俺は正当な目的でここに来たのだ。ここで尻尾を巻いて逃げるわけにはいかない。
 きょろきょろしながら奥に進むと、天井から下がった札に”とうろく”と書いているのが見えた。恐らくあそこのカウンターがマナーゼンとして登録をする場所なのだろう。人の列をかいくぐってたどり着くと予想通り登録をするための受付だったようで、ちょうど今カウンターで書類に何かを書き込む男の姿が見えた。内心ドキドキしながら列に並んで待っていると、五分ほどで俺の番になった。
「ええっと、マナーゼンの登録をしたいんですけど……」
カウンターの向こうに座った係の女性が機械的に返答する。
「では、まずあなたがフレントーラ王国民であることの証明になるものをご提示ください」
 俺はフレントーラ王国の人間ではない。しかし、女将さんに教えてもらった方法を使えば俺でも換金が可能になるらしいのだ。万が一それが認められなかったら、という不安を押し殺して、俺は荷物の中からあるものを取り出すと係員の女性に示した。
「俺はこの国の人間ではないのですが……、これなら大丈夫でしょうか?」
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